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美酒×美食。至高のワインとそのお供を探す旅[南部編]
土地によってさまざまな味わいを見せるイタリアワイン。今回は南イタリアのワインに合うおいしい組み合わせをご紹介します。
※写真はイメージです。クリエイティブコモンズライセンスに基づき掲載しています。
参考:クリエイティブコモンズ公式サイト(外部サイトに遷移します)
イタリアワインの魅力は、その突出した多様性にあり
イタリアワインがどのワインとも違った魅力を放ち、今も昔も多くのファンを虜にして止まないのは、その多様性にあると言って良いでしょう。まず、南北に長く地形も様々に異なるイタリアでは、変化に富んだ気候が存在します。さらに、イタリアが統一国家となったのは19世紀になってから。それまでは地方ごとに独自の文化が育まれてきました。
こうした地形や気候の多様性、そして文化的多様性のおかげで、イタリアでは各地で独自に発達した、驚くべき数の葡萄の固有種、そしてそれらを自在にブレンドした個性豊かなワインが誕生したのです。
前回の北・中部編(※)では、イタリアワインの顔ともいうべきトスカーナ州「キャンティ・クラシコ」、都会的で洗練された味わいで近年注目を集めるロンバルディア州「フランチャコルタ」をご紹介しました。
今回の南部編では、眩しい太陽の似合うカンパニア州、シチリア州の極上ワインをご紹介しましょう。
※編集部註:前編となる北部・中部のコラムはこちらから。
■【コラム】美酒×美食。至高のワインとそのお供を探す旅[北部・中部編]
古代ローマの歴史薫るワイン「グレコ・ディ・トゥーフォ(カンパニア州)」
イタリアワインの歴史は恐ろしく古く、数千年前には既にギリシャからイタリア南部に醸造技術が伝わっていたと言われます。カンパニア州のワインは古代ローマ時代から評判で、ギリシャから伝わった葡萄の品種が今でも現役で利用されているほど。
そんなギリシャ伝来の葡萄を使い古代ローマ時代に由来するワインが、小さなワイナリー、ベニートフェラーラで生まれる「グレコ・ディ・トゥーフォ」。「トゥーフォ」とは、「火山灰の土壌」という意味です。
このギリシャ伝来の白ワインの味わいは、多くのファンを魅了し続けています。
※グレコ・ディ・トゥーフォの概要はこちら
Benito Ferrara/ Greco di Tufo(外部サイトに移動します)
グレコ・ディ・トゥーフォはパスタに合わせて
フルーティーでミネラルを感じる香り、白い花を想像させる爽やかな味わいは、酸味が抑えめで、パスタに合う白ワインとしても秀逸です。とりわけトマト系パスタにはよく合い、ナスとトマトのパスタ(ペンネ・アッラ・ノルマ)などに合わせてみても、南イタリアらしくて良いでしょう。
参考イメージ:Flickrより
Photo by franzconde
Photo by franzconde[penne alla norma]CC BY 2.0
いくらでも飲めてしまう?「チェラスオーロ・ディ・ヴィットリア(シチリア州)」
撮影:Italyiiライター
寒暖差の激しいシチリア州では、肥沃な土地に多様な固有種が育ち、大地の恵みを感じる個性豊かなワインが数多くあります。
シチリア伝統ワインの作り手「コス」の「チェラスオーロ・ディ・ヴィットリア」は、力強い風味が多い赤ワインには珍しく、デリケートで優美な味わいが特徴です。
冷やして飲めば、魚介にも合う赤ワイン!
参考イメージ:撮影 Italyiiライター
チェラスオーロ・ディ・ヴィットリアは、ほのかな花の香、軽やかな口当たりでいくら飲んでも飲み疲れない魔法の赤ワイン。赤ワインには肉という定説を破り、少し冷やして魚に合わせてみても、極上のマリアージュが味わえます。
※コスのチェラスオーロ・ディ・ヴィットリア解説ページはこちら
COS/Cerasuolo di Vittoria(外部サイトに移動します)
幻のデザートワイン「ブックラム パッシート(シチリア州)」
Photo by Didriks
Photo by Didriks[Dessert Wine a Fillipi Calprea Passito del Veneto]CC BY 2.0
ブックラムという変わった名前は、実はアラブ語。シチリアは古くからアラブの影響を強く受けてきたことが分かります。ちなみにブックラムとは「葡萄の父」という意味です。
その名の通り、これは伝統的なシチリアデザートワインの作り手「マルコ・ディ・バルトリ」が、極上の葡萄ができた年だけに出す、特別なワインなのです。パッシートとは葡萄を乾燥させ、糖度を高めてから作る甘口ワインの製法を指します。
特別な時期にだけ世に出るシチリアのパッシートは、一度飲んでみる価値ありです。
シチリアらしく、カッサータやナッツとの相性は抜群
ブックラム パッシートだけでなく、一度は飲んでみたいシチリアのデザートワイン。照り付ける太陽の恵みをいっぱいに受けた果実やドライフルーツのアロマは、シチリア名産のナッツの乾燥菓子や、リコッタチーズのクリームを糖衣でコーティングし、砂糖漬けのフルーツを乗せた伝統菓子「カッサータ」との相性は抜群です。
マルコ・ディ・バルトリのブックラム パッシートに関するページはこちら。
Marco de Bartoli/Bukkuram(外部サイトに移動します)
Photo by Stefano Mortellaro
Photo by Stefano Mortellaro[minnuzze di sant'aita]CC BY 2.0
南部のワインとお供で、その土地に思いを馳せてみては
さて、南部のワインとそのお供の組み合わせ、いかがでしたでしょうか。どことなく洒落ていて洗練された味わいのする北・中部のワイン、太陽と大地の恵みをいっぱいに受け、のんびりした味わいの南部のワイン。
土地の気質を反映して味わいを変えるイタリアワインを飲むと、日本に居てもイタリアを旅したような気分になるのは私だけでしょうか。
イタリアの様々な街や村を思い浮かべながら、今宵はイタリアワインを嗜んではいかがでしょう。
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