【新型コロナウイルス】タイ・チェンマイの人々は「正しく怖がり」かつ前向きな日々(2020年4月15日現在)

私の暮らすタイ北部のチェンマイでは、4月13〜15日にソンクラーン(伝統正月・水かけ祭り)を迎えました。

今日は、その最終日に当たります。

もちろん、すでに報道されているようにタイ政府は仏像洗いのパレードや無礼講の水かけ合戦など、人の密集するすべての行事の延期(時期未定)を決めています。

だから、今年のお正月は表面上とても静かです。

それでも人々は、伝統正月本来の意味合いを忘れず、感染予防に最大限に気を配りながらも、普段の暮らしのリズムに従って自然体で新年の訪れを祝っています。

目次

大きな店の前では自主検温、店内では間隔空けて

タイ政府は3月26日に「非常事態における統治に関する勅令」を施行して、日本とは比較にならないほど厳しくかつ積極的な新型コロナウイルス感染拡大予防に努めています。

ソンクラーンの前には、夜間外出禁止令(午後10時〜朝4時)やアルコール販売禁止令も出ました。

しかし、それ以外の外出には制限がないので、日本で想像されているような窮屈な感じはまったくありません。

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ただし、感染予防に関しては私が住むチェンマイ近郊の田舎町でも、徹底した措置が取られています。

スーパーなど大型店の前では、必ずスタッフが待ち受けて手指消毒と検温を行います。

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大型店では食料品や生活必需品コーナー以外は閉鎖され、店内でもレジ前でも人々は必ず距離を空けています。マスク着用も「社会的距離」も。すでに日常習慣と言えるでしょう。

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近所のコンビニでは入店者数を制限している会社もあり、いわゆる買い占めや店員への口汚い苦情などはまったく見られません。

お寺では「砂の塔」に「干支飾り」を奉納

チェンマイ市内にある有名なお寺のいくつかは閉鎖されていますが、近所の寺への参拝は普段通りに行われています。 

とりわけ、僧侶に食料や日用品を喜捨するタンブンは欠かせない信仰習慣です。

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僧侶の読経を待つ人の列には、自然と一定の間隔が保たれており、声高に話す人などは一人もいません。

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境内に作られるソンクラーン恒例の「砂の仏塔」も、今年は控えめなサイズです。

人々は十二支の絵が描かれたトォンと呼ばれる幟や七夕飾りに似た紙細工を砂に挿して、先祖の成仏や新年の開運を静かに祈ります。

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あとは家に戻って、両親や年長者の手を聖水で浄め、代わりに手首に白い聖糸を巻いてもらうダムフア(年長者表敬)を行います。

タイのソンクラーンと言えば、観光向けの派手な水のぶっかけ合いが有名になり過ぎましたが、今年は伝統正月本来の静かなお祭りが復活したとも言えそうです。

経済的に困っている人々に無料で食料を提供

国民の大半が上座部仏教を信仰するタイでは、困った人がいる場合には自然と救いの手を差し伸べるという慈悲の心が生きています。

今回の積極的な感染予防措置のもとで、店を閉める、職を失うなどの経済的打撃をこうむった人は数多くいます。

そうした人たちにせめて無料で食料を提供しようという試みは、すでに早い段階からチェンマイの各所で行われてきました。

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ソンクラーン初日の4月13日には、チェンマイ旧市街にある有名なワット・チェディルアン(閉鎖中)、ラーンナー様式建築のお手本と言われるワット・ロークモーリーなどでも、昼食の無料支給が行われました。

お寺の周りには、すでに11時頃からぐるりと行列ができています。これほどの数の人が、この目のくらむような炎天下で並ぶ必要があるのかと思うと、胸が痛みます。

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けれど、境内に石灰で描かれた立ち位置を示す白い円、炎暑を避けて順番を確保するために置かれたサンダルの片方、ビニールボックスでの徹底した全身消毒の様子などを見ると、不思議なおかしみが湧いてきます。

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予防上、みんなが無言でいるのですが、マスクの下から覗く微笑を含んだ瞳や仕草には、まったく暗さがありません。

「今は大変だけど、みんなで助け合えばきっと乗り越えられるさ。ここは俺たちの街チェンマイなんだから」

その一部始終を見守った私の胸には、境内に満ちる連帯と前向きな想いが深くずっしりと伝わってきました。

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クンター吉田

チェンマイ在住の物書き&プランナー。「チェンマイわいわい映画塾」主宰。趣味:北タイ温泉探訪バイク・ツーリング。

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