収穫祭の季節！イタリアの秋の楽しみ方

9月に入るとイタリア人の大好きな夏もそろそろ終わり。特に夏のバカンスで人気のあるシチリア島では、だんだん観光客の数が少なくなり、リド（Lido）と呼ばれる海の家が閉まり始め、夏の終わりが近づくとともにどこか物悲しい気分になってしまいます。

しかし、秋のイタリアはグルメな人にはたまらない季節。イタリア全国で数え切れないほどの収穫祭が開催されます。今回はイタリアの秋の楽しみ方を、筆者が住むシチリア島を中心にご紹介します。

イタリアの収穫祭ってどんなもの？

秋になると、イタリア全国各地で"sagra（サグラ）"と呼ばれる収穫祭が開かれます。「神聖な」という意味をもつラテン語"sacrum"が由来とされており、自然の恵みとその収穫に感謝するお祭りです。もともと宗教行事ですが、その土地その土地の食文化を大切にするイタリア人の精神が大きく反映されたお祭りとも言えるでしょう。

収穫祭の多くは9月後半～11月に開催され、規模は小さいものから大きいものまで様々。毎週どこかの町で何かが開催されており、一生かかっても行き尽くせないだろうほどの数です。小さな町にとっては町おこしの意味もあるので、町の一大イベントでもあります。

シチリアの収穫祭を一部ご紹介

エトナ火山のおかげでミネラル豊富な土壌をもち、夏の間中ずっと太陽の光が降り注ぐシチリア島でも、秋ならではのおいしいものがたくさんあります。

＜エトナ山のリンゴ、ざくろ、サボテンの実＞

シチリアの収穫祭の中でよく知られているのは、ブロンテのピスタチオ祭りでしょう。エトナ山の北西に位置する町ブロンテのピスタチオは質が良く、世界のピスタチオの中でも別格中の別格。そんな世界最高峰のピスタチオを使ったグルメが一挙に集うお祭りはここだけです。

＜ピスタチオを使った商品がずらり＞

＜ピスタチオをたっぷり使ったペストリーなど＞

収穫祭と訳されていますが、その土地の食文化を大切にするという考え方が基盤ですので、農作物の収穫だけではなくお肉やチーズ類も含まれます。

例えば、シチリア島の土着種である「ネブロディの黒豚（Suino Nero dei Nebrodi／スイーノ・ネーロ・デイ・ネブロディ）」。シチリア島北東部のネブロディ山脈で主に飼育されており、シチリア島内でも出回ることが少ない希少な黒豚なのですが、その黒豚をテーマにネブロディ山脈近くの町で黒豚祭りが開催されています。

＜黒豚を使ったサラミ＞

＜炭で焼いたサルシッチャ（ソーセージ）は最高です＞

その他にも、はちみつ祭りやぶどう祭り、ポルチーニ茸祭り、シチリアの秋のフルーツの代表であるサボテンの実祭り...などなど、聞くだけでおいしそうなお祭りがあちらこちらで開かれます。

海のイメージが強いシチリアですが、エトナ火山をはじめとする豊かな自然があるので山の幸もとっても美味。シチリアワインと一緒に山の幸もぜひ味わってください。

収穫祭を訪れるときの注意点

前述のように、小さい町にとっては町おこしの意味もある収穫祭。そのため交通の便が良いとは言えない内陸部や山奥、農村で開催されるものも多く、泊りがけで行かざるを得ない場合もあるでしょう。しかし、その土地の食文化にじかに触れられ、そこでしか味わえない別格の味を楽しめるお祭り、泊りがけで行く価値は大いにあります。どうしても日帰りでしか行けない場合は、レンタカーや専用車をうまく利用しましょう。

また、言うまでもなく、ものによって収穫時期は異なりますので、全ての収穫祭が秋に開催されているわけではありません。お目当てのものがあれば事前にチェックしましょう。