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時差ボケなんか吹き飛ばせ! 旅行時の時差ボケ解消法
海外旅行で困ることといえば時差ボケ。みなさんは飛行機の中でどんなふうに過ごしていますか? 時差ボケのことを考えると機内で眠っていいものなのか、頑張って起きているべきなのか、迷うところですよね。睡眠の仕組みを科学的に考えて、旅を200%楽しむために、この記事では時差のある国に旅行する際の時差ボケ予防法・解消法について説明します。
時差ボケとは?
私たちが時差ボケと呼んでいる症状は、睡眠医学的に「時間帯域変化症候群」というもので、「概日リズム睡眠障害」の一種に該当します。診断や治療には、米国睡眠医学会が策定した睡眠障害国際分類(ICSD:The International Classification of Sleep Disorders)が用いられます。少なくとも3時間以上時差のある国を行き来した際に起こり得る心身の不調と定義されており、到着地が昼間なのに眠い、食欲が出ないなどといった病態を指します。
時差ボケの原因
まずは、時差ボケが生じる背景について、もう少し詳しく説明しましょう。前述した概日リズム睡眠障害は体内時計をうまく調整できない様子を現した疾患概念です。その要因を体の内外の何と同期するのかによって、大きく2つに分類されています。
外的脱同調(体の外側の時計と合わせられない)
体内時計と生活時間が同期できない状態です。航空機などで一気に目的地にたどり着いたときに、現地時刻に体を合わせることが難しい状態がまさに当てはまります。そのほかに夜勤などを伴うシフト勤務に従事している人の睡眠障害もこちらに分類されます。
内的脱同調(体の内側にある時計がバラバラに動く)
体内時計と一口にいっても、睡眠や覚醒だけでなく、体温やホルモン値の高低を司る機能にそれぞれのリズムがあります。これらがうまく同期できていないことが不調につながります。例えば、睡眠に入ると体温は下がりますが、寝ようと思ったときに体が熱いままだと、なかなか寝付けないといったことがこれに当たります。
時差ボケはいつまで続くの?
この厄介な時差ボケという現象ですが、いつになったら解消できるのでしょうか。移動中または到着初日の眠気さえ乗り切れば、時差ボケをなくせそうなイメージがあります。つまり、"外的脱同調"さえクリアできればいいのでは? と思ってしまいますが、実際には海外旅行2日目、3日目に疲労のピークが押し寄せるといった経験をお持ちの方も多いでしょう。これは、"内的脱同調"がもたらす症状です。"内的脱同調"による胃腸の不具合が万全の状態に戻るまで1カ月以上かかるとも言われています。つまり時差ボケは、"外的脱同調"と"内的脱同調"の両方をクリアしなければならず、ひどい場合には1カ月以上掛かることもあるのです。
時差ボケになりやすい人はどんな人?
日々、世界各地を飛び回っている航空会社のクルーでも時差ボケを感じやすい人とそうでない人がいると言われています。その違いはなんでしょう。以下に体質や生活習慣による、時差ボケのリスクがあるタイプを挙げてみます。
年齢が高い人
加齢とともに自律神経をコントロールする機能が低下します。体内時計の調整も難しくなります。
神経質な人
体内時計を現地時間に修正する方法として、人とコミュニケーションをとったり、体を動かしてみたりといった活動的に動くことが効果的だと言われています。特に神経質な人は時差ボケの回復に時間が掛かると言われているので、気分転換のためにも頑張ってみましょう。
(東に行く場合は)夜型の人
着時刻にもよりますが、一般的には東へ向かうフライトのほうが夜型の人にとって辛いと言われています。例えば、東京を17時に飛び立つと、10時間搭乗の後、ロサンゼルスに降り立つのは同日の午前10時です。1日のうち夜が短くなるため、現地の時間に合わせるためには、早めに寝て体内時計を前にずらさなければなりませんが、それが夜型の人には難しいのです。
(西に行く場合は)朝型の人
逆にロサンゼルスからの帰国時は10時発なら翌15時着となります。いつもよりも夜が長くなるため、夜ふかしをして体内時計を延ばす必要がありますが、規則正しい朝型の人ほど、これが難しくなります。
時差ボケの予防法
それでは、もう少し具体的な時差ボケの攻略方法を説明しましょう。
旅行前に寝るタイミングを調整
東を目指す人は機内でぐっすり眠れるように出発前から早寝早起きを心がけましょう。西に向かう場合はその反対でいつもより生活時間を少し遅らせて、遅寝遅起きをしてみてください。どちらも体を慣らすために1週間くらいの余裕を持つのが望ましいです。トンボ返りの出張では難しいでしょうが、滞在型のバカンスでは帰路の時差ボケにも考慮した過ごし方を意識してみてください。
機内食をしっかりと食べる
体内時計をリセットするのに手っ取り早いのは、食事です。食欲が出ないときでも、朝食を食べることで、体が1日のはじまりと認識して、睡眠の時間のコントロールも可能になります。食前に小袋のおかきが配布されるエアラインもありますし、自分でも食べたいという気持ちを刺激するお菓子などがあれば、持っていくといいでしょう。
水分をしっかりととる
脱水状態はより強く時差ボケを感じさせる要因となります。エコノミー症候群を防ぐためにも適度な水分補給を心がけましょう。億劫がらずトイレに足を運んだり、ギャレーまで飲み物をもらいにいったりすることによって、体を動かすこともできます。
耳栓を活用する
機内ではいつも以上に睡眠のコントロールが難しくなります。耳栓や携帯用のネックピローなどを用意して、少しでも心地よく眠れる工夫をしてみましょう。
時差ボケの解消法
最後に時差ボケが生じてしまった際の対処方法について、お話しします。
適度に体を動かす
手っ取り早く自律神経を整える方法として、軽い運動やストレッチがあります。移動の前後の隙間時間に、時差ボケを軽減するために散歩やストレッチなどをしてみるといいかもしれません。
太陽の光をしっかりと浴びる
時差ボケが分類されている概日リズム睡眠障害で鍵を握るのは、光です。到着地の太陽光を浴びることにより、体内時計が修正されることを意識して過ごしてみてください。
熱めのシャワーを浴びる
血流を改善し、体温を上昇させることもすっきり目覚めるために必要です。出発前にはいつもより少し熱めのシャワーを浴びて、1日をスタートさせましょう。
カフェインやアルコールを適度に活用する
時差ボケ予防法として水分補給を挙げましたが、解消法としても有効です。利尿作用があるコーヒーを飲んだり、カフェインが入っているお茶で頭をすっきりさせるのも一つの手段です。夜は緊張を和らげ、リラックスする目的でお酒を楽しむのもアリでしょう。ただし、飲み過ぎると逆に寝付きが悪くなったり、機内では酔いが回るのが早かったりするので、ご注意ください。
時差ボケは加齢とともに辛くなるといいます。日頃から良い睡眠習慣や自律神経の整え方を意識して、大切な出張や旅行に備えましょう。上記を参考にして、時差ボケを予防・解消するテクニックを身につけ、快適な旅行をお楽しみください。
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