【自転車世界一周の旅】アルゼンチン、ワイン街道を駆ける

アルゼンチン北部の町サルタから200km南にあるカファジャテを結ぶ国道68号線。カファジャテはアルゼンチンワインの産地であり、村の付近にはブドウ畑が広がるという。

その為この国道68号線はこう名付けられている、『Ruta del Vino』ワイン街道と。

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  • 場所:Salta~Cafayate
  • 距離:200km 
  • 走行期間:5/11~5/13

目次

ワイン街道へ入ったはずが

アルゼンチン・サルタ州の州都サルタを南に抜けて、国道68号線に入る。

スタート初日は曇天模様のうえ、森や普通の畑が続くだけで、ブドウ畑が広がる気配はない。

数十キロ走ってやっと見えたかと思えば、規模は小さくおまけに収穫の時期はすでに終わっており、葉も無ければ枝も無く既に来季の収穫に向け剪定されてしまっている。

ワイン街道だからと言って200kmもブドウ畑の中を走らされては流石に退屈してしまうが、枯れ木のような幹だけの畑では退屈どころかどんよりした曇り空と相まって気が重くなってしまいそうだ。

それでも午後からは日が差しだし、道端に咲く黄色い花が鮮やかで、日本の田舎の道を走っているような軽やかな気分にさせてくれた。天気一つで気分がこうも変わるとは、チャリダーとは実に単純な生き物である。

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ブドウ畑のレストラン

初日はラ・ビーニャ村に泊まり、翌日は雲一つない青空の下走り出す。

初めは緑あふれる森の中を走っていたが、次第に山の木々は減り低木やサボテンが目立つ乾燥地帯の様相を呈してきている。

40kmほど走ったところで昼食をとる為、小さなブドウ畑の間に建つレストランに入店。普段の走行時はパンにサラミやチーズをのせて食べているのだが、今朝パッキングした時にパンを宿に置き忘れてしまい、昼食をとることができなかったので、丁度いいところにレストランがあって助かった。

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メニューを聞くと、ミラネッサ(うすい牛かつ)やアサード(牛や豚、チョリソーを焼いた料理)は無く、レストランというよりも軽食メインの喫茶店のようなお店だったので、少しでもカロリーを捕る為ひき肉やジャガイモの入ったエンパナーダを3つ注文。

ほかのお客さんと話をしながらできるのを待ち、10分後揚げたてのエンパナーダが出てきた。

アツアツのエンパナーダを頬張ると、ひき肉のうまみとジャガイモの甘さが口いっぱいに広がる。屋台でエンパナーダを注文すると、既に揚がった物を出されて少し冷めてしっとりしたものが出てくることが多いので、出来立てのエンパナーダがこれほどおいしいとは思わなかった。屋台なら安いエンパナーダだがお店で食べたから多少値が張るかと思いきや、三つで60ペソ(約150円)と安く、これならもっと注文しとけばよかったと少し後悔するほどだった。

腹も満たされ出発しようとしたら、旅の話をしたお客さんの一人が後で食べなよとエンパナーダを二つプレゼントしてくれた。パンを忘れたおかげで、腹と同時に心も満たされたそんなレストランでの出来事であった。

カファジャテ渓谷へ

この道はワイン街道として名をはせているが、もう一つの見どころが様々な奇岩が立ち並び、カラフルな山肌を見せるカファジャテ渓谷の景色だ。

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赤青緑に白黄色と何色もの地層が折り重なり、波のようにしゅう曲した景色はまさに自然が作り出した芸術だ。カーブを曲がるたび渓谷の景色は形や色を変え、そのたびに美しさに圧倒されため息をついて足を止めて見入ってしまう。

ビーニャ村からカファジャテ村までは110km。渓谷なれど勾配は緩いので頑張れば一日で行ける距離ではある。

しかし、逐一圧倒され見とれ写真に収めてと堪能していたため、70km走ったところで日が暮れてしまったので、道路から見えないように低木の茂みに隠れるようにテントを設営。枯れ木が多いので焚き火でもしようかと思ったが、風が強く吹き出したため断念し、夜空に浮かぶ半月に別れを告げて21時に就寝。

続く奇岩地帯

昨夜は北から吹く追い風で楽に走れたと言うのに、今日は南の向かい風だ。風向きが変わるのは仕方ないにしても、何故毎日こう強く吹くのだろう?時には無風の日があっても良いと言うのに。

今日はカファジャテの町まで35km走るだけなので、時間に余裕があるはずだったのだが昼食用のパンが無いので、昼過ぎには町に着くようにしたい。しかし、今日も絶景絶景また絶景の連続で遅々として進まない。

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昨日は『悪魔の喉笛』と呼ばれる、隘路(あいろ)のように細長く削れた切り立った景観の多い渓谷の脇を走っていたが、今日はモニュメントバレーの様な長年の風雨によって削られて蝋燭のように立つ奇岩や、穴が開いて青空を覗かす岩など景色は千差万別に変化する。

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カファジャテ渓谷は一部で南米のグランドキャニオンと呼ばれているそうだが、たしかにグランドキャニオンのあるグランドサークル国立公園を彷彿させる景色が続き、負けないほどの魅力にあふれる渓谷の景色であった。

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遂にワイン街道に

渓谷を離れてカファジャテに近づくと、ようやくブドウ畑が広がり始め、bodegaと呼ばれるワインセラーが畑の合間合間に並び、入口には大樽や古い荷馬車などが置かれておりワイン街道の雰囲気が出ている。

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街中にはワインセラーが並び、小さな売店ですらワインが一角を占めている。

ホステル兼キャンプ場に荷を下ろしてから早速ワインを購入し、宿に植えられているブドウの木の下でワインを味わう。ワインに詳しくは無いが、チリ産ワインに比べ酸味があり、少し重めの飲みごたえのあるワインだ。

景色に酔いしれ、ワインに酔う。旅の面白さが詰まったワイン街道、今宵も贅沢な時間をすごせそうだ。

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