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【新型コロナウイルス】フランス:コロナワクチン接種を開始!実際の体験は...?

2020年12月27日にフランスで始まったコロナワクチン接種。当初、一週間で接種した人は500人しかおらず、隣国のイギリスやドイツに遅れを取っていましたが、2021年に入り政府が方針を転換。早速、医療従事者である義母がワクチン接種をうけた様子をレポートします。
目次
ワクチン接種の遅さは政府の政策のせい?
フランス政府は当初、第1段階で高齢者施設の入居者とその職員、第2段階で75歳以上の人、65歳以上でリスク要因のある人、及び50歳以上の医療関係者で持病のある人、第3段階でその他、という方針を打ち出していました。
しかし、隣国とくらべてもかなり遅いペースで政府に対する批判も高まっていました。政府によると、常駐医がいない高齢者施設が多く、また判断能力が低下している場合に家族に都度連絡する必要があることから、高齢者施設に限ったワクチン接種は時間がかかっているとのこと。
そこで、2021年に入り第一段階の対象者に50歳以上の医療従事者、消防士、訪問介護士を追加したのです。それに伴い、ワクチン接種センターでの接種を可能としました。この効果もあり、1月2日から7日までに、フランス全土で4万5千人が接種を受けました。
一方で、イプソスグローバルアドバイザーと世界経済フォーラムの調査によると、フランスでは4割の人しかワクチン接種を望まないという結果。イギリスでは8割近い人々が接種を希望していることを鑑みると、ワクチン接種の遅さは政府だけの責任ではないのかもしれませんね...。
オーブ県のワクチン接種プラットフォーム
政府の政策方針にともない、50歳以上の医療従事者である義母は、早速ワクチン接種希望有無を確認する電話を受けました。接種を希望する場合は、そのまま接種日時を電話で仮予約します。
義母が勤務する病院では332人が接種を希望し、1日平均50人のペースで接種が進んでいます。オーブ県では、各病院単位で接種希望者有無をまとめて県に提出し、その後Eメールでワクチン接種の詳細情報や登録のためのプラットフォームへのリンクが送付されます。
また、ワクチンに関し質問や相談がある場合の電話窓口も開設されています。プラットフォームは各県のワクチン担当病院が開発しているため、内容や段取りには違いがあるかもしれません。
プラットフォームに接続したあとは、生年月日や所属先など7項目に記入し、ワクチン接種に同意する項目をクリックすれば登録が完了。所要時間は1分足らずでした。
ちなみに、クリスマスのちょうど直前に義理の妹がコロナに感染しました。その際もTousAntiCovid(「みんなで新型コロナウイルスに対抗」の意)と呼ばれるアプリで濃厚接触が疑われたため、「あなたが○月○日に乗った電車の同じ車両でコロナ感染者が出ました。濃厚接触の疑いがあるので検査してください。」といった内容の電話連絡を受け、症状が出る前にコロナ感染を知ることができました。
ワクチン接種における情報管理も同様ですが、フランスではこうしたプラットフォームの開発が迅速になされ、機能しているようです。
ワクチン接種当日の流れ
ワクチン接種当日は、ワクチン接種センターのある病院に向かいます。接種に際しては、医師との面談で過去の大きな疾病やアレルギー等を確認した後、インフルエンザと同じ筋肉注射が行われ、15分間様子見の待機時間が設けられています。
ソーシャルディスタンスを心がけた椅子が配置された待合室では、医療従事者と見られる人々が待機しています。
接種完了後にはワクチンの種類(義母の場合はファイザー社)、製造番号、接種を受けた部位(左腕等)、次回接種の時期(通常3週間後)を記した証明書が発行されます。15分様子見の間に次回接種の予約を入れれば、接種は終了。情報をプラットフォームに登録するなど、担当者にとっては慣れない作業のためか、通常のワクチン接種に比べると時間がかかったものの、比較的スムーズに接種が行われているようです。
副作用は...?
肝心の副作用ですが、義母の場合は筋肉注射特有の若干の痛みがみられるものの、インフルエンザ等のワクチンと変わらないようです。その他体調の変化は翌日も見られず。ファイザー社のワクチンの場合、2回目接種から1週間で抗体が完成するため、最初の接種から数えると1ヶ月で効果が出る予定です。
まとめ
今回は、フランスで始まった新型コロナワクチンの接種についてお伝えしました。
各県によりプロセスに違いがあるかもしれませんが、私が居住するオーブ県においてはプラットフォームもワクチン接種証明書も数週間で開発されたとは思えない充実した内容でした。
欧州各国、ロックダウンや夜間外出禁止等で人の動きを止めることによって感染抑制をしていますが、今後は各国政府・自治体が一丸となってワクチン接種を推進していき、皆で抗体をつけることが世界の経済活動再開のために必要とされているのかもしれませんね。
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Saori K. Courtois
- 西アフリカ在住の国際公務員。アフリカの日常的観光スポットから~旅行に役立つ情報まで幅広くお届けします。