ビールひとりあたりの消費量は世界一!チェコのビアホール「ホスポダ」へ行ってビールとチェコ料理を楽しもう!

チェコといえば「ビールの国」。チェコのビール消費量はひとり当たりで世界一といいます。これは日本人に比べると約4.8倍とか。

チェコでは「ビールは飲むパン」と言われるように、ご飯代わりに朝から飲んでいる人もいるそうです。ビールは多くのカロリーを含んでおり、たとえば350ml缶を2缶飲むと、ご飯一膳と同じぐらいのカロリーになります。

今回はそんなビール大国チェコのビールと、チェコの居酒屋とも言える「ホスポダ」を紹介します。

目次

チェコビールの歴史

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<チェコビールの製造法の解説ボード(ブドヴァイゼル・ブドヴァルの工場で)>

チェコビールの歴史は古く、最も古い記載は10世紀にさかのぼるといいます。13世紀にはボヘミア(当時のチェコ)王が、チェコ南部のチェスケー・ブディェヨヴィツェに醸造所を建設しています。

このころのビールは常温で発酵させる「上面発酵」で、炭酸は少なめで色や味は濃い目のエールビールです。ところが19世紀になると、ドイツのバイエルン地方で作られていた「下面発酵」のラガービールが世界中で人気になります。

バイエルン地方の水は軟水で、酵母が活動しやすい硬水をもとにするエールビールが作りにくかったのです。そのため軟水でも低温で活動する酵母を使い、秋に樽を洞窟に入れて春に取り出す方法でラガービールが作られていました。

この下面発酵ビールがチェコのピルゼンで開発され、1842年にピルスナービールが生まれます。現在、世界的に飲まれているビールは、このピルスナータイプのものがほとんどなんですよ。

チェコビールの銘柄にはどんなものがある?

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<左がヤギの絵が印象的なコゼル、右がブドヴァイゼル>

400種類以上あるというチェコビールの銘柄。ビール会社はお店で出す生ビールと、商店に置く瓶や缶ビールを販売しています。ビールの値段はスーパーで買うと500ml缶が1缶100円ぐらい。チェコの代表的なビールブランドを以下に紹介しましょう。

ピルスナー・ウルケル(Pilsner Urquell)

チェコを代表する2大メーカーのひとつ。チェコ西部のプルゼニュ(ドイツ語名はピルゼン)が本拠地で、ピルスナーの基本とも言える味。

ブドヴァイゼル・ブドヴァル(Budwiser Budvar)

チェコの2大メーカーのひとつで、チェコ南部のチェスケー・ブディェヨヴィツェが本拠地。アメリカのバドワイザーはブディェヨヴィツェのドイツ語名「ブドヴァイス(Budweis)」にあやかって名前をつけたが、商品はチェコとは関係ない。

コゼル(Kozel)

ヤギの絵でおなじみのビール。甘みがあり飲みやすく、特に黒ビールが人気。

ガンブリヌス(Gambrinus)

プルゼニュのピルスナー・ウルケルと同じ敷地内に工場がある。名称はドイツ語圏のビールの神様の名前。

スタロプラメン(Staropramen)

本拠地はプラハなので、プラハ市内では一番目につく看板。飲み口がさわやかで、工場直営のホスポダもある。

ホスポダってどんなところ?

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<飾り気のないホスポダの店内>

チェコには「ホスポダ(Hospoda)」と呼ばれるビアホールが、どの街にも必ずあります。生ビール、瓶ビール、おつまみ、料理も食べられる大衆的な店で、日本でいうならば居酒屋的な店だと思えばいいでしょう。醸造所直営のホスポダもありますが、オリジナルビールを置くような個性的な店もあります。

私はビール好きなので、チェコ各地でこうしたホスポダを多く利用しました。気取っておらず、比較的安い価格でチェコ料理が食べられるのがいいですね。ただし人気のホスポダは常に人でいっぱいなので、落ち着きはしないです。少人数だと、大きなテーブルに相席ということもよくあります。

ホスポダではまずビールを注文!

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<ストラホフ修道院の敷地にあるホスポダのビールメニュー。観光客にもわかりやすい>

店の前にどんな銘柄のビールがあるか看板が出ているので、それをチェックして入る店を決めましょう。日本なら、キリンとかアサヒののぼりが立っている感じに近いです。席まで案内してくれる店もありますが、基本的には少人数なら勝手に空いている席に座ってかまわない店が多いです。注文はテーブルごとに担当者がいるので、その人に頼みましょう。ビールはたいてい速攻で持ってきてくれるのでうれしいです。

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<おすすめビールが黒板にチョークで書かれていることも。頭の数字はアルコール度数ではなく、「バリング度数」という発酵前の麦汁の糖分濃度を表すもので、高いほどコクが増すという>

ビールはメニューに掲載されているほか、壁に「今日のビール」として張り出されていることもあります。瓶ビールもありますが、ホスポダのメインはジョッキかグラスに入った生ビールです。店によっては、カウンターの奥に大きなビールタンクが見えるところもあります。

以下は一般的な生ビールの種類です。

ノーマルピルスナー

黄金色をした口当たりのいい、最も一般的なビール。日本でふつうに飲むラガービールはこれ。

アンバービール

琥珀色で、喉越しとコクの両方が欲しい人はこれ。

黒ビール

見た目は真っ黒。コクがあるほか、ほんのりとした甘味も。

ハーフ&ハーフ

ノーマルピルスナーと黒ビールを半分ずつ注いだもの。ジョッキだと真ん中できっちり分かれるので、見た目も美しい。

IPA

明るい琥珀色で、ホップが多めに投入され香りと苦味が強い。クラフトビールの定番で最近の流行り。

生ビールは泡の注ぎ方も注文できます。何も言わなければ適度な泡が入った「ハラディンカ」です。多めは「シュニット」、少なめは「ナ・ドバクラット」ですね。ホスポダでのビールの値段は一杯200〜400円ぐらいです。

ホスポダで絶対に食べて欲しい定番料理

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<ビールに合う肉料理が美味しい!付け合せにポテトや酢キャベツが付く場合も>

ホスポダで楽しみなのは、ビールだけではありません。ビールには美味しいつまみや料理がよく合います。料理はメインとなる肉料理がだいたい800〜1,500円ぐらい(量は多め)。サイドディッシュ的なものなら300〜500円ぐらいから。なので予算的には日本の居酒屋とそう変わらないでしょうか。

メニューはビールによく合う肉料理が主流です。現地の人はあまり料理をシェアする習慣はありませんが、シェアしても問題はありません。以下、ホスポダの代表的なメニューです。どれも美味しくておすすめ!

豚ひざ肉のロースト(コレノ)

ナイフが刺さった肉は、見た目もインパクト大。ひざ肉はやわらかくコラーゲンたっぷりで美味しい。量も多いので、一人だとこれとビールで満足。日本では食べる機会がほとんどないので是非!誰かとシェアしてもいいですね。

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<豚ひざ肉のロースト。これは上品な感じで仕上げた店のもの。フォークとナイフが刺さった状態で出されることが多い>

チーズフライ

カリカリの衣の中はトロトロのチーズで食感がいい。ビールが進むので、とりあえずこれを頼む人多し!

ローストダック

チキンと比べてダックは脂多めの肉だが、それがまたビールによく合う。

タルタルステーキ

みじん切りにした生の牛肉を、ニンニクをこすりつけたパンと共に味わう。

ソーセージの黒ビール煮

見た目真っ黒だが、味は見た目ほどくどくはない

ホスポダでのマナー

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<チップは端数を多めに出すぐらいでもOK>

ホスポダはレストランと異なり大衆的な店なので、日本の感覚で利用しても特に気をつけることはありません。にこやかにあいさつして、注文すればいいでしょう。観光地ならカタコトの英語も通じますが、チェコ語を少し知っていると感じが良くなるでしょう。

  • こんにちは(ドブリー・デン)
  • ありがとう(デクイ)
  • 〜ください(〜プロスィーム) 「ビール(pivo)ください」なら「ピヴォ・プロスィーム」
  • お勘定してください(プラチット・プロスィーム)

チップですが、アメリカのように厳格に決まっているわけでもないので、払わなくても問題ありません。しかしキリのいいところで、10%以内ぐらいを払う人が多いようです。185コルナだったら200コルナぐらいですが、190コルナで200コルナ置いても大丈夫です。

支払いの時に多めに渡して、「ありがとう」で伝わるでしょう。カード払いの時は、私は現金を少し置いてました。喫煙は、チェコでは飲食店は屋内全面禁煙なので、愛煙家の人にはガマンです。

まとめ

いかがでしたか? チェコを訪れたら、気軽に入れるビアホールのホスポダをぜひ訪れてください。各都市には有名なホスポダがあるので、事前にチェックしておくといいですよ。人気のホスポダは19時ぐらいから混み出すので、待ちたくなければ18時ぐらいに行くとすんなり入れます。

またレストランと異なり、一人で来ている人もわりといます。予算は飲む量によっても異なりますが、1リットル飲んで軽く食事をしたら一人1,500~2,500円ぐらいでしょうか。それでは楽しい旅を!

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前原利行

東京出身で、現在は神奈川在住。今までに訪問した国はアジア、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカなど90か国以上。現在は海外旅行や映画、音楽、アートに関する、ライター及び編集者として活動中です。一番多く訪れているのはインドで、仕事も含めて20回以上。プライベートではロックミュージックや映画、そして世界史好きなので、欧米旅行も多く、映画のロケ地や音楽フェス、ロックの聖地、世界史の場所など、テーマを持った旅をしています。

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