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豪華な内装に驚き!ローマ散策中に立ち寄りたいおすすめの教会
今回ご紹介するのは、ガイドブックには載っていないものの、とても荘厳で素晴らしい装飾が施されたローマの中心地にある教会です。その教会の名前は「Basilica dei SS.Ambrogio e Carlo al Corso(バジリカ・ディ・サンティ・アンブロージョ・エ・カルロ・アル・コルソ)」。
ローマでお買い物途中、さっと立ち寄ることができる立地でありながら、外観に派手さがないためか見過ごしやすいかもしれません。ですが、内部の装飾は必見ですよ。
目次
- 1. イタリア人にとって世界遺産は日常的なもの?
- 2. ローマのコルソ通りにある教会への行き方
- 3. バジリカ・ディ・サンティ・アンブロージョ・エ・カルロ・アル・コルソ
- 4. 内部装飾の壮麗さと迫力の彫刻群は必見!
- 5. ミサの時間帯は見学不可
- 6. 教会を訪れる前に注意したいこと・マナーについて
1. イタリア人にとって世界遺産は日常的なもの?
街中に歴史的建造物が溢れ、世界遺産の保有数世界ナンバーワンのイタリア(2019年7月時点)。日本の場合、世界遺産に申請して「世界遺産に認められた!これで観光客が増える!」というようなニュースを見ることがありますが、イタリアはあまりに数が多いからなのか、街中にアートや歴史的建造物が溢れているからか、世界遺産に対しては割と普通の反応。
「ずっと前からあったものだから」、「まぁ古いものだからね」と、あくまでも日常的なものとして捉えています。興味がないというわけではなく、それぞれ自分が住む町のどこかに、お気に入りスポットを持っているというのが面白いところ。世界遺産や文化財かどうか、ということは関係なく、自分のフィーリングに合う場所を大切にする傾向が見られます。
神社のような感覚で教会と向き合うイタリア人
世界遺産だけでなく、教会に関してもそうですね。信心深いイタリア人だからこそ何か嬉しいことがあると立ち寄ったり、悩んでいたら神父さんに相談したり。日本人の神社やお寺との接し方に似ている部分があります。
2. ローマのコルソ通りにある教会への行き方
コルソ通りは、スペイン広場からまっすぐ伸びるコンドッティ通りを下りていくと右手にあります。イタリアは店舗の移転が激しいので参考程度ですが、コンドッティ通りを降りていくと右手側にティファニー、トッズ、マックスマーラ、アルマーニという順でお店が並んでいます。アルマーニが見えたら右手に曲がると、その通りがコルソ通りです。
続いて左手側に注目してください。ディーゼルとツインセットの前あたりに、教会と小さな広場が見つかると思います。コルソ通りに入ってから本当に数十メートルといったところでしょうか。ポポロ広場へ向かう途中の道で、簡単に見つけられるでしょう。
教会は黄色い壁と大きな柱が特徴。古い建物はローマ中に溢れているので、一見するとここが教会なのかどうか分かりにくいかもしれませんが、毎日礼拝も行われ、地元の人に愛される教会の一つです。
大混雑のスペイン広場や階段、コンドッティ通りから10分もしない位置にあるのに、こちらは混雑していなくて静かな時間を過ごせます。人ごみに疲れてしまったら、こちらの教会を見学してみてはいかがでしょうか。
3. バジリカ・ディ・サンティ・アンブロージョ・エ・カルロ・アル・コルソ
教会の名称をカタカナで表記するとこんな感じ。かなり長い名前です。その意味は「バジリカ=聖堂」、「サンティ="聖"の複数形」、「アンブロージョ・エ・カルロ=アンブロージョとカルロ(ここが二人の名前になっているためサンティが複数形になります)」、「アル・コルソ=コルソの」というように、一見すると長くて分かりにくいのですが、意味を分けて読んでみるとそんなにややこしくはありませんね。
教会の建設が始まったのは1612年のこと。父であるオノーリオ・ロンギと、子のマルティーノ・ロンギ親子によって設計されました。クーポラ部分が完成したのは1668年で、ピエトロ・ダ・コルトーナ作、ファサード部分は1682年にルイージ・オモデイ枢機卿(すうききょう、ローマカトリックの教で教皇=法王の選挙・補佐をする聖職位で教皇の最高顧問という位置付け)によって作られたそう。
歴史ある教会であることは間違いありませんが、この立地に建てられているということを考えても、有力な権力者の力添えがあったのだなと感じることができます。
また、この教会は元を辿れば1471年から歴史が始まっており、現在の教会は建て替えられたものだそうです。建て替えられたといっても300年以上前のことになるので、改めてローマが持つ歴史の深さを感じ取ることができる建物の一つと言えますね。
4. 内部装飾の壮麗さと迫力の彫刻群は必見!
バジリカ・ディ・サンティ・アンブロージョ・エ・カルロ・アル・コルソは、ポポロ広場やアウグストゥス廟にも近い好立地。この教会を歴史ファンの方だけでなく、美術ファンの方にもおすすめしたい理由は内部の装飾があまりにも美しいからです。また、教会は入場無料。お買い物途中に、ぜひ訪れてみてください。
先ほど載せた写真を見れば分かるかと思いますが、これだけ豪華な教会は他でもあまり見かけることができません。まず、祭壇部分はカルロ・マラッタ(マラッティと表記することもあります)によるもの。彼は後期バロックの画家で、ラファエロにルーツを持つ古典的な技法を活かした作風が特徴です。
フレスコ画はジャチント・ブランディによるもので、クーポラ内部の天井画は彼の作品です。彫刻はフランチェスコ・カヴァリーニの作品。
外観からは想像できないほどの細やかで壮麗な装飾が美しく、感動的です。豊富な資金源があったからこそ実現する豪華な内装は、想像を絶する迫力。この教会がガイドブックにあまり載っていないのが不思議なぐらいです。
柱の大理石部分はボーダー柄になっていて存在感があります。一つ一つの装飾を作るのに、どれだけの時間がかかったのかということを考えると気が遠くなりそう。現代のようにさまざまな便利グッズがあったというわけではないので、職人の手仕事がこの教会を作り上げていると言えますね。
5. ミサの時間帯は見学不可
バジリカ・ディ・サンティ・アンブロージョ・エ・カルロ・アル・コルソの聖堂は、毎日朝の7時から夜の19時まで開いています。
ミサのスケジュールは平日の7:30~、12:00~、18:30~。休日は8:00~、9:30~、11:00~、12:00~、18:30~。というスケジュールで行われています。この時間帯は見学ができませんので気をつけてください。
ミサを受ける場合は参加可能ですが、通常イタリア語で行われることと、途中退席したり写真を撮ったりする人はいませんので、単純に見学したいという場合はミサの時間を避けて訪れるようにしましょう。
6. 教会を訪れる前に注意したいこと・マナーについて
そのほかの時間に見学する場合も、信者の方は祈りを捧げている場合があるのでもちろん静かにしておきたいものです。キリスト教徒でなくても聖堂の椅子に座ってOKですが、ものを食べたり寝たりしていると周りから白い目で見られるのでご注意ください。そんな人いないでしょ?と思うかもしれませんが、何度か見かけたことがあり驚きました。
こちらの教会に限ったことではありませんが、教会内で過ごすときのマナーというものがあります。行儀良く、迷惑をかけない、というのが大前提。フラッシュを使った撮影も美術品を傷めるだけでなく、周りの人を驚かせてしまうので避けましょう。フラッシュが禁止されていない場合でも、避けたほうが無難です。
ローマの教会へ行くときの服装は?
ストールやスカーフを持っている人は、肩からかけるなどして対応すれば大丈夫です。夏のローマは暑いので、開放的な服装で観光している場合が多いと思いますが、教会は神聖な場所。袖のある服装や胸元の詰まった服装で訪れるように準備しておけば、まず問題ないでしょう。
女性の場合はミニスカートやホットパンツも注意してください。こちらの教会はそこまで厳しくはありませんが、イタリアの教会の中にはかなり厳格に取り締まっているところもあり、入り口で白い不織布でできたケープを渡されている人もいました。
こちらは観光用の教会ではないので、そういったケープの準備などはされていなかったと思うのですが、もしどうしてもスカーフやストールの準備ができないという場合は、入ってもいいか尋ねてみるのがいいですね。教会の場合、入り口付近には大抵誰もいないのですが、怒られると旅の思い出が台無しになってしまいますので、一応係りの人を探してみてください。
撮影:yukaco
基本情報
- 名前:バジリカ・ディ・サンティ・アンブロージョ・エ・カルロ・アル・コルソ(Basilica dei SS.Ambrogio e Carlo al Corso)
- 住所:Via del Corso 440, 00186 Rome, Italy
- 開館時間:7:00-19:00(ミサの時間は見学不可)
- ミサのスケジュール:
[平日]7:30〜、12:00〜、18:30〜
[休日]8:00〜、9:30〜、11:00〜、12:00〜、18:30〜 - 見学料:無料
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yukaco
- 17歳のときに初めてフィレンツェ、ヴェネチアへ行ってからすっかりイタリア贔屓に。定期的にイタリアへ旅行。
食、ファッション、アートが得意分野。興味があればどこへでも行くフットワークの軽さでハードスケジュールな取材も敢行。
イタリアの中で一番好きな場所はミラノ・スカラ座。好きな食べ物はラヴィオリ。