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いつもとちょっと違う雰囲気、今年の旧正月 inマレーシア
今年はちょっと静かなチャイニーズニューイヤー
こんにちは、マレーシアからYasmin Yokoです。
毎年この時期、世界では旧正月モードで中国人系は最大のフェスティバルを迎えている。マレーシアでも、マレー系の次に多い民族が中華系であるために、旧正月のお祝いは、毎年超派手だ。毎年、モールでは赤やゴールド、ピンクを基調に大掛かりなデコレーションが施され、大音響の正月ソングにのって大セールが繰り広げられるが、今年はちょっとおとなしかったような感じをうけた。
現在マレーシア国内は、 政治経済が国外にもたらされているニュースよりも現実にはもっと低迷しており、今年はその運命を変えるべき総選挙を中旬に控えているのだ。国が進むべき方向を見失った様子に、一般人の消費もおとなしくなり、極端な話、何が起こるかわからない先のために余計な出費をおさえているのだ。
そしてもうひとつ。
今年は戌年だからだ。イスラム教徒であるマレー系がマジョリティーであり、国教がイスラムであるここでは、犬は(豚同様とまでにはいかないが)「汚れた動物」とされており、戌年にちなんだ犬の装飾を控える動きが広がっているのだ。マレー系からの「不浄な犬」プレッシャーと余計ないざこざをさけるために、クアラルンプールのチャイナタウンでも、春節用の赤いランタンや花が飾られている一方で、今年は犬の形をした飾りのほとんどは外から見えない場所に隠された。
同国は、多民族国家なので基本的憲法上では政教分離の世俗主義国家であるのだが、ここ数年イスラム教の保守派や原理主義派が勢いを増しているために、中華系やインド系など、他民族にとっては居心地が悪い状況を生んでいる。昨年の酉年だった時には、ショッピングモールには巨大な鶏のオブジェが飾られたりしたのだが、今年の装飾には、犬のデザインを使わないことで決定した場所が殆ど。こうした偏った動きに、ソーシャルメディア上ではかなり非難が集中したらしい。
また、こんな出来事もあった。ある大型スーパーチェーンでは、春節向けに売り出すTシャツの十二支から犬とイノシシの絵を外した、また、国内商業・消費者問題省による新聞の広告で、絵が大きなニワトリが「ワン!ワン!」と吠えているのだ。これについてもかなり批判が起こったようだ。
イスラム色が濃くなるのも、政府の思惑
マレーシアでは、以前には考えられなかったようなことが自粛されたり禁止されたりしている。昨年だけでも、予定されていたビール・フェスティバルが中止されたり、外国人歌手のコンサートで衣装が制限されたり、「西遊記」の映画広告で猪八戒をださなかったり、ランカウイ島の 住宅新開発区で屋根の模様が十字架を連想されるので立て直されたり、「ホット・ドッグ」の呼び名を変更させるべきだ、というあきれてしまうようなトピックが起こったりもした。
十二支では来年はイノシシ。
マレーシアにおけるチャイニーズニューイヤーは、まだまだ氷河期が続くかもしれない。
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YasminYoko
- マレーシア、クアラルンプールに在住。渡航して32年、ライター、リサーチ、コーディネートをはじめ翻訳通訳、日本語教師、個人輸出業を手がける。