ダ・ヴィンチの次はミケランジェロ!ルーヴルがプロデュースする『肉体と魂』展

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<トゥッリオ・ロンバルド『バッカスとアリアーネ』1505-1510頃,ウィーン美術史博物館©kunsthistorisches Museum, Wien>

2019年レオナルド・ダ・ヴィンチ展が大きな話題になったパリのルーヴル美術館。コロナ禍を経て今年2020年企画するのが、イタリア・ルネッサンスの彫刻『肉体と魂、ドナテッロからミケランジェロまで』展です。当初は春から夏の開催予定でしたが、パンデミックの影響で新たな会期は10月22日から2021年1月18日になりました。

目次

クアトロチェント後半から1500年代にかけて

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<古代ローマ美術,Relief des Sacrifiantes Borghèse, 130年頃,パリ・ルーヴル美術館、古代美術部門©Musée du Louvre, dist.RMN-Grand Palais/Hervé Lewandowski>

この特別展は、ルーヴル美術館と、ミラノのスフォルチェスコ城が共同で準備したもので、クアトロチェント(1400-1499年を指す)後半から16世紀初期にかけてのイタリア・ルネッサンス彫刻を追う内容です。実は、ルーヴル美術館は2013年に、クアトロチェント前半期のフィレンツェ・ルネッサンスをテーマにした『ルネッサンスの春』展を催しており、今回の『肉体と魂』展は、それに続く時期にフォーカスを絞ったものになっています。

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<アンドレア・デル・ヴェロッキオとそのアトリエ, Deux anges volants, 1480年ごろ,パリ・ルーヴル美術館、彫刻部門©RMN-Grand Palais (Musée du Louvre)/René-Gabriel Ojéda>

動きある人物を捉える表現方法は、当時においては革新的なものでした。そこにさらに内面の感情を映し出そうと腐心したこの時期を代表する芸術家がドナテッロとミケランジェロというわけです。この時代のイタリアは、ほかにもアントニオ・デル・ポライオーロ、トゥッリオ・ロンバルド、リッチオ、バンバイアなど、多くの卓越した芸術家を輩出しています。地理的にもトスカーナ、ロンバルディア、ヴェネトなど主要な地域に留まることなく、ルネッサンスの動きはウルビーノ、フェッラーラ、マントヴァなどへ広がっていきました。

三部に分かれる構成

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<ベルトルド・ディ・ジョヴァンニ(1440-1491頃)『戦い』フィレンツェ, バルジェッロ国立美術館© Su concessione del Ministero per i Beni e le Attivita Culturali e per il Turismo, Museo Nazionale del Bargello>

今回の特別展は大きく三部に分かれる構成になっています。

第一のテーマは「激昂と恩寵(La fureur et la grâce)」。古代ギリシア・ローマ美術をモデルにして、男性の体の動きの力強さと内面の情熱を同時に表現する作品や、身体にまとう優雅な布のドレープや裸体そのもので、人の姿の優美さを表わそうとするものです。この部ではアーティストで言えば、アントニオ・デル・ポライオーロや、フランチェスコ・ディ・ジョルジオ・マルティーニ、ベルトルドらの作品が紹介されます。

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<ジョヴァンニ・アンジェロ・デル・マイノ『キリストの哀悼』1515-20頃, Bellano©Archives Alinari, Florence, Dist.RMN-Grand Palais/Luciano Pedicini>

2つ目のテーマは「感動させることと説き伏せること(Emouvoir et convaincre)」で、宗教的なモティーフを用いて、見る者の魂を強く揺さぶる作品が取り上げられます。この動きが最も強くみられるのは、1450年~1520年のイタリア北部で製作されたキリストを十字架から降ろすシーンを題材にした作品群ですが、同時期のマグダラのマリア像や聖ヒエロニムス像にも同じ傾向が見て取れます。

最後のテーマは「ディオニソスからアポロンへ(De Dionysos à Apollon)」。この部では、尽きることのない古代美術への関心が生んだ作品たちが展示されます。

足を運びにくい場所の作品も一堂に!

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<フランチェスコ・ディ・ジョルジオ・マルティーニ『キリストの鞭打ち』1480-85頃, ペルージャ,ウンブリア国立絵画館©Perugia, Galleria Nazionale dell'Umbria>

展示作品は150点以上。有名どころはもちろん、地方や教会などに点在し、なかなか目にする機会のない作品も含まれます。ルーヴルスタッフが練った解説付きで、イタリア・ルネッサンスの彫刻を俯瞰する贅沢な機会になることでしょう。

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<ミケランジェロ、1504-06頃、『顔の右側を向け立つ男』, パリ・ルーヴル美術館©RMN-Grand Palais (Musée du Louvre) /Michèle Bellot>

なお、パンデミックの影響で、現在ルーヴル美術館見学には日時指定のオンライン予約が必須になっています。マスクの着用も義務で、見学者同士のフィジカル・ディスタンスが推奨されています。また、この記事を書いている8月の段階ではまだクロークは閉鎖されています。大きな荷物やバイクのヘルメットなどを持った入場は禁止されていますので、ご注意ください。

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冠ゆき

山田流箏曲名取。1994年より海外在住。多様な文化に囲まれることで培った視点を生かして、フランスと世界のあれこれを日本に紹介中。

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