イタリアカフェの奥義【ローマ編】-ローマ最古の「カフェ・グレコ」もご紹介-

※サムネイル写真:撮影Mami.F.

※2018年3月に加筆修正をいたしました。

イタリアの日常には、カフェが欠かせません。この記事では、イタリアのカフェを楽しむポイントとローマ最古のカフェ「グレコ」についてご紹介。地元の人々に交じって、エスプレッソやカプチーノなど、イタリア流のコーヒーを味わってみませんか?

※一部写真はイメージです。クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに基づき掲載しています。

参考:クリエイティブ・コモンズ公式サイト(外部サイトに遷移します)

目次

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スタイルによって呼び方の違う、イタリアのカフェ。

イタリアに行けば街のそこら中にカフェがあり、決まって常連客で賑わっていて、イタリアとカフェは切っても切れない関係にあることが分かります。

私たちのイメージするところのカフェは、イタリア には細かく分けると以下の3種類があります。

  • カウンターで立ち飲みするタイプのBAR(バール)
  • テーブル席があり落ち着いて飲めるCAFFE(カフェ)
  • 焼き菓子を売る菓子店でコーヒーも楽しめるPASTICCERIA(パスティチェリア)

最もよく見かけるのがバールで、次に見かけるのがカフェ。そしてパスティチェリアがあります。ただし、バールとカフェの境は曖昧で、バールであってもテーブルがある店、カフェであっても立ち飲み用のカウンターがある店がほとんど。したがって、ここでは両者をまとめてカフェと呼ぶことにしましょう。

イタリア人にとって、カフェは欠かせない存在

イタリアでは、カフェ(コーヒー)が人々の生活に根付いています。朝起きてからの出勤途中、休憩時間、食事の前後、おやつの時間、寝る前に......。多いときには、日に何十杯も飲む人もいます(※)。イタリア人にとってカフェとは、娯楽というよりは習慣であり必要不可欠なもの。コンビニやトイレと同じようなものなのです。

さて、せっかくイタリアへ行くのなら、このカフェ文化に触れてみない手はありません。今回は、観光の途中に立ち寄りたいローマの老舗、カフェ・グレコをご紹介しつつ、カフェでのアレコレを学んでいくことにしましょう。

※註:イタリア語では「カフェ(Caffe)=飲み物としてのコーヒー」を指すため、少しややこしいのですがこの項目では「コーヒーが欠かせない」ことを意味します。

観光中に立ち寄りたい、ローマの老舗「カフェ・グレコ」

引用:Flickrより
Photo by Richard, enjoy my life![希臘咖啡館 跟威尼斯的老咖啡館有拚了 Antico Caffe' Greco 希臘咖啡館 義大利 Roma 羅馬](CC-BY-SA2.0)

希臘咖啡館

カフェ・グレコは、1760年創業、ローマ最古のカフェでありイタリア国内でも2番目に古い老舗(※)です。かつてはゲーテ、アンデルセン、ワーグナー、ダンテなど名だたる芸術家たちがこのカフェを訪れ、サロンで芸術談義に夢中になっていたといいます。

国の重要文化財にもなっている歴史的な建物の内部には、まず立ち飲み用カウンターがあり、奥にはゆっくり過ごせるテーブル席のサロンがあります。

※註:イタリアで最も古いカフェはヴェネチアのカフェ・フローリアンです。こちらはなんと「世界最古のカフェ」。そして、カフェ・ラテ発祥の地でもあります。

引用:Flickrより
Photo by Sergio Calleja (Life is a trip)[Antico Caffé Greco (Via Condotti - Rome)](CC-BY-SA2.0)

Antico Caffé Greco (Via Condotti - Rome)

バール的な性格とカフェ的な性格を併せ持つカフェ・グレコは、イタリアンカフェの初心者や観光客にも入りやすいお店。観光で必ず立ち寄るスペイン広場からすぐ、コンドッティ通りにあり便利です。

室内にはアンティークな調度品や絵画が並び、燕尾服を着たバリスタやカメリエーレ(給仕係)が立ち働くレトロでノーブルな雰囲気の店内は、まさにローマの歴史を生き抜いて来た老舗ならでは。街としてのローマを知るならば、遺跡や聖堂の見学に加えて、カフェ・グレコにも立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

イタリアンカフェの注文方式と席の種類について

italyii-Milan-Caffe1-PhotobyMami.F.jpg
撮影:Italyii ライターMami.F.(ミラノのカフェにて)このタイプのカフェは先払い式が基本。

カフェでの注文方法は、大きく分けて2つ。先払い式か後払い式かです。

まず、先払い式は客の多い有名店や大型店に多く、立ち飲みタイプの基本的な注文形式です。レジで注文、支払を済ませレシートをカウンター内のバリスタに渡してコーヒーを作ってもらいます。

後払い式は、誰が何を飲んだかバリスタが覚えていられるくらいの規模の個人店に多く、カウンターで注文し飲食を済ませてからレジで支払をします。ただし、テーブル席タイプのカフェでも、着席してからカメリエーレが注文を聞きにくるタイプの場合、支払はテーブルにて後払いする形式となります。

一般的には、カウンターよりテーブル席を選んだ場合テーブルチャージが発生し、値段が高くなるので注意しましょう。ただし、カウンターの近くにテーブル席があり、注文したものを自分で運んで座るセルフ型テーブル席ならば、値段は変わりません。

なお、カフェ・グレコではカウンター席なら先払い式、テーブル席を選ぶ場合は後払い式となっています。

イタリアで「コーヒー」を頼むときは

さて、注文形式や席の違いを覚えたら、実際にコーヒーを頼んでみましょう。ここで注意したいのが、イタリアでただ「カフェ(Caffe,コーヒー)」と頼んだ場合、必ずエスプレッソが出てくるということです。

日に何杯もコーヒーを飲むイタリア人にとっては、カウンターでささっと立ち飲みできるエスプレッソがスタンダード。カフェと言えば日本感覚のブレンドやアメリカンが出てくると思ったら間違いです。私も初めは驚きました。もしも日本で頼むものと同じようなものが欲しければ、「カフェ・アメリカーノ」と頼みましょう。

ほかにも、イタリアではエスプレッソに泡立てたミルクを加えた「カフェ・マキアート」、マキアートよりもミルクの分量が多い「カプチーノ」、エスプレッソに泡立てないミルクを加えた「カフェ・ラテ」などが代表的です。たいていどのカフェにもあるので、メニューを見ずに注文してみると格好良いですね。

カフェ・グレコでは定番のエスプレッソ、そしてカフェ・グレコが発祥とされるカプチーノが人気です。カプチーノは、イタリア人は主に朝飲むものととらえていて、カフェ・ラテは量が多いため、ランチタイムにパニーニなどと一緒に飲むのに適しています(※)。

※註:日本では食後のドリンクとしてカプチーノやカフェ・ラテを飲む方もおられると思いますが、イタリアでは「朝食・昼食の代わりや食事の一部として」飲む人が多いようです。

Photo by davharuk[Caffe Greco espresso cup & saucer](CC-BY2.0).jpg
Photo by davharuk[Caffe Greco espresso cup & saucer](CC-BY2.0)

写真はカフェ・グレコで用いられている、エスプレッソ用のカップ。

カフェ・グレコ基本情報

名前:アンティコ・カフェ・グレコ(Antico Caffè Greco)
住所:Via dei Condotti, 86, 00187 Roma
営業時間:9:00~21:00
定休日:日曜、祝日
公式サイト:http://www.anticocaffegreco.eu/
公式Facebookページ:https://www.facebook.com/AnticoCaffeGreco/
※最新情報は公式サイトをご確認ください。

一緒にいただきたい、各地のドルチェ

カフェでは、飲み物と一緒にいただくドルチェも楽しみのひとつ。ドルチェとは、イタリア語で「甘美に、優しく」という意味で、スイーツ全般を指します。

イタリアでは朝の通勤途中など、エスプレッソと甘いドルチェを朝食代わりに頬張っている常連客の姿をよく見かけます。装飾性の高いフランス菓子と比べ、イタリアのドルチェは素材を生かした素朴なものが多くみられます。

地域によってよく名物のドルチェがあり、酪農の盛んな北部はクリームやバターをふんだんに使ったもの、南部はレモンや蜂蜜、アーモンドを使ったものが多く、北に行くほど洗練されてきます。カフェ・グレコはドルチェのバリエーションも豊富。その特徴にもぜひ注目して選んでみて下さい。

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Photo from Pixabay(CC0)こちらはローマではなく、フィレンツェのベーカリーの様子。写真のようなクッキーやケーキなどのドルチェが提供されるカフェもあります。

エスプレッソの立ち飲みにも挑戦!

最後に、もっとイタリア人流にカフェを極めたいなら、カウンターで常連客らと一緒にエスプレッソの立ち飲みに挑戦してみましょう。

グラニュー糖は最低2袋。3口で飲み干し、カップの淵にはクレマの3本筋、底にはグラニュー糖をうまくドーム状に残すのが通の飲み方です。

慣れてくれば、観光客の少ない路地裏の本格バールや朝の通勤時間でバールに立ち寄るビジネスマンに交じって、はたまた井戸端会議に夢中なおじさんたちを横目で見ながら、いつでもどこでもカフェを楽しめるようになるはず。カウンターをめぐる人間模様なんかもなかなか面白いもの。

知れば知るほど奥深いイタリアンカフェの世界に、きっとあなたも魅了されてしまうこと間違いないでしょう。

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撮影:ItalyiiライターMami.F.(ミラノのカフェにて)

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