フランス北西部の街「ルーアン」でジャンヌ・ダルクに想いを馳せる
記事投稿日:2019/09/19最終更新日:2019/09/19
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ジャンヌ・ダルクをご存知ですか?
15世紀、現在のフランスとイギリスの国境を決定付けた百年戦争の末期に、彗星のごとく現れた聖少女。神の啓示を受けたと軍の指揮を願い出て、フランス王国に逆転勝利をもたらし、シャルル7世のフランス王戴冠に貢献しましたが、その後敵軍の捕虜となり、わずか19才で魔女として火刑に処されました。死後、復権裁判で、カトリック教会の聖人と認定されています。
ドラマチックなジャンヌ・ダルクの短い人生を、終焉地となったルーアンでたどってみます。
目次
- ジャンヌはフランスの国民的英雄
- 幽閉された「ジャンヌ・ダルクの塔」
- 生涯がわかる「ジャンヌ・ダルク歴史記念館」
- 平和を祈りたい「ジャンヌ・ダルク教会」
- 日仏交流が盛んなサロン・ド・テ
- ジャンヌ関連のお土産はここで
- さいごに
ジャンヌはフランスの国民的英雄
ジャンヌ・ダルクは、フランスの国民的英雄です。
政治家には愛国のシンボル、宗教家には信仰や自己犠牲の模範、フランス国民はジャンヌの勇敢さや神秘性を敬愛しています。ジャンヌ・ダルクの像や、彼女の名にちなんだ地名やお店などは、ゆかりの地はもちろんのこと、フランスの全土にあります。
ルーアンにあるジャンヌの関連スポットは、三か所。ルーアン駅から中心街へと延びる、その名も「ジャンヌ・ダルク大通り」を歩いて、訪ねてみましょう。
幽閉された「ジャンヌ・ダルクの塔」
駅を背に歩き出すと、ほどなく左手に、石造りの塔が見えてきます。ジャンヌが宗教裁判にかけられた際に、牢獄として幽閉されていた塔です。当時はお城の一部であった窓のない塔の内部は、さぞ暗く、冷たい場所だったでしょう。戦闘を好まない田舎の羊飼いの少女が、どうしてこんな場所にたどりついたのでしょう?
Tour Jeanne d'Arc (Donjon de Rouen)
生涯がわかる「ジャンヌ・ダルク歴史記念館」
ジャンヌの生涯と当時のフランス事情は、歴史記念館で分かります。趣向を凝らした最新技術で上映される物語を追って、各部屋を移動して行くシステムなので、楽しく歴史を知ることが出来ます。更に嬉しいことには、オーディオガイドには日本語もあります。英仏語が分かる方でも、日常聞きなれない単語が結構出てくるので、おススメです。
この館を出る頃には、聖少女がどうして魔女として処刑されなければならなかったのか、知っていることでしょう。ジャンヌを死に至らせたのは、勝利を奪われた敵軍の憎悪、勝利を得た味方軍のエゴや怠慢、神に選ばれた田舎娘への宗教界の嫉妬、真実を語れなかった庶民の弱さ。そんな人間の心の邪悪が、権力闘争の欲望と、複雑に絡み合っているのです。
それに反して、ただ信念に生きたジャンヌはなんて潔かったのでしょう。
Historial Jeanne d'Arc
平和を祈りたい「ジャンヌ・ダルク教会」
火刑場になった場所には、現在は天高く十字架がたてられ、その傍らには、鎧を彷彿させるような美しい曲線の屋根を持つジャンヌ・ダルク教会があります。
市場やレストランや商店が立ち並ぶこの旧市街は、いつも観光客で賑わっています。銃をかかえたフランス兵たちが巡回するのも、お馴染みの風景。その中には、まだ年若い女性兵の姿もありました。ジャンヌが命を懸けて望んだ「平和で統一されたフランス」は、未だ実現していないのだ、と思った瞬間です。
教会の内壁は、16世紀の美しいステンドグラスで飾られています。
願うことはひとつ。平和な世界が実現しますように。
Eglise Jeanne d'Arc
日仏交流が盛んなサロン・ド・テ
ちょっと切なくなった心を明るくしてくれるサロン・ド・テ(=喫茶店)はこちら。ルーアン市役所広場にある「ケンタ・エ・アキラ」は、日本人夫妻が経営者。美味しい和洋折衷のお菓子や飲み物が楽しめるので、地元の親日家が集う日仏文化交流の拠点となっています。
海外で暮らす私は常々、世界平和の第一歩は市民交流にあると実感しています。畳スペースもあるこのお店では、よく日本人とフランス人が、お互いの会話を学習しあったり、文化の違いを語りあったりしています。日本に興味のなかった人が、未知の風味や日本人に接したのがきっかけで、親日家になってゆくというケースもあるのです。
店内にただよう優しい雰囲気に、旅の疲れが癒されること、うけあいです。
Pâtisserie Salon de thé Kenta et Akira
ジャンヌ関連のお土産はここで
歴史記念館内の売店
ジャンヌ関連グッズがそろう場所。中でも、ジャンヌの自筆のサインがロゴになったエコバッグやマグカップは、あなた自身への旅の思い出に。
チョコレート、マカロン専門店Auzou(オズー)
ローストアーモンドをキャラメルとカカオで包んだお菓子「ジャンヌ・ダルクの涙」は、3粒入りから大箱まで。2種類のジャンヌのイラストからお好きな箱を。
▼Auzou Le Chocolatier Normand
コーヒー・茶専門店Cafés Jeanne d'Arc(ジャンヌ・ダルク)
騎乗のジャンヌが目印のルーアンの老舗コーヒー店。すてきなパッケージに入った薫り高いコーヒーから、お好きなブレンドを見つけてください。
▼Cafés Jeanne d'Arc
さいごに
北フランスの大都会ルーアンは、古い街並みが残る美しい古都。教会が多く、クロード・モネが連作を描いたルーアン大聖堂は世界的に有名です。パリのサン・ラザール駅からルーアン駅まで、電車でわずか1時間15分。是非、訪ねてくださいね。
- この記事を書いた人
原田さゆり - 旅・文化・猫を愛する、フランスの田舎在住者。フランス中を旅しています。
記事投稿日:2019/09/19最終更新日:2019/09/19
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