「寝かせ玄米」で気軽な玄米生活を提案する 蔵前の一膳定食店&酒場「結わえる 本店」

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「結わえる本店」の厨房で炊かれた、小豆入りの「寝かせ玄米」

健康のためによいとわかっていても、硬くてパサパサした食感の玄米は苦手と敬遠する人は多いかもしれません。私もそのひとりでしたが、蔵前の「結わえる本店」で「寝かせ玄米」の定食を口にしたとき、やわらかくモチモチとした食感や甘味、旨味に「これが本当に玄米なのか」と衝撃を受けました。

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3つのアーチが優美な厩橋橋(うまやばし)と遊歩道の隅田川テラス、東京スカイツリー®。洒落た飲食店が増えている、蔵前の水辺エリアに「結わえる本店」が立地している

目次

東京イーストで人気高まる蔵前にある、食と健康を結わう場所

浅草の隣に位置し、かつては江戸幕府の米蔵(浅草御蔵)があった街、蔵前。ここ数年は、ものづくりのアトリエ&ショップが多くでき、隅田川沿いの通りには瀟洒な佇まいの飲食店が並び始めています。また、周辺には比較的リーズナブルなホテルも増え、街を闊歩する外国人の姿をよく見かけるようになりました。じわじわと人気が高まってきている、この街の静かな活気と穏やかな雰囲気が好きで、よく散策している私。体にやさしく、おいしいごはんを食べられる店があるよと、友人に教わって、「結わえる本店」を訪ねました。渋い店構えの商店が残る区画。路地を抜けて隅田川方向に向かい、ちょっと古いビルの1階にたどり着き、暖簾をくぐると、天井の高い倉庫然とした開放的な空間が目に入ってきました。白壁とグレイの土間に配置されているのは木製の家具や什器。武骨のなかに温かみが混じりあう空間。気構えずに、ふらりと立ち寄れる雰囲気で、自然食を日常的に口にできていない私には敷居が低く、とても入りやすい印象を受けたのでした。

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「結わえる本店」。正面から見て左側は飲食の場、右側は物販コーナー

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川風に暖簾が揺れる。江戸時代には米俵を積んだ船が着いた岸の近く。水の気配が濃密な土地だ

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天井が高い室内。昼は一膳定食屋、夜は酒場となる。ちゃぶ台に長い脚を継ぐなど、古いものを再生した木製什器の温かみと、クールでモダンな感覚が融合。ここで定期的に「寝かせ玄米」の炊き方教室も開催している

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窓辺には木のカウンター席を配置。昼夜とも、ひとりでもくつろいで過ごせる。席数は48席(カウンター20、テーブル20、個室8)

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掘りごたつ式の個室。個室料は昼1,000円、夜2,000円。夜の個室のみ喫煙可

店名には「昔からの良いものと、今の良いものを結わえていこうという考えがこめられています」と語るのはマネージャーの酒井弘行さん。お米をしっかり食べ、添加物を使わない調味料やお酒が当たり前だった日本の伝統的な食文化。その良さに現代の良い部分も加え、無理なく楽しく、おいしく結わえた「メリハリ寝かせ玄米生活」を食事や物販、セミナーを通じて伝えているのが「結わえる本店」です。「あまりストイックにならなくても、玄米を中心にした基本食を食事のベースにしてもらえればと願っています。たとえば夜に好きなもの、お酒を呑んだり、ラーメンや焼き肉を食べても80点くらいの健康でいられるというスタイルを提案しています」と酒井さん。あれもこれもダメと気負わず、快楽食も楽しみつつ玄米も食べて、健康でスリム、キレイな心身になる。そんな無理しない、我慢しない玄米生活の手助けをしてくれる場なのです。

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アンティークの味わいをちりばめたインテリア

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古材を活かした什器は蔵前の業者が手がけたもの

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箸置きは好きなものを自分で選ぶことができる

風味も旨味も玄米の先入観をくつがえす独自の「寝かせ玄米」

「結わえる本店」はランチに「寝かせ玄米」と、シンプルな和食のおかずで構成される一膳定食を供しています。その定食をいただいて何より驚いたのは「寝かせ玄米」の食感と味わい。モチモチとした食感に玄米への先入観がくつがえされ、噛むと口のなかに広がる甘味と旨味には白米以上のおいしさを感じました。選んだのは小豆が混じる「寝かせ玄米」でしたが、小豆の風味も食欲を促します。玄米のパサパサで硬い食感が苦手という人もこれなら、日常的に食べたくなるのではないでしょうか。国内の契約農家に、特別に栽培してもらっているという米を独自にブレンド。「コシヒカリ」の甘味、「あきたこまち」のスッキリ感、「ミルキークイーン」のモチモチ感を引き出し、食べやすさとおいしさを実現したそうです。店内の開放感も手伝って、滋味深い定食を気軽に堪能し、幸せに体と心が充たされました。

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肉か魚の主菜が付いた一汁三菜の「ハレ膳定食」1,100円(税込)。主菜は4~5種類、おかずにもなる具だくさんの特製汁は2種類、おばんざいは6種類、「寝かせ玄米」は小豆ブレンド(写真)か、はとむぎブレンド。好みで自由に組み合わせ、追加も可能。自分だけのオリジナル定食を味わえる

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オリジナル商品のほか、全国から安心でおいしい本物を選び、揃えた物販コーナー

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「寝かせ玄米」は圧力鍋で炊いてから保温ジャーで3~ 4日寝かせるのがおいしくつくるコツ。左は山形の鋳物屋製(旧・平和アルミ製作所)圧力鍋。内釜のある2重構造で、簡単に上手に玄米を炊けるから、「寝かせ玄米」の炊き方教室ではこの圧力鍋をベースにレクチャー。教室に参加すると、割引価格で購入可能

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レンジで2分温めるだけ。手軽に「寝かせ玄米ごはん」を家庭や職場で味わえる『玄米ごはんパック』。大豆、小豆、黒米、はと麦、もち麦、十五穀米などの雑穀をブレンドした6種類を販売。1パック286~326円(税込)。右は昼の一膳定食で「寝かせ玄米」にお好みでふりかけられる『黒ごま塩』。海の精天然塩「焼き塩」を配合している。378円(税込)

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人気商品のひとつ。本格派でおいしく無添加。玄米によくあうカレーは1パック358円(税込)

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純米酒を揃え、夜の酒場でも呑むことができる。寺田本家の発芽玄米酒『むすひ』など個性的な生酒も置く

快楽的に酔える酒場

基本食と快楽食に分けてメリハリをしっかりつけることで、無理なく、おいしく楽しく玄米生活を続けられると提案している「結わえる本店」。玄米6、野菜3、肉魚1 の割合は健康体に必要な栄養素が効率よく摂れる黄金比率。この基本食を食生活の土台にすれば、焼肉、寿司、ジャンクフード、お菓子、お酒などの快楽食をたまには大いに楽しんでも大丈夫といいます。快楽食のひとつ、お酒を用意する夜の酒場はどんな飲食が楽しめるのか、昼の取材後、訪ねてみました。カウンター席に腰掛け、メニューをひらくと、ランチとは異なる揚げ物や肉や魚の一品が並んでいます。それらは、多幸感をもたらす酒の肴なのですが、食材の選択や調理に昼と同じく、健康への気遣いという筋が通っていると感じます。お酒も純米酒を中心に、体にやさしいものを厳選。楽しく酔えて、体も気持ちよくなる。そのバランスのとり方には思慮が貫かれていて、提案がいっそうと腑に落ちたのでした。よいお酒と肴に満ち足り、ほろ酔い気分で店を出ると、水辺を散策してみたくなりました。街なかでお酒に酔うと、まっすぐ家を目指す自分がそんな心地になるのも意外でした。江戸時代、界隈に米蔵が並んでいたころ、伝統食の肴と自然製法の酒で快楽を得た酔人が私のように、あたりにはウロウロしていたのではないでしょうか。当たり前に食を大事にしていた時代にさかのぼる不思議な気分に包まれました。

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酒場となる夜の「結わえる本店」の情景。暖色系照明の風情に魅せられる

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奥出雲酒造の『D-269(どぶろく)』グラス700円(税込)と、旬の野菜を揚げた天ぷら盛り合わせ980円(税込)。純米酒や発泡系日本酒、地ビールの生3種、生ワインも用意されている

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夜もきちんと食べたい人は「寝かせ玄米」の一品と季節の酒肴料理を組み合わせてみてはいかが。これは焼おむすび『葱味噌』290 円(税込)

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食事やお酒を堪能したあとは、近くの隅田川テラスで川風に当たるのも気持ちいい

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隅田川に架かる厩橋(うまやばし)もすぐそば。橋の上から深い藍色のなか輝く東京スカイツリー®を眺めるのも一興

結わえる本店

住所:東京都台東区蔵前2-14-14(浅草線・大江戸線「蔵前駅」から徒歩約2分)
営業時間:ランチ11:30~14:30(14:00までに入店)
ディナー 平日17:30~23:00(22:00L.O.)/土曜・祝17:00~22:00(21:00L.O.)
定休日:日曜、お盆、年末年始
電話:ランチ&ディナー03-5829-9929  物販03-3863-1030
予約は夜のみ受け付けていて、4人以上の場合、予約がベター
HP: http://www.yuwaeru.co.jp/honten

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ヤスヒロ・ワールド

東京佃島生まれ育ちの江戸っ子。旅行ガイドの編集者。
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