「小樽運河クルーズ」に乗って水面から歴史を散策

小樽運河クルーズ

「小樽運河」は、小樽観光の中心的存在です。小樽港からの運搬作業を効率的に行うために大正12年に完成しました。川岸には石造りの倉庫が並び、夕暮れには遊歩道にガス灯がともるなど、異国情緒あふれる雰囲気を醸し出しています。橋の上から眺める小樽運河も素敵ですが、クルーズ船から面から見る光景も趣があります。「小樽運河クルーズ」に乗って夏の風を感じてきました。

目次

北海道経済の中心地として活気づいた港町「小樽」

小樽
<小樽の地名はアイヌ語の「オタ・オル・ナイ(砂浜の中の川)」に由来>

小樽運河は明治の開拓時代から人や物を運ぶ港湾都市として発展しました。昭和初期には金融機関や船舶会社、商社などが進出。北海道経済の中心を担っていました。街中に今も残る重厚な建物が、当時の繁栄を偲ばせています。

「小樽運河クルーズ」で小樽運河を小粋に楽しむ

小樽運河クルーズ
<約40分のクルーズが始まる>

小樽運河を優雅に楽しむなら「小樽運河クルーズ」がおすすめ。中央橋を出発し、小樽港~北運河~南運河の浅草橋を約40分かけて巡っています。いつもは上から見下ろしている運河ですが、船上では街並みや橋を見上げる形になります。「キャプテン」と呼ばれる操縦士が巧みに船を操りながら、雑学を交えて小樽の歴史を案内してくれます。

小樽運河クルーズ
<キャプテンの案内を聞きながら水面を散策>

小樽の象徴と言える運河ですが、埠頭岸壁の整備により戦後以降はあまり使用されなくなりました。水の流れが滞り、悪臭を放つ運河に当時の面影はありません。やがて埋め立てる計画が発表されると、市民から保存を希望する声が上がりました。実に10数年にも及ぶ論争の末、一部が埋め立てられて道路となり、運河沿いに散策路やガス灯が整備され、現在の姿に生まれ変わっています。

小樽運河クルーズ
<潮風が心地よい>

クルーズ船は、一度運河を離れて小樽湾に出ます。小樽運河は海岸の一部を埋め立てて造られました。陸地を掘って作られた運河と異なり、緩やかに湾曲しているのが、その名残です。保存と引き換えに多くが埋め立てられ、現在は全長1,140m、道臨港線に沿った幅は20m。いつもの橋の下を潜り抜けるたびに「頭を打ち付けるのではないか」とヒヤヒヤ。最大限に水かさが上がっても、いまだかつて事故が起きたことはないそうなので安心してください。

昔ながらの風情を感じる北運河

小樽運河クルーズ
<かつての運河らしい光景が広がる>

ホテルや観光施設が集まる浅草橋街園や中央橋街園が人気スポットですが、私のおすすめは観光客があまり足を運ぶことがない北部(通称:北運河)です。たくさんの船(現在は運搬船ではなく観光船)が停泊しており、運河として活用されていた当時の面影を色濃く残しています。冬の夜は天狗山スキー場のナイター照明の明かりがプラスされ、幻想的な世界を見せてくれます。

小樽運河クルーズ
<渋沢栄一の影響力を感じる>

運河近くの倉庫は、商業施設などに転用されています。中には駐車場やディスカウントショップになっている倉庫もあり、時代の流れを反映しています。お洒落なライブ会場としても人気の「小樽 GOLDSTONE」の別称は旧澁澤倉庫。2024年に発行される新しい一万円紙幣の肖像画になることでも話題になった「渋沢栄一」の所有物件でした。この倉庫一つとっても、小樽の歴史や経済界に対する関わりが伝わってきますね。

小樽運河クルーズ
<小樽市の歴史的建造物に指定>

「旧北海製罐倉庫株式会社」も見逃せません。大正10年に創立し、当時の埋立地の形状に合わせて外壁が一部曲面しています。良港をもつ小樽では早くから水産物の缶詰加工が盛んでした。クルーズ船から第3倉庫を近くで見ることができます。潮風で朽ち果てた製品を運河へ搬出するためのスパイラルシュートは迫力満点。時の流れを感じさせてくれました。

小樽運河クルーズ
<クルーズが終わりに近づくと少し寂しくなる>

クルーズ船は南で引き返し、発着場所の中央橋に戻ります。夏の日差しが強く、少し汗をかきましたが、川面を渡る風が心地よく、爽やかなひと時を過ごすことができました。

小樽運河クルーズ

  • 住所:北海道小樽市港町5-4
  • TEL:0134-31-1733
  • 営業時間:10:00~20:00 (月ごとに変動)
  • 休業日:12月31日~1月1日
  • 公式サイト:小樽運河クルーズ

小樽三角市場でランチタイム

小樽三角市場
<JR小樽駅から徒歩1分>

小樽運河を楽しんだ後は、ランチをどうぞ。夏の小樽と言えばうに丼、うに丼と言えば夏の北海道というほど、この二つは切っても切り離せない間柄です。「市内にお店が多すぎて、どこに行ったらいいかわからない」という方は、小樽駅すぐ横の「小樽三角市場」がおすすめです。

小樽三角市場は、昭和23年頃、小樽駅前に7〜8軒の露天商がお店を出したのが始まりで、土地と屋根が三角の形をしていることからその名がつけられました。現在は中央通路を挟んで鮮魚店などを中心に16店舗が軒を連ねています。市場内には6つの食堂があり、美味しいうに丼を提供しています。中には昼間から地元のお客さんがお酒を楽しんでいる店も。ディープな小樽が待っていますよ。

小樽三角市場

  • 住所:北海道小樽市稲穂3丁目10-16
  • TEL:0134-23-2446
  • 営業時間:7:00~17:00 ※飲食店ごとに異なる
  • 休業日:年中無休
  • 公式サイト:小樽三角市場

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吉田匡和

札幌市在住のよろずライターです。美味しい食べ物から温泉、穴場スポットや定番スポットの知られざる楽しみ方など、地元ライターらしい視点でワクワクを紹介します。

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