アマゾン川・ハンモック船旅行記

アマゾン川

広大なジャングルの中を複数の国にまたがって伸びるアマゾン川。

その川に寄り添うように無数の町が発展し、中には人口が200万人を越す町もある。

しかし、その町々を結ぶ道路はほぼ無く、船や飛行機でしか行けない町も多いので、観光するとなると船を使って移動することになるのだが、船に揺られて数時間、なんて甘い話にならないのが世界最長の河川アマゾン川。

ではどんな旅になるかというと、アマゾン川名物のハンモック船で1週間以上かけて下るのだ。

目次

アマゾンを気軽に旅するならこれに決まり!

2018年末、ペルー、コロンビア、ブラジルの三国の国境が交わるアマゾン川中流の町、ブラジルのタバティンガから河口の都市ベレンまで2,500kmの船旅を決行。

船の種類はハンモック船以外にも高速船や豪華客船なんかもあるが、金はなくとも時間だけはあるので、のんびりと楽しめるハンモック船を選択。

出航前日にまずはベレンとの中間ポイントにあるマナウス行きのチケットを購入。

タバティンガから河口に向かって1,000kmの距離にあり、料金は200レアル(=3,800円/2018年当時)で3泊4日の船旅だ。

食事は三食付くのでお菓子や酒を買い込み、最後に肝心のハンモックを街中で探す。同じような商品でも店によって料金が若干変わり、一番安かった店で1つ12レアル(350円)のハンモックを購入。

ハンモックを吊るすタイプの2等客室

船には料金が格段に高い個室も用意されているが、僕が泊るのは3階建ての船内の天井にある梁にハンモックを吊るすタイプの2等客室。日本の2等客室だと畳がひかれていて、各自空いているところに自由に陣取って寝転がるスタイルだが、この船でも日本と同じ。自分の寝床は早い者勝ちで選び、好きな場所にハンモックを吊るすことができる。

今回乗船した船は、2階と3階にハンモックを吊るせるが、食堂やシャワールームのある2階は人であふれているので、風通しが良く人の少ない3階の後尾にハンモックを吊るす。

汽笛を鳴らした船はマナウスに向かってのんびりと出航し、ハンモックに揺られながらウイスキー片手に読書と優雅な船旅はこうして始まった。

船からの眺め

楽しい船上生活

寝床は確保できたので、次に気なることといえば食事やシャワーだ。

朝昼晩、食事開始時刻になるとアナウンスが流れるので、それに合わせて食堂に行くのだが、初めはアナウンスの意味が分からず一食食いそびれてしまった。2回目以降は聞き洩らさぬように注意する。

メニューはご飯に肉や野菜を煮込んだものとスパゲッティをワンプレートに載せるバイキング形式で、盛った料理の上にキャッサバ粉を炒めたファロファと呼ばれるあられのような粒をふりかけのようにかけるのがブラジル流だ。

食事はバイキング形式

このファロファ、地元の乗船客がみんなかけているので真似してかけてみたのだが、粉チーズのような見た目とは裏腹に、粒一つ一つがガリっと音がするほど硬い。慣れないうちは食べ辛かったのだが、ブラジルを旅している間頻繁に口にするうちにこれがないと物足りないくらいになってしまった。

船内には売店もあるが、冷水が飲み放題なので水分補給に困ることは無い。

シャワールームはお世辞にも奇麗とは言えず、お湯は出ないし脱いだ服を置く台もなく、壁に刺さったパイプから勢いよく水が噴出するとてもシンプルな代物だ。

そしてそのパイプからは茶色い水が飛び出してくる。そう、アマゾン川の水を多分ろ過もせずそのままくみ上げて使っているのだろう。

アマゾン川というと茶色く濁ってる姿から汚いと思われがちだが、あれは水質が悪いのではなく、土や泥が混ざって茶褐色になっているだけで、水質に関しては水量が豊富のため多少の汚染は薄まって全体的に見ればかなり奇麗な部類に入るとか。

シャワーついでに洗濯もし、ハンモックにぶら下げておけば半日で乾くので、清潔も保てなかなか快適な船旅だ。

陸で小休止

出航して4日目、茶褐色のアマゾン川と落ち葉から染み出したタンニンなどによって黒色となったアマゾン川の支流ネグロ川が合流する。

流れがぶつかるところは水の密度が違うのかすぐには混じらす、ミルクを落としたコーヒーのように二色が渦巻き、そしてふたたびアマゾン川本流の茶色の流れとなりその流れの先にある人口200万人を超す大都市マナウスに到着。

船移動はここでひと休みし、中心部付近の安宿に投宿してベッドに横たわる。ハンモックも快適だが、寝返りがうてるベッドはやはり気持ちがい。

しかし、このホテルは蚊が多くエアコンの稼働時間も制限されているので、別のホテルに移動しそこを拠点にアマゾン観光にでかける。

町の市場では1mを超すナマズやアロワナやピラルクーなど、ペットショップや水族館で見られる観賞用の魚など日本の魚屋さんにはまず並ぶことの無い魚が売られている。

マナウス名物のタンバキ

その中でマナウス名物のTAMBAQUI(タンバキ)を市場の食堂で注文。タンバキは草食性なのだが硬い木の実を割って食べるため、人間の奥歯のような歯が生えていて少し不気味な顔をしている。

市場の食堂は地元の人が食べに来るので、街中よりは多少安いが、それでも半身のさらに半分程度で300円ほど。ブラジルの物価から考えたらかなり高級な食材だ。

他の魚の数倍の値段だが、炭火でやかれたタンバキは脂が乗っており、身はしっとりしホッケに似た味わい。今まで食べた焼き魚の中でも1位2位を争うほどうまく、これは値段が高いのもうなずける。

マナウス付近で釣りや観光を2週間ほど楽しんだ後、再びハンモック船に乗船しベレンへ。

大西洋へ

最後の目的地はマナウスから1,500km、4泊5日の距離にある河口の都市ベレンだ。

都市から都市への移動ということでベレン行きの便よりも混雑しており、今回は乗船のタイミングも悪く、客室の中央付近と風通しも悪ければ見晴らしも皆無という残念な場所取りになってしまった。寝るとき以外は甲板に出て景色を眺める時間が多くなったが、刻々と変わる空の色や、形や幅に変化のあるアマゾンは一日見ていても飽きることは無い。

今回の船は食堂が無いので、食事は寄港先で乗り込んでくる弁当屋さんから購入。

長い棒で弁当を渡すようす

売り手によっては港から直接長い棒を渡して、乗船客に弁当を売る人がいる。まるで映画なんかで見る、国鉄時代の駅弁売りが窓からやり取りをするの光景のようだ。棒の長さは5m近くあり、棒の先に弁当を入れた袋を取り付け、受け取ったら取り付けてあるかごの中にお金を入れて回収するシステムだ。

長い棒なのでバランスをとるのが難しそうで、よく落とさないで受け渡しできるなー、と感心して見ていたが、ちょいちょい弁当を落とし、中には弁当売りのおじさんが港に落ちることもあり、周りの人は心配する様子はなくそのたびに歓声が上がるので、落ちたり落としたりは毎日のことなのだろう。

弁当は米と肉の入ったシンプルなものだが、九州よりも大きい中州のマラジョ島の付近を航行中は、近くの村から小型ボートに乗って航行中の船にしがみつき、縁をよじ登って物を売ってくる村人がいる。

色々なものを売ってくれるのだが、持ってきた商品の中にかごに入ったエビに目が留まる。

それは素揚げされた川エビで、山盛りに入って一かご10レアルなのでお買い得だ。即決で一かご購入。

素揚げされた川エビ

揚げたエビとくれば、常温でぬるくなったウイスキーを飲んでる場合ではないので、売店でキンキンに冷えたビールを買い、景色のいい場所に座ってプシュッと開ける。

塩のきいたエビはカリっと揚がって香ばしく、冷えたビールでゴクゴクと流し込む。

アマゾン川

青い空、深い緑、茶褐色の川、頬をなでる心地のいい風。なんと至高の時間だろうか。

刻々と変化していく空の色、滔々と流れるアマゾンの雄大な流れ。雑然とした船内でハンモックに揺られ、見知らぬ国を旅をする。

自転車旅も面白いが、自然を身近に感じる船旅も気持ちがいいもんだ。

この流れも、もう少し下れば川幅は10kmを超し大西洋へと注ぐだろう。

ほどよく酔った僕は、陽が落ち夜のとばりが下りるまで、アマゾンのパノラマを見つめていた。

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