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ロシアアニメーション界の巨匠、ユーリー・ノルシュテインさんに会いに行こう
日本のアニメはロシアでも人気で、宮崎駿さんはロシアでも有名です。その宮崎さんといえばスタジオジブリですが、スタジオジブリの創設者の故高畑勲さんと交流もあったユーリー・ノルシュテインさんのスタジオについて、今回は紹介します。
目次
ユーリー・ノルシュテインとは?
「ユーリー・ノルシュテインさんとは、誰?」と思う人が多いと思いますが、日本人でも知っている人は知っているロシアアニメーション界の巨匠です。もちろん、ロシア人は、小さい時からユーリー・ノルシュテインさんのアニメーションを見て育っているので、皆さん知っています。
最近では、2020年2月と3月にNHKラジオの「まいにちロシア語」の応用編(木・金曜日放送)の中でノルシュテインさんのインタビューが取り上げられました。
ノルシュテインさんは、切り絵でアニメーションを作ります。切り絵なので、登場人物の頭、体、手、足などをパーツごとに作り、それを少しずつ動かしてアニメーションにしていきます。そのため、撮影にものすごく時間がかかります。主な作品は、
「霧の中のハリネズミ」
「きつねとうさぎ」
「話の話」
などです。また、チェブラーシカのアニメ制作にも携わっています。さらに、ノルシュテインさんは、何度も来日したことがあり、江戸時代の版画の雨の描き方を自身のアニメーションに取り入れています。日本に興味もあり、松尾芭蕉と竹斎についてのアニメーションも作っています。そして、今、ゴーゴリの「外套」を作成中です。ソビエト時代は、国立のサユーズムリトフィルムの職員として働いていましたが、ソビエトが崩壊し、国からの援助制度などが大きく変わり、現在は、自分のスタジオで制作を続けています。
どうやって行くの?
そんなノルシュテインさんのスタジオへ観光客も行くことができます。しかし、日程がなかなか難しいです。スタジオが開く日は、毎週土曜日の12時から3時までです。一応、毎週開くことになっていますが、何かのイベントと重なり、イベントへノルシュテインさんが出かけるとなると、スタジオは閉まります。
たいてい、前日の金曜日にホームページやノルシュテイン・スタジオのフェイスブックページに「次の土曜日にスタジオを開けます」というお知らせが出ます。そのため、ロシアに入国して前日になるまで行けるかどうか分からないということになります。前日に行けるかどうかが分かるというのは、なんともロシアらしい体験となります。
運がよく、スタジオが開いているときに、モスクワに滞在できた場合は、出かけてみましょう。
最近は、МЦД(エム・ツェー・デー)D2という新しい路線もできたため、スタジオへのアクセスはとてもよくなりました。地下鉄であれば、Voykovskaya駅(緑色の地下鉄)の出口4、МЦК(エム・ツェー・カー)であればStreshnevo駅の出口5、МЦД(エム・ツェー・デー)であればStreshnevo(Leningradskaya)駅の出口5か6が最寄りとなります。МЦК(エム・ツェー・カー)とМЦД(エム・ツェー・デー)D2は地上を走る電車なので、滞在先によっては、移動中に景色を楽しみながらスタジオへ行くことができます。ノルシュテインスタジオにはトイレはないため、Streshnevo駅の無料トイレを利用するといいです。
モスクワ地下鉄の路線図も載せておきます。
パソコン画面上で左にあるfromとtoに駅名を入れると、経路と時間が出てきます。駅名のところにカーソルを持って行くと、駅名の文字が赤くなり、文字をクリックするだけで簡単に入力できます。この路線図は、モスクワだけでなく、地下鉄がある他の都市の路線図の所要時間と乗り換えを調べることができます。モスクワ以外の都市を訪れるときも活用できます。
下車後、歩いていきますが、「ノルシュテインスタジオ」というように、分かりやすい看板は一切ありません。住宅地の一角のごく普通の扉の向こうにスタジオはあります。スタジオの入り口はこんな感じです。
2つ並んでいるドアの右側が入り口です。
建物はこんな感じです。
住所がしっかり分かっていれば、迷わずたどり着ける私ですが、ノルシュテインスタジオを見つけるのに時間がかかり、ベビーカーを押している近所に住んでいると思われる人に訊きました。ロシアの住所は「○○通り、○番」というようになっています。日本だと、1番から順番に番地が振られていますが、ロシアは、通りを挟んで片側が奇数の番地、反対側が偶数の番地で建物が並んでいます。その規則を知っていれば、自分が行きたい番地が奇数か偶数かによって、道路のどちら側にあるかが分かります。
ロシアの建物は大きいこともよくあるので、次の番地まで少し歩くこともあります。今回難しかったのは、16番地の後、1、2、3...というように、16番地の建物がいくつもあったからです。また、建物にたどり着いたとしても入り口がいくつもあってどこが目的地の入り口か分からないということもあります。
ノルシュテインスタジオのホームページに分かりやすい地図が載っているので、地図の部分を印刷して持っていくと迷わないと思います。万が一、迷った時も地図があれば道行く人に訊くことができるため、たどり着けるでしょう。
スタジオの中は?
このごくごく普通の扉のインターフォンを押すと、「こんにちは。」とノルシュテインさん本人が出てきます。日本で言うと、宮崎駿さんが気さくに出てくるといった感じです。
そして、中に入ると、ノルシュテインさんの作品の絵本、本。
絵ハガキ。
マグネット、マグカップ。
ポスター。
などが売られています。絵本は、モスクワの中心部の本屋さんで買うよりも安いです。さらに、絵本や本や絵ハガキを購入すると、1つ1つにノルシュテインさんが丁寧にサインをしてくださいます。特に、絵本と本を購入した場合は、「カムー?(誰に?)」と訊いてきます。誰かへのプレゼントにするのなら、名前を書いてもらうことができます。日本人の名前を聞き慣れていないので、大きくはっきり言うといいです。
もちろん、名前なしの方がよければ、名前なしの希望もきいてくださいます。さらに、日付も書いてくださいます。私は2回行きましたが、2回とも、お客さんはひっきりなしで途切れることはありませんでした。ロシア人にとってノルシュテインさんは憧れの存在であり、アニメーションや美術を学んでいる人は、質問をしてノルシュテインさんと議論していました。
基本情報
- 住所:1-Y Voykovskiy Proyezd, 16 building 1
- 電話番号:8(926)611-55-25
- 最寄り駅:Voykovskaya駅(緑色の地下鉄)出口4から660m、МЦК(エム・ツェー・カー)のStreshnevo駅出口5から280m、МЦД(エム・ツェー・デー)D2のStreshnevo(Leningradskaya)駅出口5か6から280m
- ホームページ:http://www.norshteyn.ru/
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チェブラーシカ
- 高校3年生の時に好きになったロシア。音楽、文学、歴史、美術、バレエ、料理、ロシア人気質などに興味をもちました。でも、ロシア語を専門に学んだことはありません。ロシアが好きでいろいろ知るうちに、2016年12月にロシア人男性と結婚し、2017年4月からロシアに住むことになりました。普通のガイドブックには載っていない情報をお届けします。