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フランス・オンフルールはどこを切り取っても絵になるかわいい港町
オンフルールは、北仏ノルマンディー地方の港町。イギリス海峡に流れ入るセーヌ川左岸の河口にある住民8,000人足らずのこの街は、いつも世界中からの観光客で賑わっています。日本でも人気の高いオンフルールの魅力を、分かりやすくご紹介します。
目次
どこをとっても絵になる街並み
オンフルールといえば、この旧港の風景。小型船やヨットの背景に、ぎっしり並んだ色とりどりの背高のっぽの建物たち。街を訪れた人は、この風景を見た瞬間「わぁ、かわいい!」と歓声をあげます。そう、オンフルールの街並みは、「美しい」というより「かわいい」というのがぴったり。
旧港から広がる迷路のような路地、石畳の坂道、カラフルな木枠のみえた古い家屋、工夫を凝らしたおしゃれな商店、四季を彩る草花たち。そのどれもが、ちまちまと愛おしい。風景のどこを切り取っても絵になる、フォトジェニックな街です。
かつては印象派の画家たちに好んで描かれ、今日も芸術家を惹きつけてやまないのも納得。路地を歩くと、自分が物語の中に迷い込んだような気がするロマンチックな港町なのです。
歴史のある港町
オンフルールは、港町として長い歴史をもっています。イギリス海峡を隔てたイングランドとの貿易では、セーヌ川下流に位置する都会ルーアンやパリにとっての、重要な中継点でした。
15世紀の百年戦争時には、港は戦略的拠点となりました。この時破壊された石造りの教会を、一日でも早く再建しようと、船大工たちが身近にある木材で建てたのが、サント・カトリーヌ教会です。フランス最古最大の木造教会の天井は、船底をひっくり返した造りになっています。
大航海時代には、ここから出港した船が、はるかブラジルやカナダにまで辿り着きました。港に常設する遊覧船に乗って、昔を想いながら、海やセーヌ川にクルーズするのも楽しい思い出となるでしょう。
先駆者的芸術家を生んだ街
オンフルール出身の画家ブーダンと音楽家サティは、それぞれの分野において、先駆者的な役割を果たした芸術家です。街にはふたりの功績を讃えた施設があります。
ウジェーヌ・ブーダン美術館
印象派の先駆者といわれるウジェーヌ・ブーダン(1824-1898)。絵画は室内で描くものという時代に、いち早く野外での風景描写に熱中していたブーダンは、16才年下のモネに屋外制作の素晴らしさを説き、若い画家たちを自身のアトリエで指導しました。「印象派」という言葉が生まれる以前から、たった一人で光と風を追いかけていた人なのです。この美術館では、ノルマンディーゆかりの画家クールベ、モネ、デュフィ等の作品にも出会えます。
【Musée Eugène Boudin】
サティの生家
既定観念に囚われない音楽世界を築いた鬼才エリック・サティ(1866-1925)は、イージーリスニングの元祖ともいわれています。ここは、サティ作品のイメージを展示物にした館。
コクトー、ドビュッシー、ストラヴィンスキーなど、同世代の芸術家たちと活発に交流し、ユニークな創作活動をおこなったサティにふさわしく、館内には、翼をもつ巨大な洋梨、衣装を着た猿、純白の自動演奏ピアノなど、シュールな世界が広がっています。
【Mison Satie】
充実した飲食店や商店
オンフルールには、星付きから庶民派まで多種多様な評判の良いレストランがあります。新鮮な魚介類がお勧めです。商店街も充実しています。画廊や骨とう品、オリジナル・アクセサリー店が多く、お土産店もおしゃれです。
港町にふさわしい塩の専門店。色んな風味の塩を量り売りで買うことが出来ます。
塩バターからつくる良質キャラメル。種類がありすぎて迷ってしまいますね。
ノルマンディー地方名産の林檎のお酒、シードルやカルヴァドスもお勧めです。
私のとっておきの場所
最後に、私がオンフルールに行くと必ず立ち寄る、大好きな場所をご紹介します。それは、街の高台にあるノートルダム・ド・グラース礼拝堂。航海の安全を祈る船乗りやその家族の巡礼場所として、古くから慕われてきたこの礼拝堂は、中心街のサント・カトリーヌ教会と共に、港町オンフルールの心臓ともいえる場所です。
高台からこんな密やかな礼拝堂が、華やかなオンフルールの街を守っているのだ、と想像するだけでも、この街の魅力が増しませんか?
オンフルールへのアクセス
オンフルールへは、パリのサン・ラザール駅からリジュー駅まで、電車で1時間40分。そこからバスに乗って、1時間弱です。ドーヴィル駅、セーヌ川対岸のル・アーヴル駅からも、オンフルール行きのバスがあります。パリからは、直通観光バスやセーヌ川遊覧船からもアクセス可能です。
宿泊しても絶対後悔しない素敵な街ですので、出来ればゆっくりご滞在下さいね。
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原田さゆり
- 旅・文化・猫を愛する、フランスの田舎在住者。フランス中を旅しています。