トルコのお祭り、クルバンバイラム(犠牲祭)

イスラム教徒が全体の9割以上を占めるトルコでは、犠牲祭として、10月3日から5連休が始まりました。犠牲祭は、メッカ巡礼の最終日にあたるこの日に、信仰心の深いイスラム教徒が、羊や牛を捧げ神に祈るお祭りです。

実際問題、行っている人は皆信仰深いのかというと、そうでもありません。日に五度のお祈りはせずとも、スカーフは被ってなくても、コーランは読めずとも、羊は屠るという家庭も多いです。というか、都市部では殆どかもしれません。信仰もあるでしょうが、風習になっている部分が多いように思います。

我が家は、信仰していないのでこの行事を自前ではしたことはありません。義実家が毎年していた関係で、何度か帰省の際に目にしたことはあります。

ここ数年、トルコでは、自分たちではしないように規制がされて、随分気持ちが楽になったものです。といいますのも、以前は、犠牲祭前に、各家族が買ってきた羊や牛がアパートの庭などに繋がれており、そこから脱走する家畜が頻発したり、自分の運命を悟り泣き喚く羊がいたり、屠る当日にアパートの庭を目にしてみると、スプラッタな光景が繰り広げられていました。慣れたれたトルコ人からすれば、俺のところの今年の羊は良い肉だ!という会話で盛り上がっているのですが、慣れない私にはこの日は隠れて過ごす日でした。

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そういう習慣でずっと来たトルコですが、昨今は自分の家ではしないこと、自分ではしないこと、という規制が出来、各町でこうしたクルバン(生贄用の羊や牛)を売り、屠って解体までしてくれる場所が出来ました。実際問題、かなり重労働ですので、簡単になってありがたいお父さん方も多いはず。

今年は、羊一頭700トルコリラ~900(3,5~4,5万円)トルコリラ前後。牛一頭は、2200(11万円)リラ程度でしょうか。日本とトルコの経済差を考えれば、結構な出費です。お金がなければしなくても良いのですが、皆さんなんとか捻出しますし、無くてもクレジットカードで買ったり、犠牲祭用のローンまであったりします。それ程、このお祭りが大事なのがわかりますよね。

屠ったお肉は、3分の一は自分たち家族用、他は、ご近所への分配用や、貧しい人への施し用と分けられるといいますが、実際に目にした限りでは、殆どが家族用です。宗教心の深い方は、きちんとされていて違うかもしれませんが。

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この画像は、実は屠った日の翌日です。当日だと、物凄い人なのと、屠っている光景も目にしますので、あえて次の日に撮影しました。この、柵の中に、沢山の羊や牛が待っていて、それを選んで屠ってもらうのです。

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まだ残っている羊たち。この子達は、2日目には値も結構下がるのだとか。

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ここで、切り分けたお肉の受け取り。車で横付けして、持ち帰るだけなんて、時代も変わったものだ、とつくづく思います。

ちなみに、車の左後ろに吊るす場所があるのですが、ここに剥いだ皮が吊るされます。剥いだ皮も実は捨てません。これらは学校や団体に寄付されます。それを売るとお金になるわけですね。

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画像は数年前の義実家での様子ですが、ブロックに切られた肉をカットして、煮込んで保存肉を作ったり、肉屋に持っていってミンチにしてもらったり、しばらく食卓は肉尽くしが続きます。

肉を屠るだけではなく、犠牲祭では、親族や友人宅に何軒も訪問します。訪問されるほうも、ご馳走を用意して待っているわけで、普段以上にトルコのお母さん方は大忙しなのです。

また、この期間は、トルコ中の公共機関は無料になる大盤振る舞いです。

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河合亜希子

1998年よりトルコ・イスタンブール在住。トルコ雑貨のお店Anatolian Art店主。コラムやコーディネートも担当。

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