ウィーンで若いワイン、シュトルムやモストを満喫する秋

日本より一足早く、秋の風が吹いているウィーンです。9月に入るともう夏は終わり、既にウィーンの皆さんは秋の支度で浮き足立ちます。そう、シュトルム(Sturm)を飲みに行かなきゃ!

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左が白のシュトルムで、右が赤のシュトルム。ウィーン郊外のクンポルツキルヒェン(Gumpoldskirchen)という有名なワインの村のシュトルム祭りにて。

シュトルムとは、収穫したブドウがワインになる発酵途中段階の、ぶどうジュースとワインの間の飲み物。ブドウ収穫直後のこの時期だけ、期間限定で飲める、特別なワインです。

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この時期のブドウは、もうここまで熟してきています。

発酵途中なので、アルコールは入っていますが、ぶどうジュース以上ワイン以下で、発酵段階によって異なります。味もぶどうジュースのように甘く、シュワシュワと発泡していて口当たりもいいので飲みやすく、ついついぐいぐい飲んでしまいます。

オーストリアの秋の風物詩の中でも、シュトルムは特別。ワイン収穫から完成までの、9月初旬から10月下旬の間しか飲めない期間限定。この時期にはホイリ ゲ(ワイン農家の居酒屋)にいそいそと出かけて、今年一番のシュトルムを存分に楽しめます。「今年はもう初シュトルム飲んだ?じゃ、飲みに行こうよ!」な んて会話が若者の間で交わされ、秋の訪れを感じます。

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こんなブドウを搾ったそのままがシュトルムになるんですねー。

アルコールが飲めない方は、モスト(Most、搾り立てぶどうジュース)をどうぞ!ワインにするために収穫したぶどうを搾ったジュースですので、一味違っ て味わいがあり、とてもおいしいです。水や炭酸水で割って飲むのもお勧め。ぶどうジュース<モスト<シュトルム<ワイン、の順番でアルコール度が増えます が、モストほとんどアルコールはありません。

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左がシュトルム、右がモストです。このグラスもシュトルムとモストには定番。普通モストは透き通ってることが多いんですが、このモストはシュトルムより濁ってます。ブドウの種類や時期によって表情や味、アルコール度が変わるのも醍醐味。

シュトルム、モスト、というのはオーストリア特有の言い方で、ドイツではフェーダーヴァイサー(Federweisser)、フランスではヴァン・ブリュ(Vin bourru)と言い、名前こそ違えど、ワイン生産地では有名な飲み物です。

オーストリアは白ワインが有名ですので、7割方シュトルムを注文すると白のシュトルムが出てきますが、ホイリゲなどでは赤のシュトルムを置いているところ もあります。シュタイヤーマルク州など、ロゼが有名なところでは、珍しいシルヒャーのシュトルム(シルヒャーとは、シュタイヤーマルク原産のロゼワインの こと)が飲めたりします。

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シルヒャーのシュトルムは、シュタイヤーマルク州で。背景にはシュタイヤーマルク州の風物詩、クラポテツ。

さて、モストやシュトルムを楽しむには、どこに行けばいいのでしょう?一番お勧めなのは、やっぱりワインを造っているホイリゲ!そこのワイン農家のシュトルムやモストを、グラスやジャーに入れてふんだんに飲ませてくれます(もちろんワインもありますよ)。

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ホイリゲだと、こんな感じで黒パンとハムやソーセージ、パテなどが出てくるので、お好きなようにアレンジして召し上がれ。

しかし、9月に入るとホイリゲまで行かなくても、町のレストランやバーのいたるところで「シュトルムあります」という看板が出始めます。適当に陣取って「フィアテル・シュトルム・ビッテ」と注文すると、250ml入りのグラスに入ったシュトルムが出てきます。スーパーでも購入できますが、発酵途中で常に発泡しているため、蓋を完全に閉めることがができません。アルミホイルに穴を開けたものを輪ゴムで縛って、2 リットル瓶などで売っていますので、おうちで気軽に楽しむことはできますが、残念ながら飛行機で持って帰ることはできませんね。

それでは、この時期オーストリアにお出かけの方、期間限定シュトルムやモストを楽しむのをお忘れなく!

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ひょろ

オーストリア、ウィーン在住。10年以上暮らしてもまだ新しい発見の連続のウィーンの魅力を、記事執筆、現地調査、ネットショップなどを通じてお届けしています。国際機関勤務を経て、バイリンガル育児の傍ら、ミュージカル観劇が趣味。

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