なぜ富山が「幸福度ランキング」上位であるかわかった気がした旅 その2

観光地としてはいまひとつ印象が薄い富山、幸福度ランキングでいつも上位にいる富山、「いったい富山ってどんなところなの?」初めて富山を訪れたたびこふれ編集部シンジーノが富山の魅力を探りました。

なぜ富山が「幸福度ランキング」上位であるかわかった旅「その1」はこちら

さて「その1」で全般的な富山市の姿をご紹介しましたが、その中でも私が特に魅力を感じたスポットを掘り下げてご案内したいと思います。

<目次>

富山のシンボル「松川遊覧船」

私はこれまでにもいくつかの、川を下る遊覧船に乗った経験がありますが、この松川遊覧船が一番、安らいだ気持ちで時を過ごせた船でした。そう感じた理由をいくつか挙げてみると・・・

川の流れが穏やかで水がきれいです。水が滔々と湧き出しているかのように豊富で新鮮な水に揺られると気持ちが落ちつきます。

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街なかとは思えない緑豊かな河岸に囲まれながらゆっくり下ります。

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船長さんの語り口が柔らかくおっとりとしていてなごみます(風貌はちょっと怖そうですが(笑)とっても優しそうな方でした)

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こんな街なかにアオサギが佇んでいました。

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船を泊めて鯉に餌やり体験が出来ます

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(写真提供:松川遊覧船)

遊覧船と聞いて純和風かと思いきや、船乗り場はイタリアのヴェネツィアの雰囲気にも似ておしゃれです。

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では動画をどうぞ~

のんびりと優雅に流れる松川の水に身を委ねると全身が心地よさに包まれていくようでした。私が乗船したのは新緑の時期で、青葉はそれはそれはきれいでしたが、桜の時期は松川沿いに460本植えられているソメイヨシノが美しい桜のトンネルをつくるそうです。

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(写真提供:松川遊覧船)

「松川とは」

松川とは、戦国時代から江戸時代まで富山城の天然の外濠だった神通(じんづう)川の名残りの川です。船乗り場にはお休み処の松川茶屋があり、そば、うどん、お団子ぜんざい、コーヒーなどを召し上がれます。

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また茶屋の中には滝廉太郎記念館(無料)があります。滝廉太郎は7歳から1年8か月間を富山で過ごしました。当時富山城址内にあった小学校に通っていた廉太郎少年はこの時のイメージが「荒城の月」の作曲のモチーフになったとも言われているそうです。記念館には写真や資料、CD等があり23歳で早世した稀有の作曲家を偲ぶことができます。

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ちなみに私たちのよく知る山田耕筰さん編曲の「荒城の月」はゆっくりと重々しいテンポでもの悲しい曲調ですが、原曲はテンポが速く軽快でさほど悲壮感はないそうです。

松川遊覧船データ

所要時間:30分
営業時間:10:00~17:00
料金:大人1,600円、小人750円(時期により変動。詳細は下記サイトでご確認ください)
松川遊覧船公式サイトはこちら

"薬の富山"を代表する老舗「池田屋安兵衛商店」

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反魂丹(はんごんたん)は江戸時代から作られている富山を代表する胃腸薬です。
江戸時代、ある大名が激しい腹痛に苦しんでいたところ、その場に居合わせた富山藩二代目当主前田正甫(まさとし)が携帯していた反魂丹を服用させたところ、たちどころに回復したそうです。それを見ていた諸大名達が自分たちの藩でもぜひ売りたいと言ってきて、この逸話が富山の売薬(薬の配置販売業)誕生のきっかけとなっていったそうです。現在も生薬、漢方を配合した薬を製造販売し、富山の薬文化を現代に伝え続けている老舗。レトロでかわいいパッケージの薬はお土産にもぴったりです。

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店内では、丸薬の製造体験が出来たり、昔の薬屋の道具なども展示してあり、観光スポットとしても楽しめる場所です。

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丸薬作りの実演がこちらです。

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2階はレストランスペースとなっており、黒米などを使った薬用膳も食べることができます(要予約)

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池田屋安兵衛商店公式サイトはこちら

麦芽水あめを作り続ける富山市唯一の店「島川あめ店」

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創業寛文三年(1663年)で現店主はなんと14代目だそうです。昔は水あめが"甘みづけ"の代表でしたが、砂糖の出現により水あめは急速に衰退し、今富山市内で水あめを作っているのはこの島川あめ店1店だけだそう。私たちも普段水あめに接することは少ないですよね。

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なぜ島川あめ店が現代まで続いているのか?

水あめは富山の主要産業である薬(丸薬)のつなぎにしたり苦みを抑える為に必要だった為、現在も続いているそう。今も昔と変わらない製造方法で水あめを作っています。

【水あめ製造方法】
①原材料は澱粉(デンプン)と麦芽と米のみ。
②原料を混ぜ合わせ、加熱して保温、一晩寝かせます。
③五つの窯で何度も濾して不純物を取り除きながら高温で炊き上げることによって水あめになります。
④容器に移して冷やし、麦芽水飴の出来上がり

丸二日かけて一斗缶でたった8本しか作ることができないという手間ひまのかかる作業だそうです。(一斗は約18リットル)
現在の社長は数十年麦芽水あめを作り続けているが、同じ分量、同じやり方で造っても気温や湿度などさまざまな要因によって一定のものは作れないそうで、それだけ繊細で難しいものなんですね。特に透明度を出すのが難しいそうです。現店主が若い頃「これぞ自分が思った通りの水あめが出来た!」という時があると商売そっちのけで周りの人々に配ってまわったという逸話があるそうです。職人気質が表れていますね。水あめ造りに人生を賭け、何代も続く老舗の味。私も島川あめ店の麦芽水あめを舐めてみました。甘みがまろやかで柔らかく優しい味で、まったくくどくなく、喉も乾きません。身体に良い甘味という感じでした。水あめはトーストに塗ったり、紅茶やコーヒーの甘味付け、料理にも使えるそうです。疲労回復にも効くそうで、山登りをする私は便利な携帯用の小分けの水あめを買いました。(7包入りで500円)

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島川あめ店公式サイトはこちら

富山のかまぼこの特徴とは?「梅かま」U-mei館

今回巡ったスポットでこの「梅かま」のミュージアム(工場)だけが富山市郊外にあります(車で約30分)

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私、実はかまぼこがあまり好きではないのです。食感がゴムっぽいというかツルツルプリプリした舌触りが作り物っぽくて苦手です。が、ここのを試食したところ、他のかまぼこに比べて、良い意味でざらざらした魚のすり身感が残っていて、食感も柔らかいので気に入りました。かまぼこの歴史は古く平安時代(1115年)には文献に登場しているそうです。ちなみにここから11月15日は「かまぼこの日」に制定されています。作り方は、手作りか機械化かという違いだけで、基本的には昔と変わっていないそうです。
富山かまぼこの特徴は板に乗っていません。代わりに昆布で渦巻き状に巻かれたものや、お祝いごとに使われる細工かまぼこ(手作り)があります。

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昆布巻かまぼこも初めて食べました。うずまき状のユニークな外観だけでなく、昆布のダシがかまぼこにしみ込んでお酒のおつまみにもぴったりの味わい深いものでした。

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工場では製造工程の見学もできます。では昆布巻かまぼこの出来る様子をご覧ください。

簡単そうに見えますが、とても難しくこちらの工場でも出来る職人さんは数人だそうです。かまぼこは高たんぱく低カロリーで健康にも美容にもよい優等生の食品だったんですね。もっと日頃からかまぼこ食べるようにしようと思いました。

【かまぼこの健康的効果の一例】
・大腸がんの発生を抑える
・メタボ予防
・血糖値の急上昇を抑える

梅かま公式サイトはこちら

昭和天皇も絶賛「銘菓 月世界(つきせかい)」

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明治三十年創業の富山を代表する銘菓「月世界」。月世界とは鶏卵と、和三盆糖と白双(しろざら)糖を煮詰めた糖蜜と合わせ乾燥させたお菓子です。

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「月世界(つきせかい)」の名前がつけられた理由

このお菓子が完成したのは真夜中だったそうです。

「出来たっ!」と店主が店の外に目を向けたら、そこにはきれいな月が出ていたそうです。それで「月世界」という名前を思いついたそう。

またある時、昭和天皇が北海道に行幸されていた時、休憩地で甘い物を所望されたことがあったそうです。その時、たまたま休憩処の主(あるじ)が月世界を買ってきていたか、お土産でもらったかで手許にあって、昭和天皇にお出ししたところ、「おお、これは富山の月世界ではないか」と陛下が仰ったそうです。それだけ有名なお菓子だったということですね。食べた食感は落雁のようでもありましたが、もっとあっさりと軽い口どけで、ふわっと溶けていきます。お茶にももちろん合いますが、ブラックコーヒーにも意外に合うそうです。(月世界とブラックコーヒーやってみましたが確かに合いました)お店に貼ってある紙に職人の気持ちが入っているように感じました。こういうの大事ですよね。

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富山銘菓「月世界」公式サイトはこちら

小さな配慮が光るホテル「グランテラス富山」

今回泊まったホテルは富山駅から徒歩7分の「グランテラス富山」でした。建物はさほど新しくはありませんが、そのせいか全体にゆったりした造り(ロビー、部屋 バスルーム)で落ち着けました。以前天皇陛下もお泊りになったことがある由緒あるホテルです。

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バスルームはユニットバスなのですが、最近のホテルに比べ広めです。バスタブは広く深く、人口大理石を使っているそうで肌ざわりもよかったですね。

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バスタブの蛇口レバーがひとつになっていて温度を適温調整した状態で出したり止めたりできるのも嬉しい点です。水とお湯の蛇口が分かれていて、出し止めする都度温度調整をしなければならないのは面倒くさいですからね。

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シャンプーとリンスが別々です。ミラーに曇らないスペース面を作ってあるのも嬉しかったです。このように、派手ではないけれど宿泊客のことを考えた細かい配慮が行き届いているのが好印象です。やや残念なのはテレビが小さめなのとマットが私にはやや柔らかかったことです(個人差がありますが)朝食会場は12階のバンケットルームでバイキングです。眺望がよく、ほたるいか塩辛や黒づくりなど富山の郷土料理もあり、全体的に和風メニューが多いように感じました。

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この朝は曇っていて立山連峰がはっきりと見えなかったのは残念!

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ホテルグランテラス富山公式サイトはこちら

初めての富山市訪問を終えて感じたこと

今回富山市内の中心地をほぼ徒歩で歩いて巡りました。富山市は近年コンパクトシティ化を目指しており、路面電車、郊外に走る第三セクター電車、自転車シェアリングなども整備され、観光で来た人たちにも便利で優しい街づくりがされていました。
かといって新しいものばかりでなく、昭和の雰囲気が残っていたり、北欧の街にも似た雰囲気があったりと懐の深さも感じました。
以前は大都市からの遠さがネックでしたが、北陸新幹線の開通により、東京からは2時間ちょっとで来られるようになりました。

富山の人たちとお話した印象は

富山は「商人の町」というよりは「物づくりの町」です。観光客がたくさん来てお金を落としてほしいという「お金、お金」という嫌らしさはあまり感じませんでした。それよりも「訪れた人に富山の良さを知ってほしい」という切々とした気持ちを感じました。「富山のことを大好きな富山の人たち」もしかしたらこれが富山の一番の魅力かもしれません。真面目にコツコツ、自己主張やアピールが苦手。そこがまた好印象でした。

あなたが
・都会暮らしに疲れたら
・心がささくれだって、気持ちに余裕がなくなってきたら
・常に追い立てられる日々に押しつぶされそうになったなら
・人ごみを歩くのが疲れたら

そんなときには富山に訪れてみませんか。富山の街が、富山の人たちが温かく迎えてくれることでしょう。私もまた行きますよ、富山に!

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シンジーノ

3人娘の父で、最近は山歩きにハマっているシンジーノです。私は「お客さまが”笑顔”で買いに来られる商品」を扱う仕事がしたいと思い、旅行会社に入って二十数年。今はその経験を元にできるだけ多くの人に旅の魅力を伝えたいと“たびこふれ”の編集局にいます。旅はカタチには残りませんが、生涯忘れられない宝物を心の中に残してくれます。このブログを通じて、人生を豊かに彩るパワーを秘めた旅の素晴らしさをお伝えしていきたいと思います。

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