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【スペイン】サグラダ・ファミリア(今も建設が続く祈りの聖堂)
巨匠ガウディが終生を捧げた未完の教会 世界遺産 "サグラダ・ファミリア"
<写真提供:スペイン政府観光局>(※現在も建築中のため、写真と実物が異なる場合がございます)
イベリア航空のマドリード-成田線が、10月から17年11カ月ぶりに運航を再開します。マドリードまで直行便で約13時間で行けるようになり、ますます大注目のスペイン。スペインには「アルハンブラ宮殿」や「カタルーニャ音楽堂」など世界に名だたる観光地がありますが、この国を代表する観光スポットといえば、建築家アントニ・ガウディの代表作となる教会堂建築「サグラダ・ファミリア」(聖家族教会)でしょう。
<写真提供:スペイン政府観光局>
『壮大な設計規模』と『革新的なデザイン』から〝世界でも類を見ない建築物〟といわれるこの教会は、1882年の着工から130年以上が経過していながら、いまだ未完成のまま。完成までに300年はかかると言われていましたが、その後の科学技術の進歩によって工期は半減し、ガウディ没後100年にあたる2026年の完成が見込まれています。ガウディは詳細な設計図を残さないままその生涯を終えましたが、次世代の建築家たちが彼の意志を引き継ぎ、消失をまぬがれたわずかな資料と職人たちの伝承をもとに、ガウディの設計構想を推測しながら現在も建設を進めています。バルセロナ市街に入った瞬間からその姿を目にできる巨大な教会は、完成後には面積4,500㎡、約1万4,000人を収容する壮大なスケールの構造物となり、完成予想図に見えるいまだ未建設の中央の最も高い塔は172.5mの高さにまで達します。
<写真提供:スペイン政府観光局>
サグラダ・ファミリアといえば、直線や直角・水平がほとんどなく、数多くの彫刻が壁画を彩るその外観が印象的ですが、ガウディはこの巨大な聖堂を礼拝にふさわしい場所とするために、キリスト教にまつわる様々なシンボルを建物全体に配しました。聖堂の塔は、それぞれ「イエス」、「聖母マリア」、「十二使徒」、「四人の福音書家」を象徴し、は「生誕のファザード」、「受難のファザード」などキリストにまつわる物語が表現されています。ガウディは、この教会を〝石に書かれた聖書〟にしようと試みたのです。
<写真提供:スペイン政府観光局>
<写真提供:スペイン政府観光局>
興味深いのは外観だけではありません。内部のあらゆる場所もスピリチュアルで宗教的な空間に造形されています。ガウディは、教会の身廊を高い精神性を備えた壮大な森として考え、樹木のように枝分かれするたくさんの柱で構成しました。幻想的なステンドグラスから木漏れ日のように差し込む光は青、緑、赤、オレンジなど色彩豊かな光を放ち、訪れる人々は幻想的な空間に身をゆだねるのです。
<写真提供:スペイン政府観光局>
この〝世界一有名は工事現場〟は建設中にもかかわらず、「グエル公園」や「カサバトリョ」など彼の他の作品とともに、世界遺産「アントニ・ガウディの作品群」として登録されています。彼の名を冠したこの名称は、彼が生涯をかけて人類の創造的才能を表現したことへの敬意の表れなのかもしれません。
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