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通常生活へと制限解除中!フランスの状況(2021年6月10日現在)
第三回外出制限(2021年4月3日~5月3日)措置、緩和・解除中のフランスから、状況をお知らせします。急速な英国種の感染拡大でおきた第三波のピークは4月半ばでした。制限措置の解除は四段階で進められていて、最終段階で、ほぼ通常状態に戻ることが目標です。その前提となるワクチン接種は、何度も予定を前倒しにして加速中。各個人のコロナ衛生証明「パス・サニテール(Pass Sanitaire/衛生パス)」を用いることで、大型イベント開催や、EU圏内旅行が解禁となりました。
目次
第三回外出制限解除の日程と内容
制限措置の緩和・解除の四段階の日程と内容とは以下の通りです。政府が指定する感染対策厳守を条件に、第四段階でほぼ全ての施設が通常営業に戻り、バカンス期を迎える予定です。解除は全国一律で実施されますが、感染が広がり危険とみなされた地域は、解除を取りやめもあるということです。
(1)第一段階:5月3日~
- 夜間外出禁止令を継続(19時~翌朝6時)
- 生活必需品店のみ開店許可を継続
- 中学、高校が半数交替制で登校開始(幼稚園、小学校は4月26日から開始済み)
- 日中の「移動証明書」廃止。地方間の移動制限解除
(2)第二段階:5月19日~
- 夜間外出禁止の開始時刻を繰り下げ(21時~翌朝6時)
- 全商店、ショッピングモールの営業再開
- 飲食店のテラスのみ営業再開。着席で1テーブル6人まで
- 商店、美術館等は、顧客一組に8平方メートルのスペース確保
- 美術館、映画館、劇場、コンサート会場再開。収容上限人数の35%、最大800人
- スポーツ観戦(スタジアム、屋外競技)再開。収容人数上限の65%、最大1,000人
(3)第三段階:6月9日~
- 夜間外出禁止の開始時刻を繰り下げ(23時~翌朝6時)
- テレワークの緩和
- 飲食店内での営業再開。上限の50%、1テーブル6人まで。テラスは着席、上限なし
- 商店、美術館等は、顧客一組に4平方メートルのスペース確保
- 文化・スポーツ施設の収容人数を、上限65%、最大5,000人に拡大
- テーマパーク、見本市・展示会場を再開。最大5,000人(1,000人以上の大型イベントへの参加には「パス・サニテール」必須)
- プール、ジム、体育館などでスポーツ再開。屋内は最大50%、屋外は最大65%
- 外国からの観光客受け入れ再開
※外国からの観光客は、各国を三色に分類して受け入れ条件を変える。緑ゾーン日本からの旅行者は、ワクチン接種済か、出発前72時間以内のPCR検査か抗原検査証明が必要。
詳細 : https://jp.ambafrance.org/article16930
(4)第四段階:6月30日~
- 夜間外出禁止令を解除
- 飲食店のテラス、店内ともに人数制限を解除。店内は着席のみ
- 全施設、屋内外イベントの人数制限解除。1,000人以上は「パス」提示必須
- ナイトクラブ、ディスコ再開は未定。6月21日に発表
パス・サニテール(衛生パス)の導入
第三段階から導入された「パス・サニテール(衛生パス)」とは、個人のコロナ衛生証明です。ワクチン接種記録や48時間内のコロナ検査の陰性結果を証明するもので、パスを提示することにより、1,000人以上の大規模イベント参加やEU圏内旅行が許可されます。パス・サニテールは、政府のコロナ関連サイトTousAntiCovidのアプリ上で入手します。(紙の証明書提示も有効)
6月9日からの導入に先立つ前日の夜、サッカー国際試合フランス対ブルガリア戦において、5,000人観客のスタジアム入場に、試験的にパスが初めて使用されました。先日まで開催されていたテニス全仏オープン「ロラン・ギャロス」をはじめ、今後はさまざまな1,000人以上の大型イベントに必須となります。
加速するワクチン接種
ワクチン接種も、何度も予定を前倒しにして加速されています。ワクチンの優先接種対象者は、5月31日から50歳以上から18歳以上へと大幅に拡大されました。6月15日からは、12歳以上18歳未満の青少年もワクチン接種対象者となります。第一回ワクチン接種した人は、約2,870万人、人口の約44%となりました。
ワクチン予約の行い方
フランスのワクチン接種は、比較的早期からDoctolibという医療機関管理サイトで、上手くコンピューター管理されています。接種情報を探せばこのサイトに導かれ、接種会場の情報収集から予約までが、ここで簡単に出来るのです。
「接種希望場所」「年齢、疾患の有無」「受けたいワクチンの種類、何度目の接種か」等を選んでいくと、希望した場所周辺の接種会場の情報と空いている日時が提示されます。第一回接種日の予約が終わると、第二回接種日程が提案されるので、希望日時を選択してワクチン予約完了。瞬時にメルアドに予約確認書が送付され、更には接種前日にお忘れ防止メールまで届くので、とても便利です。
フランスでは早い時点から、キャンセルや予約が埋まらず廃棄処分となるワクチンを無駄にしないため、前日に予約枠が空いている場合に限り年齢制限なく接種可能、という措置がとられています。
ワクチン接種体験レポート
実際に、接種会場ではどのような手順で進むのか、私の接種体験をお話しします。
<ワクチン会場>
接種会場となった体育館の入り口で、まず赤十字の方が、熱がないか等をチェックします。館内に入ると、係員が予約名簿で名前の確認。簡単な質問状(アレルギーはないか、2日以内に発熱していないか等)を渡されるので記入した後、次の待合スペースへ。
大きな円を描く形で間隔を空けて椅子が並べられていて、順番に座るよう指示されます。前方には簡易テントが幾つも設置されていて、各テント内でワクチン接種が行われています。待合スペースの椅子は完全に埋まることなく、接種順番がきた人の空席に、新たに入室した人が座っていきます。ワクチン接種は迅速に行われて、待ち時間はわずかでした。
テント内では、医療関係者から簡単な質問の後、「接種後は少し腫れますが、どちらの腕にしますか?」と聞かれたので、利き腕と反対側にお願いして腕上部にチクリ。さほど痛くもなく、簡単に終了しました。「証明書が作成されるまでの15分程、安静に待って下さい」と告げられ、出口側の待合スペースへ移動。
この場所には大勢の人が待っていて、前方にはコロナ情報が流れる大画面が設置され、後方には、ファイザー、モデルナ、アストラゼネカとワクチン種別にスタンドが並んでいます。待つこと15分足らずで、自分の名前が呼ばれて、QRコード入りのワクチン接種証明書を受け取って退出しました。このQRコードを指定サイトに登録して「パス・サニテール」を得ることが出来ます。
私の場合、翌日から2日間の腕の腫れと少し気分悪くなったことがワクチン副反応ですが、それも想定内の軽いものでした。周囲も軽い腕の痛みで終わった人ばかりでした。二回目の副反応は、初回接種時より強く出るとも言われていますが、さてどうなるのでしょう?
街に活気が戻ってきた
昨年10月末の第二回外出制限開始以来、約7か月も閉鎖状態だった美術館、映画館も再開しました。第二段階では収容人数が上限の35%ということもあって、待ち望んだ人達が入館できない場合がよくありました。65%となった第三段階の現在でも、予約が埋まっている所も多いようです。オープニング映画の中には、「鬼滅の刃」もラインナップしていて、好調なスタートをきったようです。
各種商店も全開店。レストランは、第二段階でテラス席、第三段階で室内営業が始まりました。テラス席解禁の週は、寒く雨風が強かったので涙をのんだ人も多かったのですが、このところは、暖かく晴天続きで満杯。ワクチン接種も人々の開放感に拍車をかけているのでしょう。明るい太陽の下、街にも活気が戻ってきました。
さいごに~第四波はくるのか
しかし残念ながら、不安がない訳ではありません。外出制限緩和後、感染状況が悪化している地域もあるようで、コロナとの戦いは継続中。制限措置解除が計画通り進み、楽しく今年の夏が過ごせることを願うばかりです。また秋の到来と共に、第四波がくると予想する専門家もいます。今後も気を緩め過ぎないように、衛生ルールを厳守しましょう。
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原田さゆり
- 旅・文化・猫を愛する、フランスの田舎在住者。フランス中を旅しています。