【たびこふれ美術館】第13話:ルーブル美術館で観るべき作品10選!学芸員添乗員おすすめの美術館攻略法!

ルーブル美術館

こんにちは♪

たびこふれ美術ライターのやすおです!

いや~今年の夏は暑いですね~!

GoToキャンペーンも始まって、どこかに出かけてみたい気はするけど、今度は暑い...暑さで出られない...という方も多いんじゃないでしょうか?

でも、少しずつ旅行再開の兆しが見えてきたようで、添乗員としてはやっぱりホッとしています。

まあ、海外旅行の復活はまだ先のような気がしますが

・・・でも光が見えてきたのは事実!!

そこで!!

ヨーロッパ旅行、特にフランス、パリをお考えの方は今のうちに旅行先の下調べをしませんか?☆

この記事では、学芸員添乗員の私の視点から見る、ルーブル美術館の必見作品を10作品、挙げてみました。そのうちの5作品は一般的に言う超有名どころ、あとの5作品はわ・た・し・のおすすめ作品です!

しかも!!

各作品を見るときの、チェックポイント付きです!!

作品は見たいけど、正直長々と説明を聞くのも・・・って方は、この記事と照らし合わせながら、見どころをチェックしてみてくださいね♪

では、楽しいパリの下見旅行の始まりで~す♪♪♪

目次

ルーブル美術館で見るべき作品5選(一般バージョン)

1. モナリザ(作者:レオナルド・ダ・ヴィンチ)

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ルーブルと言ったらこれでしょう!!

というほどの知名度を持つ、この作品。モナ・リザ(私のマドンナ・リザ)という意味を持つこの作品は、モデルが不明、笑顔の理由も不明、なんなら笑顔なのかも不明、謎が謎を呼ぶことで人気に。

そして、極めつけが20世紀初頭に盗難事件にあい、2年後に見つかったときには世界中の新聞に載って、そこで大ブレイク!そんなモナリザの鑑賞ポイントは・・・

★★チェックポイント★★

①口元と目元を別々に見る。

顔全体を見ると笑っているように見えるモナリザは、実は口元を隠すと全くの無表情に。微笑と呼ばれるゆえんですね!

②後ろの背景をチェック

イタリアという緑豊富な場所で描かれたわりに、後ろの風景は、緑のひとつもない荒野のよう、不気味すぎる!

③世界で一番有名な絵画のオーラを感じる

素晴らしい実力と逸話を持つモナリザは、その貫禄に圧倒されてください。いっつも人だかりができているから、負けないように頑張って!

2. ミロのヴィーナス(作者:おそらくアンティオキアのアレクサンドロス)

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ギリシャのミロス島から見つかったことから「ミロのヴィーナス」と呼ばれるこの作品。制作されたのは紀元前2世紀、日本で言ったら弥生時代!竪穴式住居に住んでいた時代、ヨーロッパではここまで素晴らしい文化が栄えていました。

こういった完璧な神様の像を作って、神様への捧げものとして信仰の対象になっていたんですね。

★★チェックポイント★★

①腕がどうであったのか想像する

この像がなぜこんなに人を惹きつけるかというと、腕が失われたことで想像力を掻き立てることも大きな理由。自分なりに、元のポーズを想像してみましょう!

②S字型の優美さを味わう

身体がSの字を描くように、滑らかになっていることで、とっても動きが感じられるんですね。もしこれが、直立だったら・・・と想像すると、よりSの字のありがたさがわかります!

③ヴィーナス様の半ケツを鑑賞する

この像は後ろに回り込んで見てみると、おしりの頭が出ちゃっているんです。女神さまのありがたい半ケツを鑑賞しましょう!

3. サモトラケのニケ(作者:不明)

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こちらも古代彫刻で紀元前2世紀ごろに制作されたものです。サモトラケ島から発見されたので、「サモトラケのニケ」。「ニケ」はギリシャ神話の勝利の女神さま「ニーケー」のことです。発見された時には118個の破片にバラバラになっていたところを、修復でこのような形になりました。

★★チェックポイント★★

①衣服のひだの脅威を感じる

風に吹かれてニケに張り付く衣服の流れるようなひだ。これ、大理石ですからね!こんなに滑らかに仕上げる職人技を、じろじろ色んな角度から鑑賞しましょう!

②どんな顔だったのか想像する

頭部がないことによって顔までも想像の対象に。勝利の女神さまは怖い顔?キリっとしてる?微笑んでる?あなたのニケを想像しましょう!

③意外と雑な背後

こんなに美しい正面なのに、背後は意外と雑。おそらく前からしか見られることのない場所に置かれていたんでしょう。その、気の抜き方にほっこり!

4. 民衆を率いる自由の女神(作者:ウジェーヌ・ドラクロワ)

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王様と貴族がヨーロッパ社会を牛耳る18世紀。マリーアントワネットをギロチンにかけてフランス革命を起こすものの、状況はそんなに変わらず。なので、40年後にもう一度大きな革命「7月革命」を起こして、彼らは自由を求めました。この絵はその、革命の中にいた画家による、市民たちの訴えがまざまざと表現された絵です。

★★チェックポイント★★

①市民たちの服の違いを見る

立ち上がる市民たちの衣装がいろいろなのに気づきますか?工場労働者も、学生も、中産階級も、みーーんな怒ってるねんで!と表現されています!

②倒れていく貴族側の兵士たち

右下の倒れた兵士はスイス人です。その当時産業のなかったスイス人たちは、傭兵としてフランスにやってきて、フランスにお金で命を売っていたんです!

③真ん中の女性のわき毛

真ん中の女性は「自由」を象徴する、シンボルで実在の人物ではありません。胸をはだけているのは「母性」つまり、「祖国愛」を示しています。こんな戦闘中に、美しい女神様だと合わないので、粗野なわき毛の生えた女性で描かれているのです(当然当時は、大ブーイングでした)

5. ナポレオン一世の戴冠式と皇妃ジョゼフィーヌの戴冠(作者:ジャック=ルイ・ダヴィッド)

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フランス革命後の騒動を治めたのは、コルシカ島からやってきたナポレオンでした。「貴族階級の支配する当時のヨーロッパを解放する!」という名目で、フランスを出て、世界中に乗り出します。しかし、途中からナポレオンはそんな新しい世界の「皇帝になる!」と言い出すのでした。そして、今、ナポレオンと妃ジョセフィーヌが皇帝の冠を戴冠するシーンです。その後、ロシア出兵で敗北し、島流しにあってナポレオン・フィーバーは終わりを迎えます。

★★チェックポイント★★

①ナポレオンがジョセフィーヌに冠をかぶせている

通常、冠は「神の名のもとに冠を授ける」ことから、ローマ教皇にしてもらうのが普通。でも、ナポレオンは自分の実力を過信し、自ら妃に戴冠しようとしています!

②ナポレオンの後ろの寂しそうなおじさんたち

この人たちがローマ教皇関係者。せっかくわざわざ戴冠式のためにフランスにやってきたのに、仕事を取られて呆然。「元気のないピース」みたいなことをしているのが、教皇です!

③本当は出席していないナポレオンの母

ジョセフィーヌの上に視線をずらしていくと、一人いい椅子に座っている人がいます。この人がナポレオンの母。本当はナポレオンが皇位につくことに反対だったので、参列していないんです。でも、ナポレオンの希望で一番いい席をゲットして、このシーンを眺めています!

ルーブル美術館で見るべき作品5選(山上チョイス☆)

1. 宰相ロランの聖母(作者:ヤン・ファン・エイク)

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15世紀に活躍した現在のベルギー辺りで活躍したファン・エイク。彼は「油絵」というものを完成させた人物と言われていて、スーパースキルは超絶技巧。依頼主の宰相ロランが、イエスを抱くマリア様の戴冠を特等席で見ているという構図になっています。

★★チェックポイント★★

①超絶技巧に酔いしれるべし

ファン・エイクは絵の細かさで有名。マリア様に戴冠される冠、人物の着るローブの質感、モザイクの床、柱の彫刻「どんだけ細かいねん!」と叫びたくなること間違いなし!

②ぶちゃかわなイエス様

赤ちゃんなのに目のしたにクマがあり、たるんだおじさんのような体形のイエスは「救世主って大変だなぁ」と思わせる前兆がいっぱい!イエスの持っている球は世界を象徴しています!

③つぶされたウサギ

宰相ロランの膝の上の本のすぐ右にある柱・・・に押しつぶされたウサギの彫刻!(多分これこそ現地じゃないと見えません)こういったところにも超絶技巧が光ります。淫欲の証のウサギをつぶすことで、宰相のまじめな性格を現わしています!

2. いかさま師(作者:ジョルジュ・ド・ラ・トゥール)

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なんだか不穏な雰囲気のこの絵・・・今宵も無知な若造がお金を巻き上げられにやってきましたよ。さてみなさん、このタイトルは「いかさま師」、いかさま師はだあれ???

★★チェックポイント★★

①悪者3人の華麗なるトリプルプレー

左3人の目線から、彼らがいかさま師たちであることはなんとなく想像がつきますね。そして、秀逸なのが、彼らの目線が一つも合っていないこと!この視線のゲームが緊張感を産みます!

②若者が陥る甘い罠

この絵は3つの若者の陥りやすい罠が描かれています。一つはギャンブル、二つはお酒、三つは女・・・真ん中の女は娼婦なんですね。それを警告するために描かれたという説もあります!

③右の若者のちんちくりんさ

彼はこれから身ぐるみを剥がされるなんてまったく想像もしていません。でも、このお金を持ってそうな服装、でもまだ子供のような表情、これから格好のカモになる若者の姿は必見です!

3. マリー・ド・メデシスのマルセイユ上陸(作者:ピーテル=パウル・ルーベンス)

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17世紀初頭、イタリアの名門メディチ家からフランス国王に見初められてマリアが嫁ぎました。そしてフランス王妃として生きた彼女が、夫のアンリ4世が亡くなった後、自らの人生を絵画に残すようにルーベンスに依頼。しかも、できるだけ豪華に!華やかに!で、出来上がったのがこの作品。マリアがフランスに嫁ぎに、今到着した瞬間です。

★★チェックポイント★★

①とりあえずこの盛りっぷりを見よ

このシーンはぶっちゃけ「マリアがフランスに着岸した」だけのことです。それだけのシーンをこれだけのまるで神話のように描くルーベンスはマジで神様級です!

②マリーの尊大な態度と、へーこらするフランス

黄金の船(もちろんこれも盛ってます)から降りてくる、マリアたち。そしてそれを迎え入れるのは青いマントの男性。彼は誰ってわけではなく、フランス自体を現わしています!

③海にいるのは人間?

海の中にいる人の足・・・タコみたいですよね?彼らは海の神様たち。オールでひーこらやってくるんじゃなくて、神様に連れられて、マリアはフランスに到着したのです!

4. 春夏秋冬(作者:ジュゼッペ・アルチンボルト)

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いかがでしょうか?この絵のインパクト!これぞアルチンボルトです。今から450年ほど前、こんな斬新な発想を持っていたスーパー画家がいたことがすばらしい。そしてなにより、これは実際にいる人物に似せて描かれた、これも肖像画なんですね。上の二作は「春」と「冬」ですが、ルーブルには春夏秋冬4作品共にそろっています。その姿が圧巻!

★★チェックポイント★★

①どうやって描かれているの?

「春」はお花、「夏」は夏野菜、「秋」は秋野菜、「冬」は枯れ木と茸でできた肖像画、どこにどれを使って顔らしく見せているか、じっくりご覧ください!匠の技です!

②ここに描かれた人物がどんな人だったか想像してみる

この絵はれっきとした肖像画です、創作でただ顔に似せているわけではありません。そう思ってみると、意外と特徴がある顔があったり、もともとの人物が想像出来ちゃいそうです!

③こんなの描かれてうれしいか?と想像する

いまでこそCGなど最先端技術はありますが、450年も前にこの画風の衝撃!想像できますか?実際にアルチンボルトは春夏秋冬に肖像画を例えることによって、この描かれた方が春夏秋冬のように、治世が永遠に続くようにという祈りが込められています!

5. 自撮りするアポロン(作者:不明)

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これも古代ギリシャ時代の彫刻です。こんな時代からスマホが・・・!っと思ってしまうくらい、しっかりした自撮りポーズでキメキメのアポロン。実際何をしているのかはよくわからなんですが、見れば見るほど自撮りにしか見えない!どう見ても自撮り!スマホだし!

★★チェックポイント★★

①自撮りするナルシストなアポロンを見てほくそ笑む

もはやそうとしか見えない!一番自撮りっぽく見える写真を取ったら、SNSに拡散しましょう!

海外旅行が再開したら是非ルーブル美術館へ!

いかがでしたでしょうか?

本当ならなんの目的も決めずにルーブル美術館は散策してみたいところなんですが、せっかくのパリ旅行、ルーブルだけに時間を取ってられないのも正直なところですよね。

なので、「これと」「これと」「これは見る!」という気持ちで、自分の中で目的を決めて、

配置も良く変わりますんで、入口でもらえる日本語のMAPとにらめっこして、わからなかったら画像を見せて係の人に尋ねる!

上記10点も自力ですべてを見つけるのはほぼ不可能なので(特に自撮りアポロン)、効率よく、異文化交流しながらルーブルの中を楽しんでくださいね!

ボンボヤージュ♪

自撮りするアポロンに会えますように♪

☆こやぎ先生の美術ちゃんねる☆

コチラのYouTubeチャンネルにて、も~うちょっと詳しい絵画の説明をしています♪モナリザから印象派まで、取り揃えていますので、よかったらご覧くださいませ☆

>>YouTube「こやぎ先生の美術ちゃんねる」はこちら

>>ルーブル美術館公式サイトはこちら


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山上やすお

国内外の添乗員として1年の半分ほどを現地で過ごすかたわら、日本にいるときには各地で美術のカルチャー講師をしています。博物館学芸員資格保有。「旅に美術は欠かせない!」の信念のもと、美術の見方、楽しみ方を記事にしていきます。

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