意外と知られていない陶器の町マニセスに行ってみよう

マニセス 陶器
<写真提供:マニセス市観光局

スペインは昔から陶器産業が盛ん。バレンシアも歴史ある陶器の産地です。世界的に有名なあの高級ポーセリン人形のリヤドロもバレンシアのメーカーだとご存じでしたか? 意外と知られていませんが、国際空港があるマニセスの町も中世から今に続く陶器"マニセス焼き"の町です。

今回はマニセスについてご紹介します。


目次

マニセス焼きの町はバレンシア中心部から地下鉄で約20分

マニセスは人口およそ3万人の町。バレンシアの中心地、鉄道駅と市役所広場に挟まれた地下鉄ハティバ(Járiva/Xàtiva)駅から西行きに乗るとマニセス(Manises)駅までは9駅、約20分の距離です。改札を出ると左手にかわいらしい旧鉄道駅があります。淡いペパーミントグリーンの建物をよく見ると陶器タイルで装飾が施されていて、下の方には汽車の絵も描かれています。早速陶器の町に来た実感が。

マニセス 陶器タイル

そこから歩いて3分ほどのブラスコ・イバニェス通りに向かいましょう。途中の家にも注目です。玄関や窓のまわり、バルコニーの裏側が陶器タイルで飾られていることに気付きます。ブラスコ・イバニェス通りに突き当たったら右に曲がります。この通りには数軒の陶器ショップがあるほか、陶器の作り方やバレンシアの名所が描かれた陶器タイルが並んでいます。

マニセス 陶器タイル
<玄関のドアのまわりに陶器タイルの装飾をしている家をよく見かけます /写真提供:マニセス市観光局

町のいたるところにある陶器タイルが見もの

突きあたりには公園があり、左に曲がると外壁一面に陶器タイルが貼られた旧市場が目に入ります(現在はスーパーマーケットMERCADONAになっています)。陶器タイルをよく見ると、市場の様子が描かれているんですよ。

マニセス 陶器タイル
<写真提供:マニセス市観光局

マニセス 陶器タイル
<写真提供:マニセス市観光局

並びにあるひときわ目を引く建物は、現在マニセス観光案内所に使われています。小さな町ではありますが、ここに寄って最新の観光情報を入手するのもいいですね。私が個人的にオススメするマニセスのスポットベスト3は、陶器博物館、バレンシア陶器協会のショップ、そして陶器工房のラ・セラミカ・バレンシアーナです。

マニセス観光案内所
<まるでお屋敷のようなマニセス観光案内所写真提供:マニセス市観光局

見ごたえのある陶器博物館は必見スポット

陶器博物館では陶器の製法や歴史に触れることができます。順路に従って歩くと、年代を追った陶器を見ることができます。受付カウンターの向かいにあるのは、18世紀のバレンシア風キッチン(cocina valenciana)のレプリカ。昔のお金持ちはキッチンまで陶器タイルで飾っていたのですね。嬉しいことにこの博物館は入場料無料!! それなのになかなかの見ごたえがあるので、ぜひ訪れたいスポットです。

陶器博物館
<写真提供:マニセス市観光局

陶器博物館
<受付の向かいにあるバレンシア風キッチンのレプリカ 写真提供:マニセス市観光局

マニセス陶器博物館 Museo de Cerámica de Manises

  • 住所: Calle Sagrario 22, Manises, Valencia
  • 電話:+34 96-152-1044
  • WEB: https://www.museumanises.es/es
  • 開館時間: 火~土10:00~13:30、16:00~19:00、日祝11:00~14:00
  • 休館日:月曜、1月1日、5月1日、7月19日、12月24日、25日、31日

お土産を買うならバレンシア陶器協会のショップ

せっかくマニセスに来たので何かお土産を買いたいなら、バレンシア陶器協会のショップへどうぞ。扱っている製品の種類が豊富で、お手頃価格なものが揃っています。陶器のピアスやネックレス、マグネットなどかさばらずにお土産に持ち帰りやすいものもあるのが嬉しい。お皿などはしっかりと梱包してくれます。

バレンシア陶器協会のショップ

バレンシア陶器協会 Asociación Valenciana de Cerámica

スペインらしい陶器をつくるマニセス焼きの工房

そして私のイチオシが陶器工房のラ・セラミカ・バレンシアーナです。

白塗りで陶器を使ったスペインらしい建物の1階が工房、2階は展示室とショップがあり、兄妹と職人さんたちで切り盛りしています。現在はコロナウイルスの影響で工房見学や陶芸体験は休止中ですが、展示室の見学とショップでの買い物は小人数に限り受け付けています。工房でつくられたマニセス焼きのレプリカが飾られた展示室に入ると、まるで宝物殿(笑)。思わず「わーっ!」と声が出ます。私は何度か訪れていますが、行くたびに歓声が漏れてしまいます。

訪問の際は事前予約が必須です。英語かスペイン語になりますが、メールか電話で問い合わせてみてください。

マニセス焼きの工房
<ラ・セラミカ・バレンシアーナの展示室のひとつ>

マニセス焼きの工房
<何を買おうか目移りするラ・セラミカ・バレンシアーナのショップ>

ラ・セラミカ・バレンシアーナ(La Cerámica Valenciana)

7月19日には陶芸家の守護聖人のお祭りが開かれる

マニセスでは毎年7月19日に聖女フスタと聖女ルフィーナのお祭りがあります。フスタとルフィーナは3世紀にセビージャで殉教した姉妹で、製陶業を営む家族に生まれ陶器をつくっていたことから、陶芸家の守護聖人として崇められています。町中でも2人の聖女を描いたタイル画をいくつか見かけました。このお祭りのパレードは陶器が配られることで知られているため、大勢の人が訪れます。私も一度行ってみたいと思っています。

聖女フスタと聖女ルフィーナのお祭り
<写真提供:マニセス市観光局

聖女フスタと聖女ルフィーナのお祭り
<写真提供:マニセス市観光局

マニセスはバレンシア中心部から地下鉄で簡単にアクセスできる町なので、機会を見つけてぜひ足をお運びくださいね。

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田川敬子(Keiko Tagawa)

1996年スペインにひとめぼれ。以後何度も渡西し、2002年春に夢がかなってスペインで日系企業に就職。その後現地企業を経て、現在はオリーブオイルソムリエ/テイスターやライターとして活動中。

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