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毎月第一日曜日だけ!ローマの美術館・博物館を無料で回ってみた
毎月第一日曜日は、イタリア全土の国立美術館が無料で入館可能になることをご存知でしたか?この制度を目一杯活用すると、入場料が高くて敬遠しがちな美術館やマイナーな博物館も、全部無料で鑑賞することができちゃうんです!
この記事では、実際にその仕組みを活用して、私が一日ローマの美術館などを見尽くした日についてご紹介します。
※編集部註:当記事はライター執筆時(2017年5月)の情報を元に構成しております。最新情報は各公式サイトなどをご確認ください。
目次
- ローマの美術館と遺跡巡り、まずはコロッセオから!
- コロッセオだけじゃない!フォロ・ロマーノも同じチケットで入れるぞ
- 無料開放日に始めて訪れた、ローマのヴェネチア国立博物館
- カラヴァッジョの作品が印象的な、ローマの国立古典絵画館も無料!
- 最後は夕暮れのサンタンジェロ城でおしまい!
- 毎月第一日曜日のローマで、美術館巡りにかかる費用は?
- もし、美術館が無料じゃない日だったら......?
- 第一日曜日にローマの美術館を巡るときは、混雑に注意!
ローマの美術館と遺跡巡り、まずはコロッセオから!
<撮影:ゆうさん>
私が第一日曜日、一番に向かったのはあの有名なコロッセオでした。理由は簡単で、ダントツで混むからです。無料開放日のコロッセオはいつもよりたくさんの観光客が待っているため、タイミングが悪いと1~2時間程度待たなければなりません。
この日は朝9時過ぎにはチケットカウンターへ赴いて、入場券を手に入れました。この時間であれば、観光客数がピークを迎える7月でも、10~15分待ちとそれほど並ばずに入場できましたよ。
<撮影:ゆうさん 出典:BUONO!ITALIA>
コロッセオは、紀元80年に完成した円形闘技場で、正式名称はフラウィウス円形闘技場と呼び、ネロの後に皇帝に就任したウェスパシアヌス帝の一族の名前が付けられました。
コロッセオは映画などで有名なように、グラディエーター(剣闘士)達が戦い、多くの血が流れた場所です。中はかなり岩がむき出しになっていて、ローマ帝国の栄華を極めた時代の面影は感じられないかもしれませんが、なんとも言えない生々しさがリアルです。
<撮影:ゆうさん>
ちなみに、コロッセオはいわゆる"欠けている部分"が有名ですよね?この欠けた部分はどうしたかというと、実は15世紀、同じローマ市内にあるヴァチカンのサン・ピエトロ大聖堂が建築された際に、不足していた石材として切り出されてしまったのだそうです。
<撮影:ゆうさん>
アーチが続く外周部分には下からドリス、イオニア、コリントという3様式の柱が特徴的なので、歩きながらじっくり確認してみてはいかがでしょうか?
基本情報
- 正式名称:コロッセオ(Colosseo)
- 住所:Piazza del Colosseo, 1, 00184 Roma RM
- 公式サイト:https://www.coopculture.it/colosseo-e-shop.cfm
コロッセオだけじゃない!フォロ・ロマーノも同じチケットで入れるぞ
<撮影:ゆうさん>
さて、コロッセオを鑑賞し終わった後は、隣のフォロ・ロマーノにも行ってみましょう。ちなみにコロッセオとフォロ・ロマーノの入場券は共通です。ローマの超有名な2大遺跡に無料で入れるなんてすごい!
<撮影:ゆうさん>
東西に細長い形をしたフォロ・ロマーノは、共和政から帝政の時代には、ローマの政治・経済・宗教の中心でした。
当時ローマ帝国がヨーロッパの大半やアジア、アフリカの一部を領土下に収めていたことを考えれば、その帝国の中枢であるフォロ・ロマーノは、まさに世界の中心と言っても過言ではないでしょう。
<撮影:ゆうさん>
フォロ・ロマーノがある場所は、実は昔、テヴェレ川の増水や氾濫によってよく水没してしまう湿地帯でした。そこではマラリアなどが問題となり、とても人が住める環境ではありませんでした。
しかし、ローマが誕生した紀元前7世紀頃から、灌漑(かんがい)工事などが行われたことで、神殿や公的な建築物がたくさん建つようになり、今日のような姿になりました。古代の神殿や邸宅に囲まれたこの場所を歩いているだけで、古代ローマの息吹を感じられると思います。
基本情報
- 正式名称:フォロ・ロマーノ(Foro Romano)
- 住所:Via della Salara Vecchia, 5/6, 00186 Roma RM
無料開放日に始めて訪れた、ローマのヴェネチア国立博物館
<撮影:ゆうさん>
ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世の正面にあるヴェネチア広場は、もしかすると名前は聞いたことがあるかもしれませんが、その隣にあるヴェネチア宮殿や国立博物館の存在は、あまり知られていません。
<撮影:ゆうさん>
これは15世紀、ヴェネチア出身の後の教皇パウルス2世が建てた宮殿で、質素な外見とは裏腹に、中庭に入ってみるとルネサンス時代の回廊があり、中のヴェネチア国立博物館でもルネサンスやバロック時代の絵画を見ることができます。
ちなみにこの宮殿は、ファシズム時代のムッソリーニが官邸として利用していたことでも知られていて、その部屋は豪華絢爛でありながらもシンプルさを感じさせる、時代特有の趣を感じさせてくれます。
<撮影:ゆうさん>
この宮殿は、よほどの美術や建築などのファンでなければ足を運ぶことはないでしょう。
しかし、こうした無料開放日だからこそ、「せっかくだから見てみよう!」という気持ちが芽生え、自分の価値観や興味関心を大きく広げるキッカケになったのです。そんなことを考えながら鑑賞を楽しんだのでした。
基本情報
- 正式名称:パラッツォ・ヴェネチア国立博物館(Museo nazionale del Palazzo di Venezia)
- 住所:Piazza di S. Marco, 49, 00186 Roma RM
- 公式サイト:http://museopalazzovenezia.beniculturali.it/
カラヴァッジョの作品が印象的な、ローマの国立古典絵画館も無料!
<撮影:ゆうさん>
数多の美術館がひしめくローマにおいても、名高い作品を多く収蔵していることでも知られる国立古典絵画館にも無料で行って参りました。地下鉄A線バルベリーニ駅のすぐそばなので、アクセスもしやすいでしょう。
<撮影:ゆうさん>
この美術館では、12~18世紀の時代の絵画を中心に鑑賞することができ、特に有名なのはラファエロやカラヴァッジョの作品かもしれません。個人的に、カラヴァッジョは非常に好きな画家で、彼の絵画が置かれているローマの教会をじっくりと巡ったこともあります。
こうして無料で時間をかけて鑑賞できる機会は、私のような学生(ライター執筆時)にはとてもありがたかったです。
<撮影:ゆうさん>
特にインパクトが強いのが、カラヴァッジョの作品「ホロフェルネスの首を斬るユディト」でしょう。旧約聖書に登場する、未亡人ユディトが将軍ホロフェルネスの首を切る場面を描いたもので、この絵画を目の前にすると、彼特有の薄暗い背景と相まってよりどす黒さを感じました。
<撮影:ゆうさん>
また、やはりカラヴァッジョの作品である「ナルキッソス」は、ギリシア神話に由来するお話。ナルシストという言葉の由来ともなったナルキッソスは、水面に映った自分の美しい顔に見とれてしまい、ずっとそこから離れられなくなってしまいます。そして最後は自分の姿に引き込まれるようにして、水に落ちて死んでしまいました。
美しい少年の顔立ちももちろんですが、その柔らかな曲線美、水面に映る姿の精巧さ、そしてカラヴァッジョ特有の明暗の使い分けなどに注目してもらいたいです!
基本情報
- 正式名称:ローマ国立古典絵画館(Gallerie Nazionali di Arte Antica di Roma)
- 住所:via delle Quattro Fontane, 13 - 00184 Rome, Italy
- 公式サイト:https://www.barberinicorsini.org/
最後は夕暮れのサンタンジェロ城でおしまい!
<撮影:ゆうさん>
ここまで色々な場所で美術品や建築物を鑑賞し続けていると、かなり疲れてしまいますよね?
そのため、私が最後にもうひと踏ん張りして訪れたサンタンジェロ城の博物館は、美術品を中心に鑑賞するというより、部屋全体の雰囲気や内装、城内部の特徴的な構造や景色などを楽しみました。
<撮影:ゆうさん>
こうやって疲れた時には肩の力を抜いて鑑賞できるのも、無料開放日ならではだと思います。また、最後にサンタンジェロ城を選んだのは、屋上からの景色が素晴らしいから!
この日は、あいにく夜は曇ってしまいましたが、天気が良ければテヴェレ川とローマの街並みを収めた最高のサンセットを見ることもできます!
<美術館賞のラストは素敵な景色で締めくくってみてはいかがでしょうか。撮影:ゆうさん>
基本情報
- 正式名称:サンタンジェロ城(Castel Sant'Angelo)
- 住所:Lungotevere Castello, 50 - 00193 ROMA
- 公式サイト:http://castelsantangelo.beniculturali.it/
毎月第一日曜日のローマで、美術館巡りにかかる費用は?
私や友人が、第一日曜日の無料制度を活用し、ローマの美術館巡りで使った費用は、以下の通りでした(金額やレートは2017年の情報です)。
- 交通費:1.5ユーロ(電車代1回分)
- 食費:12ユーロ(ピッツァのランチとおやつで買ったジェラート)
- =合計:13.5ユーロ(約1,700円)
待ってください。めちゃくちゃ安くないですか?一日中ローマの観光地をあちこち歩き回って見まくったのに、こんなに安く済んでしまうとは!
私たちも解散する前に使った金額を調べたら、財布の中のお金があまりにも減っていないので驚きました。ちなみに今回は教会を訪れることはなかったことから、寄付も特にありませんでした。
もし、美術館が無料じゃない日だったら......?
では、私たちが巡った全ての美術館を無料ではない日に訪れたら?費用は以下の通りになるはずです。
- 交通費:1.5ユーロ
- 食費:12ユーロ
- コロッセオとフォロ・ロマーノ:13ユーロ
- ヴェネチア国立博物館:5ユーロ
- 国立古典絵画館:12ユーロ
- サンタンジェロ城:14ユーロ
- =合計:47.5ユーロ(6,000円)
第一日曜日とそうではない日で、約4,000円以上の差が生まれています!4,000円もあれば、レストランで美味しい料理やワインを楽しむことができてしまいますね。
第一日曜日にローマの美術館を巡るときは、混雑に注意!
ローマの第一日曜日は観光客だけでなく、市民も美術館にやってきますので、コロッセオなどの有名な観光地はかなり混み合います。チケットを入手するだけで1時間くらいかかってしまうこともあるため、なるべく早朝から行動するようにしましょう。
<チケットカウンターはここにあります。撮影:ゆうさん>
ちなみに、コロッセオのチケット購入は、コロッセオから少し離れたフォーリ・インペリアーリ通りにあるチケットカウンターが最も人が少なくてオススメです。コロッセオとフォロ・ロマーノ両方に面したコロッセオ広場では、長蛇の列ができているため待つだけで疲れてしまいます。
ローマへ旅行する際に、美術鑑賞をメインとして楽しみたいのであれば、毎月第一日曜日に合わせてスケジュールを立てると、とっても節約できる上に楽しい滞在になると思います。美術館好きは要チェックですね!
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ゆうさん
- イタリア・ローマ大学に1年留学。イタリア各地の魅力を学生ならではの視点から紹介できたらと思っております。南米一人旅を敢行するほど旅が大好きです!