チェンマイ近郊の知られざる別世界にバイク・ツーリング!千変万化の"チェンダーオ山"と秘湯"土管温泉"にどっぷり浸る旅

10月末にようやく雨季が終わって、一年で一番過ごしやすい"ドライ&クールシーズン"がやって来た。近郊ドライブやバイク・ツーリングには、最適の季節だ。

目次

快適な気候のなか快適な近郊ドライブ&ツーリング

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チェンマイ市内の北側には、市街地を緩やかに流れるピン川をさかのぼるようにして107号線が伸びている。

この郊外ハイウエイを愛用のスクーターでメーリム、メーテンと快適に走り抜け、カーブの多い渓流沿いの景観ドライブを楽しんでいると、ある地点で一気に視界が開けて息を呑むことになる。

前方上空に現れるのは、タイで三番目に高いチェンダーオ山(2,175m)の雄姿である。

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移動するたびに刻々と姿を変えるチェンダーオ山の魅力

最初に目を引きつけるのは、赤茶色の岩肌もあらわな猛々しい姿。ところが、渓流沿いのカーブを走り終えてチェンダーオの町に向かう広い直線道路に入ると、全山が深い緑に覆われて実に起伏に飛んだ山稜がその全容を現す。

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タイで三番目の高山とはいえ、標高は2,175m。けれど、日本でいえば筑波山のように平地の上にどんと盛り上がっているという感じだから、実際の数字よりもはるかに高くのしかかるような迫力がある。

稜線に白い雲がかかっていたりすると、中国雲南省の5,000m〜6,000m級の雪山を連想させるくらいだ。

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「天国」と「地獄」が同居する不思議寺

移り変わる山の景観を楽しみながら辿り着くチェンダーオの町は、派手な観光化とはまったく無縁だ。賑やかなチェンマイの市街地と比べると、ホッと息をつきたくなるひなびた田舎町である。

特に当てもなくゆっくりと走っているうちに、お寺の境内に迷い込んだ。

雄大な山並みが見える方に進むと、左手に大きな仏陀と守護鬼の像。その背後に、今度はお椀のような形のチェンダーオ山がどんとそそり立っているので、またもやびっくりすることになる。 

それを起点にして、右手にナーン山の女性的ななだらかな稜線が居流れ、さらにその右手に視線を移すと、チェンダーオ山系独特の奇岩の山の連なりが180度の絶景大展望を形作っている。
まるで、天国のような眺めだと思った。

満足の溜め息をついて踵(きびす)を返すと、右手前方に違和感を感じた。

ずらりと居並ぶ仏像が見守る芝生の上に、毒々しい彩色を施した異様な姿のコンクリート塑像が密集している。そう、ここはタイ人の好む「地獄寺」でもあったのだ。

かつての日本でも見られた「地獄絵」と同様に、人が悪業を働くと地獄に落ちて、さまざまな責め苦に遭うという仏教の教えを形にしたものである。一つ一つの責め苦の様子は、確かに私も子供の頃に祖父母に聞かされた記憶がある。しかし、そのあまりにもリアルな様に「これを見たタイの子供たちはうなされたりしないのだろうか」と心配になってきたほどだ。

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苦しい階段登りの果てにたどり着く深山の瞑想寺

チェンダーオ山ウオッチングの途中で、左手に入り込む細道を見つけた。角の看板には「ワット・トゥム・パプロン」という表示がある。

ワットはタイ語で寺院のことだ。タイによくある黄金色の派手なお寺だろうか?

そう思いつつ境内に入ると、どうも様子が違う。いわゆる、本堂が見当たらないのだ。首をひねりながら進むと、階段に突き当たった。振り仰ぐと、長い龍の胴がくねったような階段が山の上に向かって延々と伸びているではないか。

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ゆっくりと足を運びつつ300段までは数えたが、それから先は息が切れてどうでもよくなった。喘ぎながら、ようやく展望の開けたテラスのような場所にたどり着いた。

居合わせた僧侶の指示で靴を脱ぎ、タイル張りの綺麗な階段を登り詰めた。目の前には、巨大な洞窟をそのまま本堂に見立てた荘厳な空間が広がり、至るところを黄金の仏像が埋め尽くしている。思わず正座をして両手を合わせ、タイ式の三拝をしながら旅の安全を祈った。

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奥の岩の間から出て来た僧侶に聞くと、ここは厳しい修行で知られる瞑想寺であるという。

彼の勧めでさらに回り階段を登ると、丸いテラスの向こうにほぼ360度の大展望が広がり、背後にはまたもや太陽を背負ったチェンダーオ山の蒼黒い山頂がのしかかってきた。

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地元民と日本人が力を合わせて整備した渓流沿いの秘湯

さて、嬉しいことに瞑想寺の階段登りでかいた汗を流すのに最適な温泉が近場にあるという。

チェンダーオ洞窟に至る道からちょいと左手に入った小道は、舗装されていないでこぼこ道だ。ここを慎重に走っておよそ20分。前方に「ワイルドライフ・リサーチ・ステーション」の表示が見えたところで、バイクを停めた。

左手に、渓流のせせらぎ。その河原に土管がずらりと並んで、そこへパイプを伝って温泉が流れ込んでいる。土管の湯に手をつけて、温度をはかる。適温の土管を選んで、ゆっくりと身を浸す。「あー、うー、極楽、極楽」思わず声が出る。

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汗が出て来たら土管から出て、川の中へ。水は浅いが、腹這いになれば全身が清冽な水に包まれる。透明な流れの中に魚が見える。

仰向けになると、大木の茂みの隙間から木漏れ日が降ってくる。ツーリングの疲れが、みるみる癒されてゆく。

川から土管へ、土管から川へ、何度往復したことだろう。

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河原にはミネラルを舐めに無数の蝶が集まってくる。背後の草原では、水牛が草を食んでいる。

川向こうには、この温泉を発見したカレン族が暮らす村が見える。のどか過ぎる。このまま眠れたら、どんなにか幸せなことだろう。

まとめ

チェンマイ市街地からチェンダーオまでは、80km少々。約1時間半のドライブ&ツーリングだ。瞑想寺に登ってから土管温泉に入っても、ゆったりした日帰りコースとなる。河原の土管温泉に更衣室などはない。タイ式にバスタオルで体を覆って水着や浴衣に着替える。タイでは、温泉でも全裸になってはいけない。 

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クンター吉田

チェンマイ在住の物書き&プランナー。「チェンマイわいわい映画塾」主宰。趣味:北タイ温泉探訪バイク・ツーリング。

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