ファッションの都パリのイヴ・サンローラン美術館
記事投稿日:2019/06/24最終更新日:2019/06/24
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フランス パリは言わずと知れたファッションの聖地。ファッションに詳しい方でなくとも、『イヴ・サンローラン』という名前は聞いたことがある!と言われるくらい、言わずと知れた有名ファッションブランドの一つ。
1974年から2002年までメゾンの本社だった建物をピエール・ベルジェ=イヴ・サンローラン財団が改装して2017年10月にパリ16区のセーヌ川のアルマ橋近くのマルソー通り(Avenue Marceau)に美術館としてオープンさせました。 他の美術館に比べるとこぢんまりとしていますが、イヴ・サンローラン自らが保存したい!と選んだコレクション、3万5,000点程のデッサン、アクセサリー、縫製品や小物など貴重なコレクションが展示されている見どころ満載の美術館です。
たくさんの一流老舗ブランドが店を構えているモンテーニュ通り(Avenue Montaigne)、シャンゼリゼ通り(Avenue des Champs-Elysées) から程近い通りにあるので美術館見学の後は、ショッピング、ウインドーショッピングも楽しめるおしゃれなエリアです。
目次
美術館の入り口、チケット情報
ナポレオン3世様式の建物を改装したイヴ・サンローラン美術館。外観は美術館というよりもお金持ちマダムの邸宅というような佇まいは、少しわかりにくいかもしれませんがジーっと建物を見ながら歩いていると『YSL』の文字が目に飛び込んでくるハズです。入り口には守衛の方が立っており、日によっては入場制限もあるようです。
イヴ・サンローラン美術館のサイトでは30分区切りでオンライン予約もできるようになっています。私は並ばず確実に入りたかったのでオンライン予約で見学をしました。クレジットカード支払いでチケットは印刷せずにスマホの画面に保存して見せるだけOKなので簡単でとても便利でした。
入り口でセキュリティーチェックを済ませ、大きなシャンデリアのあるエントランスの階段を上るとチケットカウンターがあり、ここから見学スタートです。
当時の雰囲気
はじめに案内されるお部屋は1976年まで実際にファッションショーも行われていたサロン。ファッションには目がなく常に情報を収集しているというわけではないのですが、ここにたくさんの顧客、デザイナー、カメラマンやマスコミの方が詰めかけ、トップクラスのモデルが今季のコレクションを身にまといこの部屋を歩いてショーをしていたことを想像すると、まるで実際その映像を見ていたかのような錯覚を感じる不思議な空間です。
現在ここのサロンは、当時の雑誌、新聞、写真が掲載されています。
服ができるまで
トルソに飾られたイヴ・サンローランの有名なコレクションの一部。同じ形のシンプルなデザインの服でも色の組み合わせ、大きさ、配置、生地の素材でこんなにも印象が変わることを改めて実感させられます。そして改めてファッションは面白い!っと思わせてくれるコレクションだと思います。
実際のデザインのデッサンや、作り上げていくまでの工程が書かれたものが多く展示されていてファッション関係者だけでなくとも詳細に描かれているデザイン、生地の情報や組み合わせ、メモ書きなどは素人でもついつい見入ってしまうほどで、繊細で絵のようで見ていてとても興味をそそられます。
圧巻のコレクション
イヴ・サンローラン自身が自ら保存したいと選んだコレクションの一部が惜しみなく展示されています。
日々の生活に疲れていてファッションから遠ざかっていた私ですが実際のコレクションを目にし、やはりファッションは面白い、楽しい、素敵だ!っと改めて思わせていただきました。
イヴ・サンローランのアトリエ
イヴ・サンローランが実際に使用したアトリエを、当時のまま見学できます。中庭が見えるアトリエは広くはないものの窓が大きく天井が高いので、とても開放感があり、居心地がよく、またデスク周りや棚は綺麗にわかりやすく収納されていて感動しました。
収納の仕方や見せ方、飾り方などを含め、ここでたくさんのコレクションのデザインが生み出されたと思うととても興味深く、インテリアや色の配色など全てが美しいアトリエです。
日本や中国、アジアの本もいくつかあり、今のようにインターネットで瞬時に世界中の情報が得られる時代ではなかったものの、たくさんの情報をこうして得ながらてデザインをしていた様子が想像できます。
イヴ・サンローランとは
1936年8月フランス領アルジェリアで生まれ、子供の頃にパリに移住。1953年17歳の時にパリのファッションデザイナー養成校に入学。デザインコンクールのドレス部門で最優秀賞を受賞。その時イヴのデザインしたカクテルドレスを縫製したのはユーベル・ド・ジバンシー、そしてこのコンクールの毛皮部門の受賞者はシャネルのデザイナーのカール・ラガーフェルドといった名だたるメンバーが揃っていた時代でした。またこの時の審査員VOGUEのディレクターがイヴの才能に驚きクリスチャン・ディオールに紹介、21歳でクリスチャン ディオールの主任デザイナーとなり数々の名コレクションを残します。
その後1960年にアルジェリア独立戦争で戦っていたフランス軍に徴兵されますが軍隊内のいじめの影響で精神的に病んでしまい治療を受けます。1962年神経衰弱が完治した後 ディオールを去り、芸術後援者で恋人のピエール ベルジェの出資で自身のブランド『イヴ・サンローラン』を設立し、たくさんのコレクションを発表。またコレクションのショーではイヴが初めて白人以外のアフリカ系やアジア系のモデルを起用し新しい時代を築いた先駆者でもあり、名実ともにトップブランドを築きました。2002年に引退後はモロッコのマラケシュで過ごし、2008年6月に71歳で逝去されました。
ファッションブランドとして名前は知っていたもののイヴ・サンローランという人はどんな人でどんな人生を送ったのか、改めて調べてみると歴史的な背景も含め若い頃から才能を認められ、第一線を走り続けた人生に刺激を受けました。
いくつか展示されていたコレクションの中で一番気になったコレクションは毛糸で作られたウエディングドレス。すっぽりと全身包まれ可愛らしさと妖艶さが織り込まれているような不思議なドレスでほとんど見たことのない斬新なデザインにしばし見入ってしまいました。
この他にもたくさんのコレクション、宝石の展示やイヴ・サンローランの短編映画、ファッションショーのビデオなどもみることができ、小さな美術館ですが見どころ満載で、たくさんのインスピレーションと刺激を受けました。イヴ・サンローランの美術館はパリの他にイヴが引退後最も長く過ごしていたモロッコのマラケシュにもあるそうです。
Musée Yves Saint Laurent(イヴ・サンローラン美術館)
- 住所:5 avenue Marceau, Paris 16e
- 電話番号:+33(0)1 44 31 64 00
- ウェブサイト:https://museeyslparis.com
- この記事を書いた人
Madame Villars - 日本(東京)→フランス(パリ西部)→中国(内陸)→現在フランス(パリ西部)在住4年目。アンティーク、ウインドーショッピング、フラフラ歩き、ヨガ、探検、新発見好き。
記事投稿日:2019/06/24最終更新日:2019/06/24
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