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異教徒も大歓迎!シーク教寺院の無償提供朝カレー
タイは敬虔な仏教国として知られています。しかし、その首都バンコクは世界中の様々な文化的背景を持つ人々の集まる国際都市です。
目次
インド人街「パフラット」
バンコクの観光名所としても人気のチャイナタウン(ヤワラート)のすぐ横に「パフラット」という地区があります。ここはバンコクのインド人街です。
サリーなどの布地を扱う問屋や、インド料理のレストランなどが密集しています。
パフラットにあるシーク教寺院
このパフラット地区の一角に巨大な寺院が聳え建っています。インド発祥の宗教であるシーク教の寺院です。
ここでは平日の毎朝8時から、ベジタブルカレーを中心とした食事の無償提供が行われています。なんとシーク教の信者ばかりでなく、旅行者含む全ての人が利用できるのです。
そもそもシーク教とは?
シーク教とはどの様な宗教なのでしょう。高校で世界史を学んだ人ならば、その創始者グル・ナーナクの名前は聞いた事があるかもしれません。しかし多くの日本人にとって身近なものではないでしょう。ただ、我々が"インド人"の姿をイメージする時に"頭に巻かれたターバン"を思い浮かべるのではないでしょうか?実はそれがシーク教徒の姿なのです。
実際のところ、インド人の大半はヒンドゥー教徒です。インド国内におけるシーク教徒の割合は全体の約2%にすぎないそうです。あきらかな少数派であるにもかかわらず、ターバン=インド人という様なイメージを抱いてしまう理由には、今日のシーク教徒の多くが社会的に高い地位についており、インド国外で広く活躍している、という現実からの影響もあるようです。
シーク教の教義面における特徴を簡単にまとめると、カースト差別否定、職業差別否定、貴賎による差別否定、人種的平等、男女平等などが挙げられます。また、一神教を唱えながらも、他の宗教については"唯一神の捉え方の違い"と認め、これを排除しません。基本的な考え方は"反差別、全ての人の平等"にあるようです。こうした教義の性格から「ランガル(無料で提供する食事)」の習慣が生まれたといわれます。シーク教寺院で無償提供されるカレーライスには、"カーストや宗教など関係なく皆が平等である"という意味が込められていたのです。
寺院に入ってみよう
朝8時過ぎ、寺院の敷地に入ると、カレースパイスの香りが漂っています。入り口には布が用意されており、寺院内ではこれを頭に被せます。
調理場には巨大な鍋が並び、ジャガイモなどの食材が山と積まれています。
食堂に入ると、ターバンを巻いたオジさんがプレートを渡してくれます。
あとは自分で寸胴からカレーやライス、ヨーグルトなどを盛りつけます。まるで小・中学校の給食のようです。どことなく懐かしい思いがしました。
この日食べた豆のカレーは刺激の少ないシンプルな味付け、本格インド料理レストランなどで食べられるものとは違いますが、これはこれで美味しいと思います。
食堂の上階では、グルによるお祈りが行われていました。
文化的な経験が出来、美味しいカレーも食べられる。シーク教寺院、良いと思います。
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もじゃ
- 2010年よりタイ首都バンコクに在住。進化を続けるバンコクの街並みから執筆を手掛けています。