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インド型コロナとインドに住む人達の今
こんにちは、田澤ともきです。
今や、テレビで見ない日はないコロナのニュースや情報。
日本のテレビや新聞でも、インドについて取り上げられているようです。インドでは、2021年4月から感染爆発がおこり、現地の情報をニュースにするため、テレビ番組の取材依頼が毎日のように届きました。
「テレビみたけど、インド大丈夫?」とメールやSNSで連絡をくださった皆様、ご心配おかけしてすみません。ありがとうございます。でも私も主人もおかげ様で元気です。
しかし、日本でのマスコミが伝えるインドのイメージは「事実とは言えない」部分も多々あります。海外の事だから、マスコミの方も全部はわからないんですよね。
在住者が見た「インドの今」をお伝えします。
目次
5分では語れないインド感染爆発の理由
私は、インド人の夫と一緒にインドのニューデリーで暮らしています。インドと聞くといろいろなイメージを持つ人がいます。行った事のない方はだいたいテレビやネットで情報を入手するでしょう。
ネットでもテレビでも「わかりやすく、みんなが興味をもつように」作られている場合があります。特に、今のような不幸な情報は事件性をかきたてたりするものが多いです。
宗教の価値観はわからない
「インド人はお祭りをするから感染拡大したんでしょう?」とよくテレビ局の方も聞きます。
この「お祭り」は確かに行われました。ヒンドゥー教やイスラム教で、一つの場所に集まってお祈りを捧げました。しかし、彼らにとってはイベントやお祭りという簡単なものではなくて、こんな時だからこそ神に祈るための「大切な儀式」だったのです。
もちろん、コロナ予防の正しい知識が参加者全員にあったとは言い切れないかもしれません。でも、その宗教上の儀式を非難する事はできません。これは「宗教観」なので、いかに大切か、何故こんな時に行わなければならないのか、を説明するためには、宗教を知らなくてはいけません。
マスコミはその「一部分」を切り取って拡散している事がとても多いと感じます。
「宗教観」があまりない日本では理解できないことかもしれません。日本には「わからない=否定する」という風潮がある気がします。
ワクチン摂取システムは日本よりもずっとハイテク
ワクチンを巡る報道は、連日行われていると思います。インドのワクチンが不足している、という報道もあるようですが、これもインド全体を指している事ではありません。
実はインドは日本よりもずっとハイテクで、スピード感のあるワクチン接種を行っています。
申込みは全てオンラインです。専用のアプリ、またはウェブサイトがあります。どちらも携帯をもっていれば一度の申込みで4名まで同時申込みできます。
対象は「45歳以上」と「18歳から44歳まで」の2種類で、医療従事者、警察、公共事業従事者などはこれに含まれていません。予約をとるとID番号が付与され、時間は2時間おきに予約できるようになっています。
インドにもお年寄りはいます。
ネットを使った申込みはお年寄りには難しいのですが、そのあたりは子供たちや孫たちが率先して手伝います。そして、近所とのつながりも強いので、高齢者に関する申込みトラブルは社会問題になっていません。
ワクチンの副作用や、ワクチンに対する批判も、もちろんあります。
しかし、インドは、「コロナに感染するか、ワクチンをうつか」の2択になるぐらい深刻な問題なのです。
去年と違う「ロックダウン」
<WHO 資料より>
インド型のコロナウイルスと呼ばれている、インドで発見された変異株ですが、本当にあっという間に状況がかわりました。
3月末までは、誰もがコロナはワクチンとロックダウンのおかげで終息するだろう、と思っていたのです。しかし、4月に入ってから突然コロナに関するニュースが増えました。それと同時に、親せき、家族、友達、知り合いの誰かが、毎日のように感染、入院、死亡するという連絡が相次ぎました。
「今日は〇〇が感染した」「今日は〇〇が入院した」そんな話しか聞こえてきませんでした。
まるで、被災地のようでした。
しかも、非常に速いスピードでそれは増えていきました。去年は、知り合いに感染者が出る事はなかったですし、コロナでの死亡はテレビ上での出来事のように思っていました。
今年は、それが身近で起こっている事がよくわかりました。それだけ数が多いというのもうなずけました。
去年と違い、とても有り難いのは、生活インフラが止まらない事です。本当に流通や飲食店の方には頭がさがります。食品や薬のデリバリーなどは、ロックダウンになっても変わりませんでした。
しかし、これもデリーの私の住んでいるエリアだけの事で、各地での状況は州によって本当にばらばらです。
インド型コロナとインドに住む人達の今まとめ
インドでみつかったコロナ変異株は、まだ詳しい事がはっきりとわかっていません。
しかし、去年と比べるとはるかに感染力が高く、そして感染後の体の変化も去年と異なります。感染者数が急激に増えた理由は、インドだったからではなく、コロナの変異株がさらに凶悪になっているからです。
現在、インド全土でロックダウンが行われています。(5月17日現在、5月24日まで延長決定)
延長に延長を重ね、新規感染者数が減少するまで続けられるでしょう。
これ以上の惨劇がでない事を祈ると共に、海外から帰国する方々へのコロナに対する偏見をどうか失くしてほしいと思います。
特にネットでの書き込みなどで、知らない人が傷ついたり、嫌な気持ちになったりする事が増えています。日本に帰国する日本人が、日本人に怯えるなんてあってはいけないと思うのです。
コロナに感染しない方法は今までと変わりません。手をこまめにあらう、マスクをする、免疫力を高める、人との接触や、密を避ける、です。シンプルです。どうか、皆さんがインドに旅行できる日がきますように。必ず明けない夜はないと信じて。
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田澤ともき
- アーユルヴェーダがきっかけでインド在住。ハイテクから古代伝統まで、100人100色楽しめますよ。インドならではの出来事や、インド生活についてお届けします。