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まるで宮殿のような労働者たちの共同住宅フランス・ギーズの社会宮殿

記事投稿日:2019/02/21最終更新日:2019/02/21

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フランス北部の田舎町ギーズには、訪れる人がみな「え、こんなところにお城!?」と仰天する建物が、どん!と建っています。左右に翼棟を控える赤レンガの建物の前には、広い石畳の広場、後方には、緑濃い敷地が贅沢に広がる外観は、確かに見るからに宮殿然としています。

実はこれは、19世紀に建てられ、「ファミリステール」と名付けられた、労働者たちの共同生活の場所なのです。別名「社会宮殿」とも呼ばれています。

目次

労働者たちの社会宮殿

敷地内には、劇場や、図書館、共同プールや商店なども揃え、2,000人の共同生活が可能な場所として作られました。

これを形にしたのは、ちょうど200年前の1817年に生まれたジャン=バティスト アンドレ・ゴダン。裕福とは言えない家庭に生まれたゴダンでしたが、鍵職人から身を起こし、鋳鉄ストーブの工場を1846年ギーズに構えます。もともとの才能もあったのでしょう。全くの独学ながら、のちには、本を執筆し、政界にも進出します。

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<1865年、建設途中にあるファミリステール>

その彼が心酔したのが、シャルル・フーリエの説く「協同体の創造」。その思想を形にしようと、私財をなげうって、自社工場のあるギーズに建設したのがファミリステールなのです。

画期的な機能性を備えた建築

当時としては画期的な機能性を備えていたファミリステールのアパート。例えば、通路や階段には、ちゃんと住人が行き交うことのできる幅を取ってあります。また、空気の入れ替えを重視し、どのアパートの窓にも、大きなガラスを贅沢に使いました。

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<1890年の写真。子どもたちは毎朝中庭に集合し、先生に引き渡されていた>

特に目を奪われるのは、一階から四階まで吹き抜けとなった中庭のガラス張りの屋根です。そのおかげで、中庭は、天候を気にせず、大人数の催しを開くことができる空間となりました。また、毎朝学校に行く前の子どもたちが集合する場所としても使われていました。

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<社会宮殿中央建物の中庭>

多岐にわたるテーマを扱う博物館

実は、今もファミリステールの一部はアパートとして使われていて、ちゃんと居住者がいます。けれども、そのほかの場所は、博物館として公開されており、当時の労働者階級の生活を垣間見たり、ゴダンの生きた時代のフランスの経済、シャルル・フーリエの思想についても学ぶことができます。ファミリステールの元住人や、ゴダン工場の工員らのインタビューも映像で見ることができ、非常に興味深いものです。全部丁寧に見ていたら、あっという間に日が暮れてしまうボリュームです。

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<社会宮殿右翼棟の階段>

ゴダンが開いた工場は、今もファミリステールのすぐ近くにあり、立派に動いています。

一介の少年職人から、町の名士にまで上りつめながら、主義主張を生涯変えることがなかったゴダンは、1888年息を引き取るまで、ファミリステールの一角にあるアパートで暮らしていました。その部屋も見学可能となっていますので、どうぞ忘れず訪れてみてください。

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この記事を書いた人
冠ゆき
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記事投稿日:2019/02/21最終更新日:2019/02/21

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