2018年12月にリニューアルオープンしたロシアの負の遺産「強制収容所博物館」

旅行をするときに、その国のきれいな所、素晴らしい所だけを見てその国を知った気になるのではなく、その国の負の遺産も見られるのであれば、見たほうがいいと私は思います。今回は、ロシアの負の部分を紹介します。

ロシアの負の遺産と言えば、強制収容所です。ロシア北部に世界遺産に登録されているソロヴェツキー島がありますが、交通の便が不便で行くのが本当に大変です。そして、やっとたどり着いても担当のガイドさんによっては、収容所だった部分の説明をしてくれないことがあります。ソロヴェツキー島に行かなくても、収容所の様子を知ることができる博物館がモスクワにあります。

しばらく修復中で見学できませんでしたが、2018年12月に強制収容所博物館がリニューアルオープンしました。

目次

豊富な展示物

博物館内は、収容所をイメージしているのか、照明が薄暗くて通路も狭く入り組んでいます。見学途中で気分が悪くなる人もいるかもしれませんが、ソビエト時代の暗黒の歴史を知るにはとても素晴らしい博物館です。

博物館に入ってすぐ、収容所のドアがいくつも展示されています。

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その後は階段を下り、収容所に収容されていた人の私物などの展示から始まります。

博物館の案内版はロシア語表記と英語表記があるので、ガイドをつけずに自分のペースで見学できます。また、展示物によってはロシア語と英語のイヤホンが設置されていて、展示物を見ながら説明をきくこともできます。もちろんガイド料を150ルーブル払ってつけてもいいですが、ロシア語での説明です。隅から隅まで説明するのではなく、ポイントポイントでの説明になるため、ロシア語がよく分からない場合は自分のペースで見学したほうがいいです。

ソロヴェツキー島の収容所の展示物もたくさんあります。当時の写真や収容所で使っていたものなどの展示が本当に充実しています。

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日本人でもソロヴェツキー島の強制収容所に収容された人がいたとは!

興味深く展示物を見ていたら、日本人らしい顔の写真を見つけました。

段々近づくと、漢字も見えてきました。間違いない、日本人だと思いました。そして、展示物を見て案内を読むと「勝野金政さん」という島崎藤村と交流があった人だということが分かりました。

ソビエト連邦国内で一番初めに作られ、生きて帰ることができた人が少ないといわれているソロヴェツキー島の収容所にいた時期があるということでした。勝野さんは、日本のソルジェニーツィン(「収容所群島」という本を書いた人)と言われている人で日本へ帰国後、収容所生活について本を書いています。

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ロシア人も「恐ろしい。」とつぶやくほどの展示

足元に無数の弾薬がちりばめられた展示室があります。ここは、一歩足を踏み入れただけで異様な空気を感じました。

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何の展示か近づいて見てみます。スターリンによる処刑命令の展示でした。一日に処刑している人数が尋常でなく、それを見ていたロシア人も「恐ろしい」とつぶやいていました。

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ソビエト時代の暗黒の歴史を現代のロシア人にしっかり伝えている

処刑命令だけでなく、スターリンは強制移住ということもやりました。ある日突然、民族ごと中央アジアの生活しにくい場所へ強制的に鉄道で移動させられました。

その強制移住の年と民族が移動させられた場所が地図に記された展示もあります。

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ソビエト時代の歴史もしっかりとこの博物館は展示しています。

どうやっていくの?

この博物館は比較的中心部にあります。

地下鉄駅は、黄緑の地下鉄Dostoevskaya駅、茶色の地下鉄Novoslobodskaya駅、灰色の地下鉄Tsvetnoy Bulvar駅から、それぞれ徒歩15分。

  • 住所:127473,Moscow,1-y Samotechny pereulok,9/1
  • 営業日:火曜日~土曜日/12:00~20:00
  • 休館日:月曜日と毎月最終金曜日
  • 入館料:200ルーブル
    ※ガイドをつけて案内をしてもらうと別途150ルーブル
  • 館内の写真を撮ることができます。
  • 毎月第3週(15日がある週)の火曜日は入館料が無料になります。
  • ウェブサイト:http://www.gmig.ru/

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チェブラーシカ

高校3年生の時に好きになったロシア。音楽、文学、歴史、美術、バレエ、料理、ロシア人気質などに興味をもちました。でも、ロシア語を専門に学んだことはありません。ロシアが好きでいろいろ知るうちに、2016年12月にロシア人男性と結婚し、2017年4月からロシアに住むことになりました。普通のガイドブックには載っていない情報をお届けします。

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