【新型コロナウイルス】スペイン・バルセロナ 非常事態宣言で外出禁止が続く中で(2020年4月15日現在)

今や新型コロナウイルスの感染は欧州やアメリカを中心に全世界へ広がり、なかでもスペインは欧州においてはイタリアに次いで被害が大きく、累計感染者数19万1,726人、累計死亡者数2万43人が出ています(現地時間2020年4月18日現在)。

私は何度かスペインのガイドブックを作ったこともあり、一時期は毎年のようにスペインを訪れていました。日本でも感染者が増える中、「外出禁止」が一ヶ月続くスペインの現在の状況を知りたく、友人で、バルセロナで現地ガイドをしている吉田久美子さんに現地の様子をうかがいました。

目次

スペインでの感染の広まり

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<スーパーに入るための列。間隔をあけて並ぶ>

スペインで感染者数が増加し出したのは、イタリアでの増加に遅れること約1週間の3月10日(感染者1622人、死亡者35人)。その後は、イタリアを凌ぐスピードで急激に増え始めます。

日本の外務省が、スペインに対する感染危険情報をレベル1の「十分注意してください」として発出したのは3月12日。しかし、翌13日には早くもマドリード州など感染者が多い地区の危険度をレベル2「不要不急の渡航は止めてください」に更新されます。

やがて感染者の増加はスペイン全土に広がっていきます。

バルセロナでは3月12日からサグラダ・ファミリアなどの観光施設が閉鎖しました。

3月14日にはスペイン全土に「非常事態宣言」が発令されます(この時点で死亡者は136人)。これにより、陸路による外国人のスペイン入国が厳しく制限されることになります。政府はすでに新型コロナウイルスが蔓延していると推測し、早めに手を打ったのでしょう。

3月22日には、3月14日に出した「非常事態」を当初の15日間から、さらに15日間延長を決定。この時点でスペインでの死亡者累計数は1,720人に達しました(その後、4月18日付でさらに5月9日まで延長が決まりました)。

3月23日には、ようやく日本の外務省はスペイン全土を「危険レベル3(渡航中止勧告)」としました。26日の死亡者数は累計4,089人に。

そして4月2日にはとうとう累計死亡者数が1万人を超えてしまいます。

スペインでは日本と検査に対する考え方が異なるので感染者数では単純に比較はできませんが、累計死亡者数では日本の厚労省発表による日本国内の死亡者数を大きく上回っています(4月14日現在)。

「警戒事態」による外出禁止とは

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<人通りがないバルセロナの街路>

日本でも緊急事態宣言が発令されていますが、日本の場合は罰則がないので、スペインのような強制力はありません。スペインでは、以下を除き市民の外出が厳しく制限されています。これには罰則があり、違反した場合には罰金および逮捕される可能性もあります。

外出が認められるものの例

  • 食品や薬品の購入
  • 金融機関や保険会社への移動
  • 職場への移動、帰宅
  • 犬の散歩
  • 未成年、お年寄り、体の不自由な人の付き添い
    ただし、付き添いに該当しない場合の移動は、必ず一人で行うことになっている

また、いくつかの市や町は封鎖され、他の市や町から移動することは特例(生活必需品の運送など)以外は禁止されています。

バルセロナの現在の様子を現地からレポートしてもらいました

今回、外出規制がかかっているバルセロナ在住の吉田久美子さんに、チャットでインタビューしてみました。吉田さんは2005年からスペインに在住し、現在はバルセロナで現地ガイドをしています(インタビュー取材:2020年4月15日)。

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<パン屋の前も間隔を開けた列ができている>

Q 街の様子はどんな感じですか?

通りに出てみると、当然のことながらほとんど人は出歩いていません。マスク姿の犬の散歩中の人や買い物袋を提げた人がちらほらいる程度です。市バスは間引き運行され、運転手に近づくことができなくなったため、事前にチケットを入手していないと乗られません。タクシーは、台数は少ないですが走っています。車が激減したので空気がよくなった気がします。

私が行くスーパーでは、レジでの接触を避けるために支払いはカード払いのみ、列は一定の間隔を保っています。混んでいる場合は入場制限があって、ひとり出たらひとり入る方法を採っています。入口に消毒スプレーとビニール手袋が置かれています。

Q ごみ捨てやペットの散歩はどうしているのでしょう?

私が住んでいる地区では、通りに大型のごみ収集コンテナが置かれており、各家庭で溜まったごみは都度そのコンテナに捨てに行っています。コンテナは、資源ごみの分別ができるように分けられており、自治体の回収トラックがコンテナに溜まったごみを集めに来ます。ですので、家の中にごみを溜めておく必要はありません。今は、買い物や犬の散歩に出るついでにごみを捨てています。

スペインの外出禁止の範囲はとても厳しいのですが、犬の散歩は認められています。といっても家族一緒はだめで、ひとりだけで出かけます。遠出はできず、家の周辺に限られます。ほかの犬との接触もだめです。

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<外出禁止でも近所に限って犬の散歩は認められている>

Q スペインの人も手洗いやうがいはするようになりましたか?

外出禁止になる直前は、公共の施設やレストランでもトイレでしっかり手を洗う人が増えたなあと思っていました。除菌ジェルを使う人が多いです。うがいをする人を見たことはありません。今の様子をうかがい知ることはできませんが、これだけ状況がひっ迫しているので、みんな手洗いはしっかりしていると思いますよ。

Q スーパーで品薄になったものとかはありますか?

非常事態宣言の前日と出た当日のスーパーは、トイレットペーパー、生鮮品、パスタ、ビールなどはほぼ売り切れ状態で、生鮮品では特に肉類が売り切れていました。ただしパエリア用の米やカップラーメンはけっこう残っていたので、自分としては困らなかったです。物流は維持されていたので、スーパーの品ぞろえも数日後には元に戻り、今はいつ行っても困ることはありません。アルコールやハンドサニタイザー(除菌ジェル)など除菌に関する商品はいまだに品薄です。

中華系スーパーは非常事態宣言後すぐに閉店してしまい、地元のスーパーで売られていないアジアの野菜や調味料、豆腐などが手に入らなくなったのが不自由なところです。

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<スーパーや市場ではマスク着用が義務になっている>

Q 学校はいつまで休みなのでしょうか? また、子供たちはどのように日常を過ごしているのでしょう?

学校は今のところ4月26日まで休校しています。外出禁止がさらに延長になればそれに準ずると思われます。子供のいる友人に聞いたところ、今年度の終わる6月まで休校し、そのまま夏休みに入るだろうという話もあるそうです。

ただし、外に出て遊ばせることができないし、買い物に連れていくことも基本的にできません。別居している祖父母を訪問することも(介護目的以外)できないし、子供さんのいる家庭は大変だろうと思います。子供たちを少しだけでも外に出してもいいか、今から検討されるようです。

Q 政府からの助成金や仕事を失った人への補償などの対策は発表されていますか?

他の国で言われているような、国民全員への現金支給のようなものは今のところありません。

新型コロナが理由での解雇はできません。ERTE(新型コロナによる契約の一時停止および短時間勤務となった労働者への補てん)という措置が設けられ、国から給与分の支給がありますが、申請者が膨大で追いついておらず、まだ支払いを受けていない友人が多くいます。

Q いま、家ではどのように過ごしていますか?

インターネットのある時代で本当に良かったと思います。外出できなくても日本語の情報を得ることができますし、日本の家族や友人とも問題なく連絡が取れます。今は動画サイトを見たり本を読んだりして過ごす時間が多いですね。

あとは食べることくらいしか楽しみがないので、太りそうなのが心配です。ご近所さんが室内でエクササイズをする音がよく聞こえてきます。

Q 外出禁止の中で、人々はどのように前向きにしているのでしょうか?

この騒動が始まってから、毎晩20時に医療関係者たちに対する賞賛と応援の拍手を贈る習慣ができました。私は集合住宅に住んでいるので、20時になるとみんなが窓辺やテラスから拍手する姿が見られます(動画を撮影しましたので下記ご覧ください)。もちろん自分も参加します。社会と繋がっていることを感じられるひとときです。

エレベーターの中に「自分は車を持っているから、買い物のお手伝いができます」「みんなが使えるようにWi-Fiを繋げました。パスワードはこちらです」「外出証明書のフォームを印刷したので使ってください」といった貼り紙があり、自分も大変な時期に他人を思いやることのできる隣人たちの存在に胸が熱くなりました。

吉田さん、ありがとうございました。

(インタビュー取材:2020年4月15日)

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<隣人との会話もベランダ越しに>

日本領事館からのお知らせ

スペインの各自治体では、スペイン語による外出制限のQ&Aを設けています。かなり細いものにも答えているので(ペットの散歩、未成年との外出、外出時に自家用車に乗れる人数、必要不可欠なサービスとは何かなど)、在住の方はチェックしてみましょう。在バルセロナ日本領事館では、以下の和訳をウェブ上で公開しています。

>>>カタルーニャ州における新型コロナウイルス感染症に関連する制限についてのQ&A

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前原利行

東京出身で、現在は神奈川在住。今までに訪問した国はアジア、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカなど90か国以上。現在は海外旅行や映画、音楽、アートに関する、ライター及び編集者として活動中です。一番多く訪れているのはインドで、仕事も含めて20回以上。プライベートではロックミュージックや映画、そして世界史好きなので、欧米旅行も多く、映画のロケ地や音楽フェス、ロックの聖地、世界史の場所など、テーマを持った旅をしています。

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