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生産量もおいしさも世界一!? スペインのオリーブオイル
世界で一番のオリーブオイル産出国はどこだかご存じですか? イタリアだと思う方が多いでしょうが、実はスペイン(えっへん^^)! 2011年のデータでは、スペインの生産量は781万トンで世界の約40%を占めています。イタリアは第2位ですが、生産量はスペインの半分にも満たないのです。
<山で見かけた野生のオリーブの木>
余談ですが、オリーブオイルに関連するベスト3を。
- スペイン=世界一のオリーブ産出国
- イタリア=世界一のオリーブオイル輸出国
- ギリシャ=世界一のオリーブオイル消費国
オリーブオイルが食卓に浸透してまだ間もない日本では、オリーブオイルと言えばイタリアやイタリア料理を思い浮かべる人が多い理由はここにあります。
実は、スペインのオリーブオイルの輸出先ダントツ1位はイタリア。たとえ中身が100%スペイン産のオイルでも、イタリアでボトリングされていればMade in Italyという世界中でもてはやされる"称号"をつけることができるからくりがあるのです。こう書くとスペインびいきがイタリアを否定しているように聞こえますが、そんなことはありません。むしろ、世界に認められる品質を保つ技術やマーケティング能力は賞賛に値すると思っています。
さて、スペインのオリーブオイルはその産出量を誇るだけでなく、品質も上々。権威あるワールドべストオリーブ賞の2013~2014年のランキングでは、ベスト10のうち8つがスペイン産でした(再び、えっへん^^)。世界一のオリーブオイル産地スペインの中でもっとも生産量が多いのが南部のアンダルシア地方で、国内生産の約80%を占めると言われています。世界のオリーブオイルの3分の1がアンダルシア産という計算になるとか。
アンダルシアの中でも一番盛んなのはハエン県です。見渡す限りの丘陵地帯がオリーブの木で覆われている様子は圧巻。私の中では、特に印象的なスペインの風景のひとつです。
<ハエンの丘陵地帯に果てしなく広がるオリーブ畑>
オリーブはスペインの食文化には欠かせない一品。バルやレストランのお通しに酢漬けのオリーブの実が出るほか、料理にもふんだんにオリーブオイルを使います。
初めてスペインに行った時は、朝食のトーストにバターやマーガリンではなくオリーブオイルを垂らして食べることにカルチャーショックを受けました。サラダのドレッシングにはオリーブオイルと塩とワインビネガーを食べる時にお好みでまわしかけ、伝統のお菓子にもバターではなくオリーブオイル。赤ちゃんの離乳食やせっけん、化粧品にも使われます。庭のオリーブを収穫して漬け込んだりオイルにしたりする家庭もあり、スペイン人にとってはとても身近な存在であることがわかります。
<スペインの漬物的存在、テーブルオリーブ>
<朝食のトーストと一緒にテーブルに運ばれてきたオリーブオイルのボトル>
<ガリシア風たこ料理にもオリーブオイルをたっぷりと>
たまにオリーブオイルが苦手だという日本人がいますが、たいていの場合、おいしいオイルに出会っていないからだと思っています。
おいしいオイルといえば、やはりオリーブの実を絞っただけの農業製品かつ酸度が0.8%以下のエキストラバージンオイル。安価な単なるオリーブオイルは精製された工業製品なので、やはり風味が違います。ただ、一般的なバルやレストランでは高級エキストラバージンオイルは使えないので、普通のオリーブオイルになることは仕方ないですね。それが酸化してしまうと、香りも味も不快なものになるので、それがオリーブオイル嫌いになる原因ではないかと。
<おいしいエキストラバージンオイルにパンを浸すのは、ごくシンプルな楽しみ方>
近年はエキストラバージンオイルが健康に良いことも科学的に立証されています。オリーブに含まれるオレイン酸には悪玉コレステロールの酸化を抑制し、善玉コレステロールの働きを増加させるはたらきがあるとか。また、習慣的にエキストラバージンオイルを摂取することで、脳・心筋こうそくや狭心症の予防効果が高まるとも言われています。ほかにも、ガンや糖尿病、アルツハイマー、老化防止にもいいだなんて、まさに万能薬。スペイン人の寿命が意外と長いことにも関係していそうです。
私も、おいしいオイルに出会うまでは特にこだわりもなくスーパーでエキストラバージンオイルを買っていましたが、今は市場や高級食材店でよーく吟味して買うようになりました。オリーブの品種による風味の違いもあって、奥が深く、面白い世界です。オリーブオイル初心者の方にはまろやかでクセのないアルベキーナ種、お好きで既にいろいろ試した方には青草のような風味を持つピクアル種がおすすめです。
日本に持って帰るのにちょうどいい250mlの缶入りも出回っていますので、スペイン旅行のお土産にいかがですか?最近はオリーブオイルを使った和食レシピも目にするようになりました。お刺身や冷奴、納豆にも合うそうですよ。
<バレンシアの中央市場にあるオリーブオイルの試飲ができる高級食材店>
<オリーブオイルを使った創作和食>
今年8月に在日スペイン大使館経済商務部のサイトにアップされた情報によると、スペイン産オリーブオイルの日本とアメリカへの輸出量がイタリアを抜き、トップになったそうです。さてさて、オリーブオイルといえばスペイン、という認識が日本でも浸透するかどうか・・・。
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田川敬子(Keiko Tagawa)
- 1996年スペインにひとめぼれ。以後何度も渡西し、2002年春に夢がかなってスペインで日系企業に就職。その後現地企業を経て、現在はオリーブオイルソムリエ/テイスターやライターとして活動中。