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美しいバレンシアの民族衣装はスペイン火祭りの華
昨年の11月にユネスコの無形文化遺産に登録されたバレンシアの火祭り。1番の見どころといえば、それはもちろん最終日に灰と化す数百のもファジャ(可燃性のオブジェ)なのですが、ほかにも火祭りに来るならぜひ楽しんで頂きたいものがあります。
ひとつはイルミネーション。特にルサファ地区のイルミネーションはどこも凝っていますが、スエカ通りとクーバ通りの2つのイルミネーションは大掛かりで素晴らしく、毎晩音と光のショーも開催されます。
もうひとつは、献花パレードです。バレンシアの民族衣装をまとった約10万人の老若男女が楽隊を引き連れ、大聖堂脇の聖母広場につくられた巨大な聖母像に花を捧げに向かいます。聖母像の首から下は木枠でできており、そこに献花される花束を埋め込んでいくのですが、この職人技も見もの。パレードは毎年3月17日と18日の午後3時半から夜の12時頃まで延々と続きます。
ルートは2つあるので、こちらをご覧ください。
ラ・パス通りルート:https://goo.gl/maps/WqxYxq8ZYjM2
サン・ビセンテ・マルティル通りルート:https://goo.gl/maps/xmH2VjbGqGm
どちらも青い丸で記されたルートになります。
多様性に富むスペインでは、民族衣装も地方ごとに異なります。バレンシアの民族衣装は18世紀の宮廷衣装をベースにしているので、その豪華さはピカイチ。外から火祭り見物に来る人々の目を奪います。しっかりとおめかしした小さな女の子たちがまたお人形のようでかわいいのです。
<女性の髪形はスターウォーズのレイア姫風(笑)>
この民族衣装は豪華なだけあり、お値段もなかなかのもの。基本はオーダーメイドで、金糸や銀糸で刺繍をほどこした上質の生地を使ってドレスを作り、アクセサリーや下着、靴まで揃えると200万円や300万円もかかるそうです。そこまでお金をかける人は少ないにしても、民族衣装の仕立てをしている人に聞いたところ、一般的にはドレス代だけで30万円はかかるとのこと。若い頃にバレンシア郊外の町のミス火祭りに選ばれたことがある元同僚が、「何着かドレスを揃えなければいけなかったので、親が借金をした」と話していたことを思い出します。
もっとも10年前に不況が始まって以来、既成の衣装やお下がり等のセカンドハンド品、またレンタルを利用する人も増えているそうです。
<バレンシアの町で見かける民族衣装の仕立て屋>
この民族衣装の仕立て屋といい、最終日に燃やすファジャをつくるアーティストといい、バレンシアにはスペインのほかの地方にはない火祭りありきの職業が大きく根付いています。火祭りを見に来られる方は、ぜひとも美しい民族衣装に注目してくださいね。
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田川敬子(Keiko Tagawa)
- 1996年スペインにひとめぼれ。以後何度も渡西し、2002年春に夢がかなってスペインで日系企業に就職。その後現地企業を経て、現在はオリーブオイルソムリエ/テイスターやライターとして活動中。