【新型コロナウイルス】二度目の外出制限中!フランスの状況(2020年11月13日現在)

コロナ第二波の到来で、10月30日から、今年二度目の外出制限施行中のフランスから、現状をお知らせします。今春3月から5月の55日間に及んだ初回外出制限では、前代未聞の事態に、多くの人が緊張した不安な日々を過ごしました。今回は「コロナと共存する生活」に馴染んできた中での再度の外出制限。その内容、前回との相違点、現場での反応などをまとめました。

目次

外出制限の再発令

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二度目の外出制限も、初回と同じく緊急発令でした。10月28日夜、マクロン大統領のテレビ演説で発令、その翌日にカステックス首相や各大臣が詳細指示、30日午前0時からの外出制限開始です。実施に踏み切った理由は、ヨーロッパにおけるコロナウイルス感染が、各国の予測を大きく上回る速度で拡大していて、このままでは、二週間後に医療機関が対応しきれなくなる、という見解からでした。

とはいえ今回、国民はかなり予測していた感があります。秋口からはコロナ感染者が増え続け、10月24日にはフランス本土の半分以上がレッドゾーンとなり、夜間外出禁止対象県が、96県(フランス本土及び周辺島)中54県へと一気に跳ね上がっていたからです。

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フランスでは、9月から新年度が始まったばかり。外出制限開始日は、秋休み中の最終金曜日でしたが、バカンスで移動中の人は日曜日までに自宅(または外出制限期間を過ごす場所)に戻ってもよい、秋休み明けには通常通り学校や保育所を再開する、ということで、大きな混乱なく開始されました。

厳しい中間報告

外出制限発令時、政府は、期間は最短で12月1日まで(約一カ月間)、開始2週間後には状況分析と今後の指針を中間報告すると告知していました。11月12日に行われた、カステックス首相による中間報告会見は、想像以上に厳しいものでした。

状況の改善はまだ先になるため、後半の二週間は一切緩和措置を行わない。12月1日以降も外出規制は継続されるだろうということです。第二波の入院患者数は来週の前半(11月16日~)にピークを迎えると予測されるが、現時点ですでに、第一波の入院患者数のピーク32,000人を突破している。現在、死者の4人に1人がコロナ感染からということです。

※2020年11月12日14時時点での、感染者数:1,898,710名(前日比 33,172増)、死亡:42,960名(前日比 425増)、入院患者数:32,683名(前日比737増)

外出制限の内容

外出制限の内容は、基本は第一回目と同じで、一部改善案が加えられています。内務省が発行する「外出特例証明書」に記された理由でのみ、外出が可能です。

外出が許可される理由

①在宅勤務が不可能な場合の通勤
②生活必需品の買物
③通院治療
④助けが必要な家族の支援や子供の送迎
⑤障害者への同伴
⑥自宅周辺1km以内、1時間以内、ひとりでの運動やペットの散歩
⑦裁判所や公的機関からの呼び出し
⑧公的機関から任命された公務
⑨子供の通学等への送迎

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外出時は、この用紙またはスマホ版に、必要事項を記入して携帯することが義務になっています。一度の記入でずっと使える通学専用、仕事移動専用の用紙も今回加えられました。

パトロール等で違反が見つかった場合の罰金は、初回135€(約16,000円)。この春の制限時には、口頭注意で見逃してくれた、という話も耳にしましたが、今回はかなり厳しく対応されているようで、既に65,000件を超える違反が報告されています。

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外出制限中、開店が許可されているのは、食料品店、薬局、銀行、ガソリンスタンドなど、生活に不可欠な店舗のみです。美術館、映画館、スポーツ施設、会議場等、人が集まる場所は全て閉鎖され、10人以上の集会も禁止です。

レストラン、カフェ、バーも閉鎖ですが、食品の持ち帰りと配達は許可されています。状況に合わせて、お弁当を販売するレストランも増えてきました。パリと周辺地区では、夜間に人が集まったため、22時から朝6時まで宅配を含む小売店を閉鎖、同時間帯の公道でのアルコール販売、消費も禁止となっています。

今回導入された改善事項

前回との大きな違いは、学校が閉鎖されていないということです。フランスのお国事情として、学校継続は、子供たちへの「教育的」措置であると同時に、保護者が職場に戻れる「経済的」措置、社会不安を軽減する「社会的」措置として、重要な要なのです。

保育園、幼稚園、小学校、中学校、高校は、感染対策を強化して継続するよう指示されています。マスク着用義務は、前回は中学生以上からでしたが、今回は6才以上に拡大されました。ほとんどの学食もオープンしているので、保護者も安心して通勤やテレワークに集中できるという訳です。それでも、実際の教育現場では、「政府の衛生対策は不十分である」として、教員の労働組合の呼びかけにより、先日はストライキが実施されました。

大学は、一部の例外を除き、通学なしのネット遠隔授業へと変更です。

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職場は、可能な限りテレワーク推奨ですが、実際には、5月の外出制限解除後に導入された、週数日出勤を交代で行う勤務体制を継続している会社も多いようです。

工場、工事現場、農業などは継続許可。銀行、郵便局、市役所等の公共サービスも開いています。

前回不可で抗議が多かった、要介護高齢者滞在施設や長期療養施設への訪問は、今回は許可されています。

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フランス人が大好きな屋外のマルシェも継続です。公園、森、海岸などのオープンスペースも解放されています。ただし、健康を維持するための散歩やジョギングは、自宅から1km以内1時間以内で一人で行うこと、と制限付きなので、近くの人のみとなります。

地方間の移動は基本禁止。仕事等でのヨーロッパ内の国境移動は可能、ヨーロッパ外の国境は閉鎖されています。

クリスマスはどうなる?

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今回の外出制限発令で、猛反発したのは、閉店を強いられた小売店主たちでした。11月はクリスマス商戦の真っ最中、年一番の稼ぎ時だからです。生活必需品ではない、おもちゃ屋、雑貨店、衣服や靴屋は閉店させられるのに、ネットショップと食料品以外も揃えた大型スーパーは開店中。小売店主たちの怒りの声に呼応して、地元の商店街を守れと一部の市長たちは、独自で開店許可を出して政府に抗議しました。結局この騒動は、経済相がいち早く「開店店舗でも生活必需品以外の売場は閉鎖」と指示して、とりあえずは終結しました。

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このように、現在開店しているお店はどこでも、生活必需品以外の売場や棚は立入禁止のテープが張られていたり、ビニールで覆われたりしています。

しかし!別のスーパーでは、こんなのを発見。

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特別コーナーを覆ったビニールカバーの上には、「クリスマス用おもちゃ予約受付中。当店にて後日お受け渡し」という特大の貼り紙が!出口付近には、カタログと予約用紙を揃えた記入スペースがしっかり確保されていました、、、

中間報告によると、12月1日から小売店は開店許可が出る予定です。しかし、レストラン、カフェ、バーは閉鎖継続で、こちらも不満が高まっています。

ヨーロッパでは、クリスマスは一年最大の家族イベント、年末から元旦までは職場や友人とのパーティーも盛んです。フランス政府は、クリスマス休暇(年末年始を含む2週間ほどのバカンス)には、家族が集まれることを目標に最善を尽くす、それでも、今年は例年とは違う年末年始になることは確実である、と明言しています。

さいごに

気が重くなる毎日ですが、さいごに、心が温まるお話を綴ります。

長引くコロナ禍の中、大好きな小さなお店やマイナーな施設を想っては、「こんな現状を生き抜くのは大変だろうなぁ」と心を痛めている人も多いのではないでしょうか。私もその一人なのですが、実際話を聴いてみると、「それが意外と大丈夫なんだよ!」という嬉しい返答が多いのです。もちろん状況はそれぞれなのですが、期待していなかった国からの援助金がおりた。休業中の店舗の家賃を放棄または軽減してもらえた。そして何より、閉店時も開店時も通常時以上にお客さんからの支援があった、と。中には、コロナ禍で最高売上を記録しました!というすごいお話もありました。

そして「地元で愛されているお店は大丈夫」という友人の信念とも思える言葉に、至極納得したのでした。こっそり一人で通える小さな名画座、独特の香りが漂う古本屋、相談にのってくれる雑貨屋、素敵な品揃えで夢見心地にしてくれる手芸屋、いつも笑顔で迎えてくれる小さなカフェ、、、確かに、そんな場所が街から消滅してしまったら、こちらの心の一部も朽ちてゆくよう。守らねば!そんなことを、しみじみ考えたのでした。

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コロナ騒動に振り回された2020年もあとわずか。このシュールな世界は、一体いつまで続くのでしょうか?これからは寒さも本番、どうぞ、お身体に気をつけてお過ごし下さい。

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原田さゆり

旅・文化・猫を愛する、フランスの田舎在住者。フランス中を旅しています。

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