アムステルダム近郊!愛らしい風車村 『ザーンセスカンス』

ザーン川沿いの風車群、木造の伝統家屋、チーズ工房やベーカリー、広々とした牧草地。『ザーンセスカンス』は、17、18世紀ザーン地方の暮らしを再現した風車村です。アムステルダム近郊にして、オランダならではの牧歌的な風景に出会えます。

目次

風車、木靴、チーズを一度に満喫♪

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アムステルダムの北西12kmに位置するザーンセスカンスは、オランダでも名高い風車村です。悠々と流れるザーン川のほとりに8基の風車が稼動し、周辺には長閑な牧草地が広がります。

村の中にはザーン地方の伝統家屋が立ち並び、商人や漁師の家、船着場、跳ね橋、チーズ工房やチョコレート工房など、17、18世紀の町並みが再現されています。

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緑の壁と白の窓枠が愛らしい木造の伝統家屋

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木靴職人や織物職人、樽職人の工房では職人による実演が行われています。

「ザーン時計博物館」や、ザーン地方の歴史を紹介する「ザーンス博物館」もあります。「アルバートハイン・ミュージアム」は、オランダの大手スーパーマーケットチェーン「アルバートハイン」の1号店として誕生した、昔ながらの食料品店のレプリカです。「ベーカリー・ミュージアム」ではぜひ、北ホラント州のご当地パンduivekater を味わってみてください。

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ザーンセスカンスには土産物店やアンティークショップ、記念撮影スポット、カフェ、レストランもあり、一日中散策しても楽しみが尽きません。天気の良い日には、ボートツアーやサイクリングも楽しめます。アムステルダム中央駅から電車でわずか18分と立地も良く、コストパフォーマンスが高い人気の観光スポットです。

絶対オススメ!風車の内部を見学をしよう

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ザーンセスカンスの一番の見所は、ザーン川沿いに立ち並ぶ8基の産業風車です。風車は今なお稼動し、製材や製油、染料製造など、様々な用途で使用されています。外から眺めるだけでも十分に迫力のある風車ですが、ぜひ内部も見学してみてください。木製の歯車がギシギシ噛み合い、建物全体に力を漲らせる様子は圧巻です。

鋸(のこぎり)風車 Het Jonge Schaap

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Het Jonge Schaap は、丸太を挽いて材木に加工する鋸(のこぎり)風車です。風車上部のクランクシャフトに接続する鋸が上下して、巨大な丸太を整然と、そして力強く挽いていきます。風車内には、鋸の心地良い音と振動が響きわたります。

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16世紀のクランクシャフトの発明は、鋸風車の製材技術を飛躍的に向上させ、造船業の発展に貢献しました。350基もの鋸風車が稼動したザーン工業地帯は、17、18世紀ヨーロッパにおける造船の中心地になりました。高度で効率的な造船技術を礎に、オランダは海洋国家として黄金時代を迎えたのです。

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<1925年のHet Jonge Schaap。この後1931年に稼動を停止>

1680年に建造されたHet Jonge Schaap は、現在とは別の場所、ザーンダム駅の裏手に建っていました。保存修理への働きかけも虚しく1942年に解体が決定したため、2005年から2年の歳月をかけて、ザーンセスカンス内にレプリカが復元されたのです。

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解体に先立ち、風車設計の専門家アントン・シップマンが形状記録と図面化を行いました。

Het Jonge Schaapを所有するザーン地方風車協会にとって、復元工事は過去最大規模のプロジェクトでした。再築には190万ユーロ(約2億5000万円)が投じられました。

17世紀の手法を最大限に活かしつつ、最先端技術を駆使して、2007年9月27日に「新しい」Het Jonge Schaapが誕生しました。Het Jonge Schaap は羽根車のシャフトを除いて、軸受もクランクシャフトもすべて木製です。

オランダ黄金時代を支えた産業風車

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世界初の工業地帯といわれるザーン地方は、17世紀オランダ黄金時代を支える原動力でした。1,000基を超える産業風車が稼動し、造船、製材、製紙、製油、製粉など多岐にわたる産業が発展しました。

しかしやがて、蒸気機関やガス、電力モーターの登場により、ザーン地方の産業風車は衰退の一途をたどります。1920年頃には、わずか20基を残すのみとなりました。ザーン工業地帯の威光や産業風車を後世に伝えるため、1925年3月17日にザーン地方風車協会が設立されました。

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Photographer: D. Kind

ザーンセスカンスもまた、ザーン地方に残存する産業風車や伝統家屋の保存・管理を目的として建設されたものです。ザーン地方全域から、トレーラーやボート、クレーンを用いて歴史建造物を移動し、18、19世紀の村が再現されました。前述のHet Jonge Schaap のように、図面を元に復元されたり、一度解体してから復元された建造物もあります。

人々の暮らしのなかで受け継がれる伝統文化

ザーンセスカンスの風車では風車守が風車を回し、工房では職人たちが働き、伝統家屋には地元の人たちが暮らしています。外観だけの野外博物館ではなく、村に生活の息吹を与えることによって、古き良き暮らしや職人の技、伝統文化が継承されています。

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The author thanks the Vereniging De Zaansche Molen and the Stichting de Zaanse Schans for their permission to use the image materials in the article. All the photos of the windmills are provided through the courtesy of the Vereniging De Zaansche Molen.

インフォメーション

ザーン地方風車協会 Vereniging De Zaansche Molen

ザーンセスカンス Zaanse Schans

電車でのアクセス:アムステルダム中央駅よりUitgeest方面行きSprinterで18分、Zaanse Schans駅下車徒歩15分
バスでのアクセス:アムステルダム中央駅より15分間隔で運行されるバス391番 (Industrial Heritage Line) で45分

各施設の営業時間はHPでご確認ください。

鋸風車 Het Jonge Schaap

定休:無
時間:9:30-16:30
※車椅子をご利用の方も見学可能です。

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Kayo Temel

オランダ在住。アムステルダムの美術アカデミーで絵画を学び、イラストレーターとして活動中。20年の在蘭経験を活かして、オランダを満喫するためのローカルな情報をお届けします。

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