【第4話】イタリア中世の家のまどろっこしい改装プロジェクト

改装開始当初の2月には、6ヶ月程度で完成すると言われていた中世の家改装プロジェクト。次から次へと発生する仰天事件に振り回され、気付けばもう夏の終わり。念願のマイホーム完成の日はいつに!?

目次

夏になっても、まどろっこしい改装継続中

2月に開始し、その年の夏の間には入居できる予定だった新居の改装ですが、夏も終盤となっても依然継続しておりました。やっぱりねぇ、と妙に納得してしまう自分に苦笑してしまいます。

さて、次の難関ですが、古い家だけに玄関、屋内のドア、窓が全て違う大きさという事実。もちろんサイズはどれも基準外のため、キッチンの1枚を除き、全てオーダーメイドとなりました。6月下旬に業者が寸法の測定にやって来て、納期が1ヶ月先のはずが、イタリアは全国的に夏休みに突入、昨年と同様に全ての物事が停滞し、2階の寝室の窓が無いまま夏の終わりに至るのでした。

DIYリノベーション開始

この改装に関しては、もう本当に数え切れないほどの珍事件や問題が続発。加えて、当初の見積もりに度重なる追加請求の末、改装トータル費用がスタート時点の見積もりの倍に膨れ上がるという仰天の結末。さすがにウンザリし、改装を中断したい、と工務店にお引取り願うことに決めたのです。その年の夏はバカンスにも行かず、パートナーと2人、せっせとペンキ塗りに没頭していました。2階の浴室~1階全て、廊下、階段、玄関部分の壁が石膏むきだしのまま放置されていたため、ベースコートを2回重ね、カラーペイントを2度塗るという、手間のかかる作業を繰り返す日々。

DIY作業と同時進行で少しずつ掃除も始めたところ、家の中のあちらこちらでタバコの吸いがらを発見!ただただ...絶句。

笑えるのが、玄関のインターコムの電源をオンにしたところ、それをビービーと鳴らす人が続出。ペンキ塗りの最中に、近所の住人が進み具合を見学に来て、家の中を案内することも何度か。さすが田舎、なんとものどかです。

古い家に見る不思議なモノたち

キッチンの壁にどっしりと構えた、取り外したいと思っていたアルデージア石(ローカル産の黒い石)の飾り。彫刻が施され、その下部は空洞で、おそらく暖炉の枠だったらしいのですが、高さが中途半端でどうもスペースが無駄なのです。もちろん、撤去したいという私の希望はパートナーからも建築家からも「古いものだから無理」と、即却下されたので(古いものに関しては色々と規制あり)、その石はそのまま残し、下の空洞部には隣に面するリビングルーム側のペレットストーブを収納し、キッチン側に壁を作って塞ぐことにしました。

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ある日、様子を見にふらりと家に立ち寄った叔父が、このアルデージア石の飾りの感触を確かめながら、「この家はこの村が出来た初期に建てられた家だから、この石、700~800年くらい前からここにあったわけだよ」と!建築家である義弟が「古いもの」と言っていたのは、何十年という話どころか、そんな年代物だったとは!!以来、数百年の間、入れ変わり立ち変わりこの家に住んできた人たちの、常に生活の一部であった石に愛着が沸きはじめたのでした。ペンキが付いてしまった部分を少しずつ取り除き、オイルをつけて磨いてみると、なかなかいい感じです。

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壁の高い部分に部屋の端から端まで伸びる長い棒状のもの、これも外せないものかと義弟に尋ねたところ、「これは家の重さを支えているものだから外せないよ」と失笑されてしまいました。家の内外の壁のあちらこちらに見える剣のような形のものも壁を支えているのだそうです。これでどうやって壁と家全体の重さを支えているのか、なんとも不思議です。

10月、引っ越し強行

結局、1階部分全てと2階部分の半分はまだ手つかずのまま、10月末に引っ越しを強行しました。とはいっても、家具は全部揃っておらず、室内のドアを取り付ける人がドリルで、ガガガーッっとしている音をバックグラウンドに聞きながら引っ越し荷物の片付けをするという状況。未改装の部分は、腕のいい職人が見つかり次第再開しよう、ということになりました。

少しずつ家らしく...

リビングルームの壁にある空洞スペースは本棚にしようと思い、イケア・オンラインで購入した棚板をノコギリで切って取り付けたところ立派な本棚になりました。棚板を取り付ける前にペンキ塗りをする際、空洞下部の階段の古いペンキをはがしてみると、大理石発見!と、まるでお宝探しのようでワクワクします。

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義母から、戦時中にこの家に住んでいた住人がベッドの下に穴を作って貴重品を隠していたという噂があった、と聞いたので淡い期待を抱いていたのですが、結局、穴は見つかりませんでした。

家具はもちろん、重量180キロのペレットストーブ、電気ヒーター、暖炉枠、浴槽、トイレの便器、シンク、ガラス製のシャワー用ドア、屋内のドアにいたるまで現物を見ずにネットで注文したと言うと皆に驚かれますが、他に選択肢が無かったので...。唯一お店で購入し、自分たちで運んできたのがキッチンのガラス窓のついたドア。これはニースのDIY専門店でイメージにピッタリのものが見つかり、無理やり車に押し込んで持ち帰り、家具職人に長さを足してもらいました。

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引越前に注文し、入荷待ちだったダイニングチェアーが、クリスマスを前に無事に届きました。おそろいのダイニングテーブルは、一度目の配送時に目を覆うほどの悲惨な状態で届き、2度目の配送まで時間がかかったので心配していたのですが、これで一安心。まだ未完成の家ですが、これで、クリスマスには友人・知人を招待できる!と喜ぶ私たちでした。

>【第5話】イタリア中世の家のまどろっこしい改装プロジェクトはこちら

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サルシ なおみ

イタリア・リグーリア州の小さな村で田舎暮らしを満喫中。自家製のワイン・オイル作りにいそしむ傍ら、築700年の自宅の改装にも精を出す日々を送っています。

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