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実戦さながら!中世騎士祭りの馬上槍試合ショー
オーストリアでは家族連れを中心に、中世騎士祭りが人気です。中世風の衣装を着て、屋台や街の雰囲気を参加者みんなで楽しむお祭りは、タイムトリップ感満点です。
今回ご紹介するのは、そんな中世騎士祭りのハイライト、馬上槍試合のショーです。中世の鎧を着て馬に乗った騎士たちが、名誉を掛けた戦いを繰り広げる様子は、まさに映画のワンシーンのようです。
<本物の中世の城壁を背景に行われる、中世馬上槍試合>
中世の馬上槍試合
Eggenburgの騎士祭りは、町中全てが中世に入り込んでしまったようで、とても雰囲気のあるお祭りです。今回は特に規模の大きな騎士祭りでしか見ることのできない、馬上槍試合のショーがありました。
<まさに中世の騎士の世界そのままの実戦形式>
馬上槍試合とは、中世の騎士が実践に近い訓練の一つとして行っていた一種のスポーツで、英語ではトーナメント、ドイツ語ではRittertournierと呼ばれます。中世の騎士といえば、アーサー王物語の世界を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、その中にも馬上槍試合は登場していましたね。
馬上槍試合では、鎧を着た馬上の騎士が長い円錐形の槍と楯を持ち、すれ違いざまに相手の盾を槍で突きます。シンプルなようですが、戦場さながらの実戦形式ですので、騎士は名誉と命を懸けて臨みます。
歴史上の実際の槍試合は、白熱しすぎて乱闘になったりしたそうですが、現在中世騎士祭りで見られる槍試合はショー形式です。映画などで見るものに近いのですが、その迫力は筆舌に尽くしがたいものでした。
馬上槍試合の会場と仕組み
中世騎士祭り会場の一角の広場で行われた、今回の馬上槍試合。時間になるとお客さんが続々と集まってきます。特に家族連れが多く、子供たちは最前列に陣取っています。
まずは進行役が登場し、場の空気を盛り上げます。今年はマルティン・ルターが宗教改革をしてから500周年だったこともあり、テーマは「宗教改革」でした。
カトリックのローマ教皇側(悪者) VS ルターのプロテスタント側という設定で、それぞれの陣営には騎士と戦士が二人ずついます。
<緊迫する4人の騎士の顔合わせ。左がカトリックの騎士で、右がプロテスタントの騎士>
ウォーミングアップから迫力満点!
実際の馬上槍試合が始まる前に、中世の騎士のトレーニングを見せてもらえます。
馬に乗ったまま水の入った杯を手に取る、馬で全速力で走りながらリンゴを剣で真っ二つに切る、槍で正確に輪の中を通すなどの、スピードと正確さを競う競技で両陣営の騎士が競います。勝敗が決するたびに、喝采やブーイングが起こり、観客も大盛り上がりです。
<うまく水の入った杯を手にした騎士>
<輪に槍を通すレース>
練習と言っても侮るなかれ。観客の柵の目の前まで馬が走ってきて、踵を返すさまは、迫力満点。重い鎧を着た騎士の手綱さばきは、目で追えないくらいです。
更に、馬に乗っていない戦士による剣闘ショーの気迫は、大人でもたじろいでしまうほど。ショーとわかっていても、衝撃の強さや剣の重さなどを想像すると、事故が起こらないことを祈らずにはいられません。
<剣闘ショーも手に汗握る展開>
迫力満点!馬上槍試合
とうとうクライマックスの、馬上槍試合が始まりました。柵の両側を、槍と楯を手にした騎士が馬に乗ってすれ違います。
自分の盾を相手の槍で突かれた衝撃で、落馬した方が負けとなります。槍が折れた場合は、また槍を交換して再試合となります。この槍が派手に割れ砕けるのが、馬上槍試合の一番の醍醐味と言えます。
<槍が派手に砕け散る瞬間>
<槍の衝撃でよろめく騎士>
力負けした騎士は派手に落馬するので、ショーとわかっていても気が気ではないのですが、中には上半身落馬したまま足で馬の腹にしがみついていたりとアクロバティックで、一つ失敗したら大けがにつながるような場面もありました。
<落馬した騎士>
<馬に乗った悪者と戦う、落馬した騎士。かたずをのんで勝敗を見守る観客>
最後は馬から降りた騎士同士が剣で戦った結果、プロテスタント側が勝利して、大団円を迎えます。
馬上槍試合まとめ
中世騎士祭りは数多く訪れたことはありましたが、実際に目にする機会は少ない馬上槍試合。ショーながら何度も目を覆いたくなるほどの危険な場面やワイルドなアクションが多々あり、ドキドキワクワクしながら目いっぱい楽しみました。
最後に騎乗の騎士たちが兜を取って会場を一周し、子供たちとハイタッチを交わすのですが、勇猛果敢に戦った4人のうち二人が、白髪の年配の方だったことに驚きました。中世の本物の騎士も、熟練した技術がモノを言う世界だったのかもしれませんね。
子供たちとハイタッチする騎士たち
中世騎士祭りは、地方の村や古城で開催されることが多く、スケジュールもまちまちです。馬上試合ショーを見られる祭りは限られていますので、タイミングを合わせるのは難しいかもしれませんが、もし機会があれば、この血気迫る迫力を体験しに行ってみてくださいね。
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ひょろ
- オーストリア、ウィーン在住。10年以上暮らしてもまだ新しい発見の連続のウィーンの魅力を、記事執筆、現地調査、ネットショップなどを通じてお届けしています。国際機関勤務を経て、バイリンガル育児の傍ら、ミュージカル観劇が趣味。