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【新型コロナウィルス】オーストリア・ウィーンのからの明るい話題(5月9日現在)

記事投稿日:2020/05/13最終更新日:2020/05/13

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オーストリアで外出制限が最も厳しかった、4月前半の様子をまとめたこちらの記事から、一か月が経ちました。5月からは規制措置が徐々に解除され、店舗や学校の再開が徐々に始まっています。先の見えないトンネルに思えた7週間の外出制限の間には、暗いニュースだけではなく、ぽっと心に灯が灯るような、明るいニュースもありました。

今回はそんな、外出制限中の明るい話題をまとめてみました。

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<外出制限期間の散歩中に出会った、ドナウ川の白鳥>

目次

馬車で無料宅配サービス

ハプスブルク時代をほうふつとさせる、フィアカーと呼ばれる観光客向けの馬車が、街並みにとけ込む古都ウィーン。しかし、外出制限中には、御者も馬たちも仕事はできません。

そんな時、有名ホテルのレストランが、画期的なサービスを始めました。日々の運動を欠かすことができない馬たちに、食事の配達をお願いしようと考えたのです。当初は、通常のデリバリーサービスの一環として、ランダムに馬車を使って配達していましたが、その後、お年寄りやハイリスクグループへの無料宅配サービスへと方向転換しました。

スーパーに行くことができないお年寄りが、宅配を受け取るために扉を開けると、そこには馬車がいたら、ビックリして、思わずニコッと笑ってしまうことでしょうね。

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<ウィーンの観光馬車「フィアカー」。写真は観光客でにぎわっていたころの街並み>

他にも、ウィーン最高級レストランが飲食業界に声をかけ、医療関係者や警察、救急の現場に届ける活動を続けるなど、今回の休業で最もダメージを受けるはずの飲食業界が率先して社会のために活動している姿は、心を打たれます。

ハプスブルク家の末裔親子、手洗い動画をシェア

第一次世界大戦までオーストリア皇帝として君臨していたハプスブルク家ですが、今でもその末裔は、オーストリアに暮らしています。最後の皇帝の孫にあたる現在の家長は、カール・ハプスブルク。長男のフェルディナント・ハプスブルクはカーレーサーとして活躍していますが、一時的に国民の義務である兵役の真っ最中でした。

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<フェルディナント・ハプスブルクがレースに参戦することも多い、オーストリアのF1レース場シュピールベルク>

このカール・ハプスブルクがコロナウィルスに感染したと報道されたのは、外出制限が始まる前の、感染拡大初期のことでした。現地の新聞への電話インタビューに答えたカールは、「厄介な病気ではあるが、ペストではないから」と答え、自宅隔離で療養を続け、3月末に快癒しました。

ちょうどそのころ兵役中だった息子のフェルディナントは、国の要請で兵役が延長され、病院などの施設のための食料を倉庫からピッキングする作業に従事しました。所属するレーシングチームのSNSでは、深夜早朝の倉庫での作業の様子が動画で紹介され、非常時の軍隊の役割についてアピールする機会となりました。

父の快癒を知り、自宅に向かったフェルディナントは、仲よく親子で手洗いをしている動画を撮影し、こちらもSNSにアップするなど、啓発活動にも一役買いました。更にカールは、研究開発のために自身の血漿を提供することに同意し、その研究の甲斐あってか、オーストリア南部の都市グラーツで、血漿治療による治癒患者が複数人出ています。

クリムトの曾孫の手作りマスク

「キス」で有名な、ウィーン世紀末芸術の画家グスタフ・クリムトの曾孫ブリギッテ・フーバーは、クリムトの住居博物館「クリムト・ヴィラ」を運営し、自身も舞台衣装デザイナーとして、複数の従業員を抱える経営者です。劇場閉鎖によりデザイナーの仕事ができなくなり、博物館も一時休業の中、経営難の博物館と従業員を救うため、アトリエでクリムトゆかりの手縫いマスクを製作し、博物館のショップでの販売に踏み切りました。

メディアで話題になったこともあり、このマスクは現在は品切れ状態だそうです。衣装デザイナーとしてのスキルを活かし、貴重な文化遺産を救うことができそうです。

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<クリムトの「キス」を所蔵するベルヴェデーレ美術館>

「石の蛇」は希望をつなぐ

外出制限中の公園で、不思議なものを見かけました。色とりどりにペンとされた石が、1メートルほど連なっているのです。説明書きを読むと「子供たちやお散歩の皆さん。石に絵を描いて、ここに繋げましょう。コロナの時が終わった時、どのくらい長くなるかな?」とあります。翌日には列は倍になり、説明書きが風で飛ばされてしまっても、石の列は毎日伸びていきます。

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<こんなかわいい石も並んでいます>

この活動は、ドイツやオーストリアで4月ごろから始まった「石の蛇」とも呼ばれるもので、一説には、以前からあったアート活動を応用したものだと言われています。

大きな公園の入り口に並べられた「石の蛇」は、毎日長くなるだけでなく、子供たちが並べなおして遊んだり、散歩中のお年寄りがお気に入りの石を見つけたりと、遊びやコミュニケーションの場にもなっています。特に休校中の子供が家にいる家庭は、自宅でできる簡単な工作ということで、石を拾って帰ってはペイントして並べています。

3週間で30メートル以上の長さに並べられたカラフルな石たちは、散歩中の人たちの目を楽しませてくれます。

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<長く伸びた石の蛇>

オーストリアの現状

厳しい外出制限を乗り越え、「新しい日常」へと向かっているオーストリア。

5月からはマスク着用や1メートルの距離を保つこと、10人以下の集会を条件に、外出や勤務、店舗が再開し、人々は徐々に「新しい日常」に慣れつつあります。レストランは5月半ば、ホテルや観光産業は5月末の再開が予定されていて、学校は半分の人数の交代制で、段階的にスタートします。

オーストリアは、統計データに基づく適格な判断で、早期に感染拡大を食い止め、ヨーロッパでは最も早く規制措置緩和のフェーズに移行しましたが、それゆえに前例のない道を行くことになります。観光業が大きな痛手を受け、失業率も上がっている中、今後の対策が注目されています。

まとめ

お年寄りに食料を届ける高級レストランと観光馬車、手洗いを推進し、血漿を提供するハプスブルク家、住居博物館を守ろうとするクリムトの末裔、日々の散歩道を明るく彩り、子供たちに工作の機会を作ってくれる「石の蛇」活動。つらい外出制限を少しでも明るく、過ごしやすいものにするために、それぞれの立場でできることを考え、実行に移した活動が、周りの人々の心を明るくしていきます。

外出制限が解除されたウィーンですが、つらい日々の中でも、光を見出し、助け合った日々があったことを心の片隅に置きながら、「新しい日常」へ向かって、ゆっくりと動き出しています。

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