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【ブラジル】新型コロナウイルス感染の現状(2020年6月14日現在)
4月4日にリポートしてから2カ月と10日が過ぎましたが、その間、ブラジルはコロナウイルス感染拡大を抑制することができず、死者数は4万人を超えてしまいました。感染拡大が続く中、ブラジルではどのような状況なのか報告したいと思います。
▼前回の記事
・ブラジル「新型コロナウイルス」対策の現状|家での過ごし方リポート(2020年4月4日現在)
目次
死者数4万人超す
まず6月11日に死者数が4万人を超えました。
6月14日現在の感染者数は86万7,882人で、死者数は4万3,889、一日の感染者数は1万7,086人でした。最初のリポートを書いた4月4日と数字を比べると、感染者数は85万7,521人、死者数は4万3,444人増加し、まだ一向に終息する兆しが見えません。米ワシントン大学の推計によると、このまま行くと、7月末には死者数がアメリカを超えると予測されています。
ピークを迎えないまま規制緩和
感染が拡大する中、6月に入り、なぜか、いくつかの州を除いて一気に規制緩和が始まりました。営業時間の短縮や入場制限など制限付きとはいえ、ショッピングモールや商店も営業再開が認められました。州によっては、もっと緩めているところもあります。私が住むサンパウロ市も、外出自粛要請は続いているものの少し緩和され、6月5日には自動車販売店や各種事務所、10日からは不動産業と商店、そして11日にはショッピングモールの再開が始まりました。
一日の死者数が千人を超える日が長い間続いています。本来なら都市封鎖などをしてもっと厳格な対策を取るべき状況にあるにもかかわらず、なぜブラジル全国で商業施設の再開が認められる傾向にあるのか、正直、理解しがたいです。とはいえ、国民の間で、2カ月以上続いた自粛生活に、疲れが出ているのは否めませんし、コロナ禍で190万人もの人が失業手当の申請をしており、経済への深刻な影響が出ていることも事実です。
私も、5月の後半には、長引く自粛生活と効果の不透明さで、強いストレスを感じていました。おそらくみんな、似たような気持ちになっていたのではないでしょうか。この頃から外出する人が増加し、様々な策を講じても自宅にとどまらすことができなくなりだしたので、州政府も限界を感じ、商店の営業の再開に踏み切ったのでしょう。
防疫対策の効果が出ない原因
そもそも、外出自粛を始めとする防疫策が2カ月以上も行われたにもかかわらず、どうして感染者数を抑え込むことができなかったのか、というところに問題があるのではないでしょうか。
感染拡大防止の成功のカギは、当然ながら国民一人一人の協力です。そしてその協力を得るには、政府が国民の心を一つにまとめなければなりません。そうでないと乗り越えることができないということが、ブラジルの状況を見て、心底感じました。
まず、国民のリーダーである大統領が、初めから一貫してコロナウイルスをただの風邪と軽視し、経済活動を優先する立場をとっています。そのため、国民に自粛を要請するどころか、早期経済の再開を州政府に求め、自らが率先して外出し、果ては抗議デモに参加する始末。戦う相手はコロナウイルスのはずが、大統領にとっては州政府が敵。残念なことに、この『お手本』をまねて、コロナウイルスに否定的で、大統領に賛同する国民は少なくありません。政治混乱により、国民の意見は二つに分かれ、団結することができないでいます。
また、貧富の格差が大きいのも、感染拡大を抑制できない原因です。非正規雇用労働者が国民の40%も占めており、これらの人たちの協力なしでは終息することはできません。自粛生活を要請するには、まず、彼らの経済的不安を取り除かなければなりません。政府が十分な現金給付をしないと、その日暮らしの彼らにとって、働かずに家にいるという選択肢はないからです。政府は3カ月間、一人につき600レアル(約1万2,500円)(ひと家族につき上限1,200レアル(2万5千円))を支給していますが、結局、彼らを自宅にとどまらせることはできませんでした。貧困層の中には、ファベーラのような水道設備も整っておらず、人々が密集して暮らす貧民地区で、小さな家に大勢で暮らしている人が多くいます。新型コロナウイルスの感染者がブラジルで出た当初から、これらの地区で感染者が出たら、急速に拡大すると懸念されていましたが、それが今や現実のものとなっています。
新しい日常から生み出されたアイデア
制限が緩和されたとはいえ、ブラジルでは、まだまだステイホームは続いています。私の職場は、引き続きテレワークをしているため、ほぼ家にいます。在宅勤務が始まったころは、規則正しい生活を送っていると報告しましたが、2カ月経った今、すっかり乱れてしまいました(笑)
また前回は、ブラジルで人気のステイホームの楽しみ方を紹介しましたが、今回は、今流行りの安全に外出し、楽しむためのアイデアについて話しましょう。
例えば、ドライブインシアターの復活。車の中で映画鑑賞。しばらくの間、これが唯一の外での娯楽になるのでしょうか。次にドライブスルー方式での民事婚。裁判官の面前で執り行う結婚式ですが、花嫁と花婿は車に乗ったまま、裁判官の前で結婚を誓います。ドライブスルー方式はその他にもいろいろあり、卒業証書授与式などにも利用されていて、結構何にでも使えるということが分かりました。
まとめ
ブラジルはどうやら終息はまだまだ先で、専門家によると10月ぐらいまでかかると言われています。次回の報告が山場を越えたものであることを願っています。
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オシャラ
- ブラジル在住19年。今はサンパウロに住んでいます。現地ならではの旅情報を発信していけたらと思います。