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ロシアの伝統工芸「ラッカー塗り細密画」ができるまで
ロシアには伝統工芸ラッカー塗り細密画で有名な町が4つあります。 フェドスキノ Федоскино・パレフ Палех・ムスチョーラ Мстёра ・ホールイ Холуйという町です。ラッカー塗り細密画(ラッカー・ミニアチュール)とは、その昔、教会内のイコン(聖画)を長く保持させるために発達した伝統的な技術です。
こちらはホールイの象徴『火の鳥』モチーフ。鮮やかでピカピカです。今回はホールイ塗りの小箱ができるまでの工程をご紹介します。
【1】土台となる箱の作成
特殊な紙(木の繊維が入っている)を糊で多層に貼り合わせ、навивамиと呼ばれる型に入れます。熱い麻のオイルにつけ、染み込ませ、特別な炉で乾燥します。木の箱に見えますが違います。
【2】下地塗り
煤(すす)に粘土と亜麻仁油(リンシード油)を混ぜた塗料を箱に塗っていきます。 乾燥したら、サンドペーパーをかけ磨きます。さらに外は黒、中は赤の塗料を塗ります。赤と黒のコントラストが特徴です。
【3】顔料作り
鉱物の粉に卵の黄身と、水、酢を混ぜ、塗料を作ります。色の配合などは技術者の腕の見せ所です。ガラスの板の上で材料を混ぜます。
出来上がったテンペラ塗料。
【4】飾りとなる金の塗料の作成
金線で図柄を縁どりますが、もちろん本物の金を使います。金箔を特殊な樹脂と混ぜて、金の塗料を作ります。皿の上で金箔と樹脂を混ぜ合わせます。
【5】絵付け
作成した塗料を使って、絵を描いていきます。使うのはリスの毛の細いブラシです。腕がぶれないよう、木の台を使います。
【6】金線入れ
金の線を描くのはブラシではありません。なんとオオカミの牙で線を描きます。オオカミの牙じゃないとダメなのでしょうか?
【7】ニス塗り
特殊なニスを何層にも塗って仕上げます。最後に傷が全くなくなるまで磨きます。
これで出来上がりです。
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花井景子
- ロシア・リャザン大学で日本語教師を務めた後、2011年ロシア人男性と結婚しました。
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